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第一章
束の間の遊戯-06-
「そ、そんな……な、なぜなの!」
あなたが拒否しているからです。
と言えばますます状況が悪化するのは火を見るよりも明らかだ。
だから、俺は、その場をごまかし、時間を稼げる適当な言葉を頭の中からひねり出し、
「えっと……じ、時間が……必要です。その数日……い、いえ数週間から一ヶ月くらいの時間が……」
と、うそぶいた。
「い、一ヶ月……そ、そんなに……で、でもこの状況が解決できるなら……」
俺がとっさに吐いた嘘であったが、麻耶さんは一応納得したように不承不承ながらもうなずく。
そこに綾音さんが言いにくそうな様子で、
「ま、麻耶さん……そ、その……何かで隠した方が……」
と、言う。
綾音さんが指摘するように、麻耶さんのその時の状態は、黒のショーツ一枚という姿であり、何も隠していなかったから、その美しい肢体のほとんどが露わになっていた。
麻耶さんはどうやら自身のその姿に無自覚だったらしい。
「な……あ……わ、わたし……な、なんて格好で……」
綾音さんの指摘で、麻耶さんは顔をみるみると紅潮させて、俺の体から離れようとしたのだが——。
麻耶さんはかなり動揺していたらしく、その動作は素早かったが、強引に体をひねり過ぎたようだった。
麻耶さんはハイヒールをひねってしまい、バランスを崩す。
近くにいた綾音さんが慌てて麻耶さんの体を支えようと駆け寄るが、彼女もまた機敏な動きに不向きなドレス姿だったのが災いしたのか、麻耶さんに体ごと巻き込まれて——。
「あ!」
「きゃ!」
「うわ!」
と、二人の美女の驚きの声と俺のうめき声とともに、けっこうな大きな音が部屋にこだまする。
三人の人間が地面に倒れたのだから、それなりの騒音がしたのだろう。
と、なぜか今度はドアの方がにわかに騒がしくなる。
「敬三様! 大丈夫ですか! やはり麻耶さんが——鈴羽! 早くドアを開けなさい!」
「いえ……それが鍵が閉まっていて……」
「美月! 合鍵がなにかないの?」
「え……いや探せばあるとも思うのですが、手もとには——」
「となると……ドアごと壊すしかないようですね。しかしやけに頑丈ですね……こうなったら——」
と、花蓮さんたちの声が聞こえてくる。
ドア越しでも聞こえるくらいだから、彼女たちは相当大きな声で話しているのだろう。
いったい花蓮さんたちは何を……と俺が疑問を感じたときに、バキバキと乱暴な音が鳴り響き、ついでボンっと何かが破裂したような大きな爆音がした。
俺を含めた三人が何事かとドアを見ると、その半分くらいが消し飛んでいた。
そして、大きな穴……というか無惨な有様を示しているドアの残り部分からは、鈴羽さんの両手というか……ブレスレットが突き出てきた。
ドレス姿に不釣り合いな無骨なデザインのブレスレット……。
それを見て、俺は何が起きたのかようやく理解した。
鈴羽さんはいつの間にか装着していた炎龍のブレスレットを使用して、どうやらドアごと破壊したようである……。
なぜ鈴羽さんがそんなことをしでかしたのかまでは全く検討はつかなかったが……。
鈴羽さんは、辛うじて原型をとどめていたドアを乱暴にその両手で押し倒すと、そのまま中に入ってくる。
その後ろには花蓮さんと美月さんがつづく。
「これは……」
「やはりわたくしの懸念していたとおり……」
「……なるほどお母様、そういうことですか」
花蓮さんらは三者三様の表情を浮かべて、俺等を見る。
鈴羽さんと花蓮さんは怖い顔を浮かべており、美月さんは興味深げな表情をしている。
「なんとかギリギリ……間に合ったようですね。少し乱暴かと思いましたが、どうやらちょうどよかったようですね」
鈴羽さんがそう冷静な声で言う。
俺はただ唖然として、鈴羽さんたちを見上げていた。
そして、それは麻耶さんも綾音さんも同様だった。
「す、鈴羽! あなた……いったい、な、何を考えているの!」
突然の出来事に呆然としていた麻耶さんがようやく状況をつかめたのか、開口一番怒りの声を上げる。
