異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

新ダンジョン探索-02-

 とうの綾音さんは俺をチラリと一瞬だけ見た後に、すぐにそそくさと目線をそらしてしまう。



 そういう反応をするだろうとは予期していたが、綾音さんの態度に俺は先行の不安を感じてしまう。



 こんな調子ではたして俺は彼女とパーティーを組んで、ダンジョン探索などできるのだろうか……。



 ダンジョン内のモンスターよりもむしろそちらの方がよほど心配だ。



 と、俺が渋い顔をしていると、



「いえ……二見さんのこともありますし、それに……今回の任務の件は——」

 

 美月さんはそう言い、彼女もまた同じように顔を曇らせている。

 

 話しを聞く限り、美月さんと綾音さんは麻耶さんを介して互いに知人同士ということなのだろう。

 

 それに美月さんの話しぶりからすると、二人は単なる知人というよりは大分関係が深いようだ。



 だからなのか、美月さんもまた綾音さんが新ダンジョンの探索に行くことを心配しているようだった。



 まあ……美月さんと俺では心配している事柄がかなり違うのだが……。



「なんだ? 美月、心配しているのか。それは心外だな。そんなにわたしは信用がないのか?」



 綾音さんはやや苦笑まじりにそう言う。



「いえ……そんなことは綾音さんの力はよくわかっています。でも、それでも——」



「わかっている。ダンジョンでは何が起こるかわからないということは十分にな。だが、22年前とは違って、わたしも……いや我々もダンジョンに対する知識、経験を大分つけているんだ。それにそれは米国も同様……いや悔しいが彼らの方がよほど我が国より情報を持っているだろう。そんな米国のエージェントも同行するんだ。少人数とはいえ滅多なことでは遅れをとらないさ」



「それはまあ……そうですが……でも何もあえて綾音さんが行かなくとも。お母様も過去のことはよくわかっているはずなのに……」

 

 美月さんはなおも不安げな表情を浮かべている。

 

 いくらこの世界の認識が異世界のソレとは違うとはいえ、美月さんの不安は少し過剰なように俺には思えた。



 それとも、赤の他人である俺に対してもあんなに心配してくれた美月さんだから、綾音さんに対してここまで心を砕くのは当然なのだろうか。



「だから……なおさらわたしが行かなければならないのさ。麻耶さんが推し進めてきた改革で、我々自衛隊も非公式ではあるが、我々の部隊のようにダンジョンに関わることができるようになった。そして、わたしはそんな部隊を率いる隊長で、異能者だ。これ以上の適任はいないだろう」



 綾音さんは理路整然とそう話している。



 やや間があって、美月さんは大きなため息をついて、



「ふう……わかりました。実際にダンジョンに行く綾音さんにそんなに冷静に言われてしまったら、わたしが無駄に心配しすぎているみたいで、馬鹿みたいじゃないですか」



 と、頬を膨らませてふてくされた顔を浮かべる。



 だが、言葉とは裏腹に美月さんの表情はだいぶ自然で柔らかいものになっていた。



 きっと美月さんは綾音さんと直に話して、彼女の態度や雰囲気から感じるものがあったのだろう。



 綾音さんと美月さん……二人の関係性については俺は詳しくは知らないが、傍から見ていると、仲の良い姉と妹のように見える。



「ふ……そうだな。美月は麻耶さんと違って心配性だからな。いやあれで麻耶さんもそういうところはあるから、やっぱり母娘で似ているのかもな。安心しろ、22年前とは違うさ。わたしも……な」



「そうですね……。あの頃とは……違いますものね。それに……何といっても今回は二見さんもいますものね。二見さんの並外れた力ならどんなモンスターが出てきても一発ですもんね?」

 

 と、美月さんは不意に俺の方に話しをふってきた。

 

 俺は二人の会話に聞き入っていたから、その突然の振りに思わず泡を食ってしまう。

 

 現に綾音さんにいたっては、最初に俺から顔を背けてから今の今まで、俺がこの場に存在していないかのごとく振る舞っていた。
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