異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

新ダンジョン探索-11-

そうだとしても、俺は彼らの命を化け物……モンスターのことだろうか……から救った記憶はない。



 さてどうしたものかと俺は片手を頭において、対応に苦慮していると、突然隊員たちが一斉にその体を直立不動にして、姿勢を正す。



「間宮隊長!」

 

 中里曹長がそう大きな声を張り上げると、隊員全員が軍隊式の敬礼をする。

 

 俺が後ろをむくと、そこには綾音さんがいた。



「中里曹長、楽にしてよいぞ」

 

 綾音さんは、軽い敬礼をしてそう返すと、俺の方を見て、



「二見……先ほどは途中で悪かったな。き、急用があって……な」

 

 と、歯切れが悪そうにそう言う。

 

 そして、綾音さんは着替えたのか、制服が先ほどとは変わっていた。

 

 とはいえ他に様子がおかしいところはなく、幸いといってよいのか綾音さんの振る舞いはもとに戻っていた。

 

 居並ぶ部下を前にして、キリッとした佇まいを見せる今の綾音さんは、まさに士官にふさわしい態度といえる。

 

 綾音さんは隊員たちを見回して、咳払いをして、



「ごほん、みな集まっているのなら、ちょうどいい。今回の任務の説明をする。後から合流する米国のウォーカー少尉、それにここにいる二見……氏とともに、わたしは我が国管轄の北方領土内で先ごろ発見されたダンジョンの探索に赴く。みなは我々三人を根室沖まで護衛、輸送し、速やかに離脱。そこから先はわたしたち三人で現地まで赴く」

 

 と、そう無駄なくテキパキと言う。

 

 隊員たちはただ黙って、綾音さんの話しを聞いていたが、その顔にはほんのわずかであるが動揺が見られた。

 

 俺が兵士をやっていた異世界とこの世界が大きくその常識を異にするとしても、軍の上意下達の文化まではそこまで変わりはないだろう。



 だとしたら、彼らのような軍の兵士は上官の命令が絶対であると骨の髄まで叩き込まれているはずだ。

 

 そんな彼らが、上官の命令を聞いてこんな顔をするということはよほどこの任務は彼らにとって納得し難いのだろうか。

 

 綾音さんも部下たちのそうした反応に気づいているようで、



「言いたいことがある者はこの場で言ってみろ。どうせ我々の間には隠し事はできない。わたしの力でつなげばすぐにわかるのだしな」

 

 と、隊員たちの顔を見回して意味深に言う。

 

 つなぐか……綾音さんが使う魔法のことだろうか。



 言葉から察するに、部隊の士気……感情を……を操作するバフ系のようだが。



 やがて中里曹長が、おもむろに手を上げる。



「中里曹長、発言を許可する」



「では隊長、みなを代表してわたしが発言させていただきます。いくら隊長でもたった三人で未踏査のダンジョンを探索するのは、あまりにも……リスクが大きい。しかも、なぜ我々を連れていかずに部外者を連れて行くのでしょうか。命令は覆せないとしても、せめて説明だけはしてほしいものですな」

 

 と、中里曹長は表情を変えずに淡々とそう言う。

 

 そして、彼は一瞬俺をチラリと見て、すぐに視線を外す。



「やれやれ……美月といい……わたしはお前ら部下たちからも信用されていないのか?」



「隊長、自分は——」



「わかっている。中里曹長、さて……理由か。我が国の領土とはいえ、紛争を抱えている北方領土内に正規の陸自の部隊がまたぞろ島に上陸し、ダンジョン探索とはいかないだろう。そこで少数精鋭という訳だ。メンバーの一人は米国からの要請で、同盟国として我が国の立場上断るわけにはいかない。そして、最後の一人は……二見……氏だ。彼については説明は不要だろう」

 

 そう言うと、綾音さんは俺の方を見る。

 

 綾音さんに促されるように周りの隊員たちも一斉に俺の方を見る。

 

 彼らの大半はその顔に疑念や懸念……はたまた恐怖といった表情をにじませている。

 

 どうやら中里曹長の言葉にも関わらず、やはり俺は彼らにあまり信用されていないようだ。



 まあ……一度は敵対していたのだし、いきなり素性不明のオッサンを信用しろというのも無理からぬ話しか。



「他にないのであれば話しは終わりだ。すぐに出発の準備をして——」



「隊長! この男は本当に信用できるのですか? こいつの力は知っています。ですが……」

 

 隊員の一人が我慢できないと言った様子でそう声を張り上げて、俺の方を見る。



「……信用できる。少なくともわたしは二見……彼のことを信用している。わたしを含めてみな彼に命を救われた。信用という面では……それで十分だ」

 

 綾音さんはそう言うと、俺を見る。
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