あなたが拒否しているからです。
と言えばますます状況が悪化するのは火を見るよりも明らかだ。
だから、俺は、その場をごまかし、時間を稼げる適当な言葉を頭の中からひねり出し、
「えっと……じ、時間が……必要です。その数日……い、いえ数週間から一ヶ月くらいの時間が……」
と、うそぶいた。
「い、一ヶ月……そ、そんなに……で、でもこの状況が解決できるなら……」
俺がとっさに吐いた嘘であったが、麻耶さんは一応納得したように不承不承ながらもうなずく。
そこに綾音さんが言いにくそうな様子で、
「ま、麻耶さん……そ、その……何かで隠した方が……」
と、言う。
綾音さんが指摘するように、麻耶さんのその時の状態は、黒のショーツ一枚という姿であり、何も隠していなかったから、その美しい肢体のほとんどが露わになっていた。
麻耶さんはどうやら自身のその姿に無自覚だったらしい。
「な……あ……わ、わたし……な、なんて格好で……」
綾音さんの指摘で、麻耶さんは顔をみるみると紅潮させて、俺の体から離れようとしたのだが——。
麻耶さんはかなり動揺していたらしく、その動作は素早かったが、強引に体をひねり過ぎたようだった。
麻耶さんはハイヒールをひねってしまい、バランスを崩す。
近くにいた綾音さんが慌てて麻耶さんの体を支えようと駆け寄るが、彼女もまた機敏な動きに不向きなドレス姿だったのが災いしたのか、麻耶さんに体ごと巻き込まれて——。
「あ!」
「きゃ!」
「うわ!」
と、二人の美女の驚きの声と俺のうめき声とともに、けっこうな大きな音が部屋にこだまする。
三人の人間が地面に倒れたのだから、それなりの騒音がしたのだろう。
と、なぜか今度はドアの方がにわかに騒がしくなる。
「敬三様! 大丈夫ですか! やはり麻耶さんが——鈴羽! 早くドアを開けなさい!」
「いえ……それが鍵が閉まっていて……」
「美月! 合鍵がなにかないの?」
「え……いや探せばあるとも思うのですが、手もとには——」
「となると……ドアごと壊すしかないようですね。しかしやけに頑丈ですね……こうなったら——」
と、花蓮さんたちの声が聞こえてくる。
ドア越しでも聞こえるくらいだから、彼女たちは相当大きな声で話しているのだろう。
いったい花蓮さんたちは何を……と俺が疑問を感じたときに、バキバキと乱暴な音が鳴り響き、ついでボンっと何かが破裂したような大きな爆音がした。
俺を含めた三人が何事かとドアを見ると、その半分くらいが消し飛んでいた。
そして、大きな穴……というか無惨な有様を示しているドアの残り部分からは、鈴羽さんの両手というか……ブレスレットが突き出てきた。
ドレス姿に不釣り合いな無骨なデザインのブレスレット……。
それを見て、俺は何が起きたのかようやく理解した。
鈴羽さんはいつの間にか装着していた炎龍のブレスレットを使用して、どうやらドアごと破壊したようである……。
なぜ鈴羽さんがそんなことをしでかしたのかまでは全く検討はつかなかったが……。
鈴羽さんは、辛うじて原型をとどめていたドアを乱暴にその両手で押し倒すと、そのまま中に入ってくる。
その後ろには花蓮さんと美月さんがつづく。
「これは……」
「やはりわたくしの懸念していたとおり……」
「……なるほどお母様、そういうことですか」
花蓮さんらは三者三様の表情を浮かべて、俺等を見る。
鈴羽さんと花蓮さんは怖い顔を浮かべており、美月さんは興味深げな表情をしている。
「なんとかギリギリ……間に合ったようですね。少し乱暴かと思いましたが、どうやらちょうどよかったようですね」
鈴羽さんがそう冷静な声で言う。
俺はただ唖然として、鈴羽さんたちを見上げていた。
そして、それは麻耶さんも綾音さんも同様だった。
「す、鈴羽! あなた……いったい、な、何を考えているの!」
突然の出来事に呆然としていた麻耶さんがようやく状況をつかめたのか、開口一番怒りの声を上げる。
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