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第一章
束の間の遊戯-17-
「さて、瀬田局長、先程話した通り、この状況下では二見氏をこの場にとどめておくことは得策ではありませんわ。ですから、すぐにでも例の北海道のダンジョンに行かせましょう。本人もそれを望んでいますし、米国からの要請にも応えられて一石二鳥でしょう」
麻耶さんはそう一方的にタジタジ気味の局長相手にまくし立てている。
「い、いや……しかし、二条院会長。まずは、彼のいえ二見さんのお話を……」
「彼とはわたしがもう十分に話しましたわ。これ以上は無用です。それに彼の北海道行きについては、わたしがいない間に、各省庁とそれに米国政府とも同意なされているのでしょう?」
麻耶さんはそう言うと、一拍おいて、
「私はまるで聞いていなかったけれどね……」
と、眼光鋭く局長を睨む。
「そ、それは……た、確かにそうですが、や、やむを得なかったのです。二条院会長が先日の事件で怪我をされたと聞いたので、そんな中で話を入れるのもどうかと思い——」
「お気遣い頂いてありがとうございますわ。ですが、この通りわたしは今も元気ですわ。そして、今後もね」
麻耶さんは表情こそにこやかであった。
だが、どんなに鈍感な人間であっても彼女が心中かなり怒っているであろうことがわかってしまうくらいには迫力があった。
「とにかく……元々決定していたのなら、問題はないでしょう? ああ……それと二見氏以外の新ダンジョン探索の人員選定はわたしが行わさせていただきます。よろしいですわよね?」
「い、いや……それは……新ダンジョンについては場所も含めてその中も含めて色々と問題もあるので、わたしの一存では——」
「それは十分わかっていますわ。各省庁との話し合い……いや通達についても、わたしが行わさせていただきますのでご安心下さい」
「いやしかし、わたしの立場というものが——」
「いつものとおりわたしが最終的に責任をもつのだからいいでしょう!」
麻耶さんの迫力に圧倒されたのか、いやそもそもこれまでも経験から反論しても無駄だと悟っているのか、局長はただ肩を落としている。
麻耶さんはやはりいつもこんな風に一方的な会話に終始しているのだろう。
しかしこれではさぞかし周りに敵を作りそうだが、それでも本人は気にせずに抑え込んでしまうのが、麻耶さんの凄さといったところなのだろうか。
まあ……敵にはしたくないが、味方でいる内は頼もしい……のだろうか。
いや……待てよ。
麻耶さんの態度に目を奪われて、気にしていなかったが、先ほどの話しではいつのまにか俺が新ダンジョンとやらに行くことになっていた気が……。
麻耶さんは昨日のクラーク氏との話し合いではそのことに反対していたはずだが。
俺が、そう怪訝な顔を浮かべて麻耶さんを見る。
と、麻耶さんの方も俺の表情の変化に気づいたようで、軽い咳払いをした後で、
「さてと……局長、少しばかり席を外してくださるかしら? わたしは二見氏と話しがありますので。細かいことは娘……いえ美月が説明しますので」
「え? し、しかしまだ話しが——」
「局長、わがままを言って申し訳ありません」
と、美月さんは戸惑う局長相手にそう微笑し、二人の話しに割って入ると、
「母はどうしても二見さんと二人っきりで話したいようなので……」
と、なにか棘がある口ぶりで言う。
美月さんからすれば麻耶さんから呼ばれたり、追い出されたりと、振り回された格好になったから、嫌味の一つでもいいたかったのだろう。
結局そのまま美月さんは終始戸惑いの表情を浮かべて、同じく麻耶さんに振り回された局長とともに部屋を退出する。
正直なところ麻耶さんと二人っきりになってもロクなことにならない予感しかしないので、俺もそのまま美月さんについていきたかったのだが……。
俺はたぶんそんな思いを抱いていたから、大分顔がこわばっていたのだろう。
部屋に俺等だけ残されると、麻耶さんは、
