異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

新ダンジョン探索-01-

「——二見さん、そろそろ着きますよ」



 美月さんからそう言われて、まだ昼を回ったばかりだというのに俺は自分がうたた寝をしていることに気づいた。



 昨日はそれなりに睡眠を取れたつもりだったが、やはりなんだかんだとここ数日色々なことがありすぎて疲れているのだろうか。



 うつらうつらとした目蓋を開けると、車はいつの間にか高速道路から降りていて、一般道を走行していた。



 車窓の景色は、オフィス街から住宅街へと変わっていた。



 とその景色の中に見渡す限り一面の壁が飛び込んでくる。



 やがて、車は壁の切れ目にある検問所のような場所で、一時停止する。



 歩哨の兵……いや制服を着た自衛隊の隊員が近づいてくる。



 隊員の若い男は黒塗りの車と美月さんを見て、少しばかり怪訝な顔を浮かべる。



 まあ……この隊員の気持ちもわかる。



 見るからに要人が乗っていそうなこの黒塗りの車と見目麗しい容姿の令嬢然とした美月さん……どう考えても軍の駐屯地には似つかわしくない。



 美月さんが、



「二条院美月です。間宮三尉とお約束をしているのですが」



 と言うと、ますます若い男の顔色が当惑気味の顔に変わる。



「間宮三尉……ですか。失礼ですがその者の所属はどちらになりますでしょうか」



「第五中隊の間宮綾音三尉です」



「だ、第五中隊のあの……い、いえ……わかりました」



 隊員はなぜか声を上ずらせて、その顔は一瞬畏怖するような表情が浮かんでいた。



 俺は隊員の表情を見て、疑問を浮かべる。



 綾音さんは仲間の隊員からそんなに怖がられているのだろうか……と。



 俺の記憶する限りでは、俺が彼女から壊滅的に嫌われているということを割り引いても、そこまで怖い女性ではない気がするが……。



 隊員は検問所の方へ戻り、どこかに電話をしているようだった。



 やがて、こちらに走ってきて、



「ど、どうぞお通りください。あ、あちらの棟に三尉はいらっしゃるとのことです」

 

 と、なぜか慌てた様子で案内する。



 車は隊員の案内に従い、敷地内にある複数の棟の一つの近くにある駐車スペースに止まった。

 

 車を降りると、美月さんは



「へえ……ここに綾音さんがいるのか」

 

 と、興味深けに建物を見上げながら言う。

 

 俺も一緒に降りて、あたりを見回す。

 

 周りには制服を着た隊員が何人か歩いていた。

 

 彼らはみな美月さんの方をチラリと覗き見していた。

 

 先ほどの官庁の職員たちとは違って、さすがに訓練されているからなのか、隊員たちは、あからさまには美月さんのことを見てはいない。



 だが、それでもやはり彼らは美月さんのことが気になるらしい。



 まあ……男だらけの軍隊生活でこんな美しい令嬢がいきなり近くに現れたら見るなと言う方が彼らに酷か……。

 

 いや……待てよ、綾音さん……女性も士官をつとめているんだ。

 

 意外と今は女性の兵士もそれなりの数がいるのだろうか。



 そんなことを思っていると、途端に周りの隊員たちがこちらを見る気配がなくなった。



 というよりあからさまにこちらを避けて、顔を反対方向に背けている。

 

 うん……一体何が……。

 

 と俺が不思議に思っていると、



「美月、来たのか。美月がわざわざ来ることはなかったのにすまないな」

 

 と、後ろから声をかけられる。

 

 振り返ると、そこには綾音さんの姿があった。

 

 むろん昨日の艶やかなドレス姿と違って、今日の綾音さんは無味乾燥な制服姿であり、化粧っけもまるでない。

 

 さらに綾音さんは帽子を被って、髪もまとめているから、およそ女性らしさというものが感じられない。



 綾音さんのことを知らなければ、普通に男性……非常にハンサムな男性と見間違えるだろう。 



 とはいえ俺は昨日の綾音さんのドレス姿が鮮明に脳裏に残っているから、麻耶さんの時と同様に色々と俺の脳は齟齬を起こしてしまう。



 まあありていに言うと、そういう魅力的な姿を知っているからこそ、今の控えめな姿でも、どうにも綾音さんを女性として強く意識して見てしまう。
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