「二見……こう見えてわたしはあなたのためを思って交渉しているのよ。それがわかっているの?」
と、機嫌が悪そうにそう言う。
麻耶さんはそう一方的にタジタジ気味の局長相手にまくし立てている。
「い、いや……しかし、二条院会長。まずは、彼のいえ二見さんのお話を……」
「彼とはわたしがもう十分に話しましたわ。これ以上は無用です。それに彼の北海道行きについては、わたしがいない間に、各省庁とそれに米国政府とも同意なされているのでしょう?」
麻耶さんはそう言うと、一拍おいて、
「私はまるで聞いていなかったけれどね……」
と、眼光鋭く局長を睨む。
「そ、それは……た、確かにそうですが、や、やむを得なかったのです。二条院会長が先日の事件で怪我をされたと聞いたので、そんな中で話を入れるのもどうかと思い——」
「お気遣い頂いてありがとうございますわ。ですが、この通りわたしは今も元気ですわ。そして、今後もね」
麻耶さんは表情こそにこやかであった。
だが、どんなに鈍感な人間であっても彼女が心中かなり怒っているであろうことがわかってしまうくらいには迫力があった。
「とにかく……元々決定していたのなら、問題はないでしょう? ああ……それと二見氏以外の新ダンジョン探索の人員選定はわたしが行わさせていただきます。よろしいですわよね?」
「い、いや……それは……新ダンジョンについては場所も含めてその中も含めて色々と問題もあるので、わたしの一存では——」
「それは十分わかっていますわ。各省庁との話し合い……いや通達についても、わたしが行わさせていただきますのでご安心下さい」
「いやしかし、わたしの立場というものが——」
「いつものとおりわたしが最終的に責任をもつのだからいいでしょう!」
麻耶さんの迫力に圧倒されたのか、いやそもそもこれまでも経験から反論しても無駄だと悟っているのか、局長はただ肩を落としている。
麻耶さんはやはりいつもこんな風に一方的な会話に終始しているのだろう。
しかしこれではさぞかし周りに敵を作りそうだが、それでも本人は気にせずに抑え込んでしまうのが、麻耶さんの凄さといったところなのだろうか。
まあ……敵にはしたくないが、味方でいる内は頼もしい……のだろうか。
いや……待てよ。
麻耶さんの態度に目を奪われて、気にしていなかったが、先ほどの話しではいつのまにか俺が新ダンジョンとやらに行くことになっていた気が……。
麻耶さんは昨日のクラーク氏との話し合いではそのことに反対していたはずだが。
俺が、そう怪訝な顔を浮かべて麻耶さんを見る。
と、麻耶さんの方も俺の表情の変化に気づいたようで、軽い咳払いをした後で、
「さてと……局長、少しばかり席を外してくださるかしら? わたしは二見氏と話しがありますので。細かいことは娘……いえ美月が説明しますので」
「え? し、しかしまだ話しが——」
「局長、わがままを言って申し訳ありません」
と、美月さんは戸惑う局長相手にそう微笑し、二人の話しに割って入ると、
「母はどうしても二見さんと二人っきりで話したいようなので……」
と、なにか棘がある口ぶりで言う。
美月さんからすれば麻耶さんから呼ばれたり、追い出されたりと、振り回された格好になったから、嫌味の一つでもいいたかったのだろう。
結局そのまま美月さんは終始戸惑いの表情を浮かべて、同じく麻耶さんに振り回された局長とともに部屋を退出する。
正直なところ麻耶さんと二人っきりになってもロクなことにならない予感しかしないので、俺もそのまま美月さんについていきたかったのだが……。
俺はたぶんそんな思いを抱いていたから、大分顔がこわばっていたのだろう。
部屋に俺等だけ残されると、麻耶さんは、
「二見……こう見えてわたしはあなたのためを思って交渉しているのよ。それがわかっているの?」
と、機嫌が悪そうにそう言う。
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