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ネフリーティス森王国
従者キースの独り言
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俺はアヴェントゥリーニス竜王国オルキス大公家の嫡男ジルバート=オルキス様に仕えるキースっす。元は孤児で妹とちょっとヤンチャしていたところジルバート様にボコボコにされ今に至るというわけっす。竜人は強いものに惹かれる習性があり、例にもれず俺も妹も自分たちに圧勝したジルバート様に言いたかないっすが心酔してるっす。あの方の強さ以外にも惹かれた俺と妹は何としても役に立とうと努力し、気が付けば【準始祖の竜人】と呼ばれる見た目になっていたっすねハハハッ。
俺と妹のルーナがジルバート様に仕え始めたのは彼がまだ幼い頃。旦那様から「自分で従者を連れてこい」といわれたジルバート様。そして彼が訪れたのはまさかの貧民街。当時を振り返り「何故自分の従者をそんなところから探そうとしたんすか」と聞くと…
「手っ取り早く戦って強さが分かるからな」
だそうだ。確かに貴族の子弟にいきなり戦いを吹っ掛けるのもまして大公家嫡男と戦うというのも難しいっすよね。だからといって素性のハッキリしない自分らを選んだジルバート様も、それをあっさり認めた大公家の方々ももう少し何かあるでしょう!もし俺と妹が刺客とかだったらどうするんすか。そう聞いて帰ってきた答えは
「お前ら如きに殺される程弱くない」
だそうだ。あーはいそれこそ竜人、その上位に立つオルキス大公家っすね。ちなみにうちの影や使用人なんかも大公家の皆さまが直々に叩きのめし矯正した奴らや、抱え込んだ一族の集団で構成されてるっす。
何がここで言いたいのかというとっすね…こんな家でジルバート様が人間不信気味に陥るような暗殺は起こるはずがないってことっすよ!実はオルキス家は竜王国の影の役を建国当初から賜っているんすが、代々一族の皆さんの性格に問題ありの面倒な家系ならしいんす。なのにジルバート様を見て分かるように人を惹きつけ魅了する才に溢れているのがずるいんすがそれはここでは置いておくっす。
とにかく正確に問題のある一族でありジルバート様のお父君、現当主であるルドルフ=オルキス様も大変困った人格をお持ちで、わざとジルバート様に向かう刺客や毒を放置し苦しむジルバート様を笑うサイコパスっす。まぁ苦しむだけで死ぬ可能性や本当に危険なものは排除されていたり、何というか…厳選された刺客や罠をわざわざジルバート様に当てているところがこの方の歪んだ愛なんだなって思うようにしているっす。ただそのお陰というかジルバート様の危機察知能力や回避力、観察力が影の長に相応しいほど上がっていたという話は、もうこの家に生まれた主人の宿命なんだなって諦めているっす。
何故なら主も意外に負けず嫌いで旦那様の仕業だと気づきわざと罠にはまり、涼しい顔で「それがどうした」といわん顔をしちゃうんですから俺はもう見ないふりっす。この家族はこれが普通なんっす。孤児の俺にそんなことを言われるオルキス家っすが、代々当主の【番】遭遇率……いや誘拐率は高く現大公夫人は旦那様が任務から連れ帰ってきた冒険者らしいっす。まあこんな正確に難のある方々ですが家族関係は上手く…言っている気がするっす!
そんな我が主ジルバート様っすが黒髪金眼という《建国神話》の【竜王】と同じ色彩を持ち、昔から何かと苦労をしてきたお方っす。竜人は盲信的に王家や公爵家などの【始祖の竜人】や【準始祖の竜人】に忠誠を誓ったり惹かれるというわけではなく、そういうのは一般の竜人とかのあまりに実力が開いている奴らだけっす。だから貴族なんかやある程度の実力を持つやつらは謀反やら後ろ暗い事やらは出来てしまうんすよ。勿論全員が全員ってわけじゃないんすがね。
それで反王家派にとって真の王であると言われる竜王の色ってのは何かと都合がよく、御父上のせいで若干人間不信気味だったのに拍車がかかり今では無表情がテンプレートっすね。お陰で元は仲が良かったと聞いている第一王子殿下とも今は距離を置いているのだとか。
そしてその無表情でかつ昔からの仲でない信用に足らない人物や初対面の人には物凄く冷たいっす。特にジルバート様はこう…男の俺からしても色気が凄い方なので御令嬢方が放っておくはずがなく、幼馴染や昔から交流のあった女性以外の方には初っ端から絶対零度の目を向け愛想は皆無っす。
正直戦いでエキサイトした後の性処理道具としか思っていないんじゃないかという程その眼に熱はなく、なのに抱いてくれと群がる女に囲まれている主はある意味感動したっす。ただでさえ性欲が強く年頃の竜人は戦闘訓練などで興奮したりすると抑えられなくなり、軍では娼館を利用するやつも少なくないっす。俺は従者なので控えてるんすけど、ジルバート様は夜が明けるまでには必ず退出されるので本当にただ出して発散させるだけの行為みたいなんっすよね。
あぁ女といえばジルバート様に熱を上げている王女殿下に愛想笑い一つも見せなかった時は、もう俺は何があっても驚くことはないと思いましたっすね!ジルバート様は例え他国の女王であろうが王妃であろうが少しでも見惚れれば即氷結っすよ。だから正直あの時は自分の目を疑ったっす。
「彼女は俺が責任をもって保護する」
そう言って腕の中の少女を愛おしそうに見つめる主に、俺は人生で一番驚いたと思うっす。それくらいあんな表情のジルバート様は衝撃的で、日ごろの無表情、絶対零度の眼差し、塩対応などなどと雲泥の差だったっす。それを引き出した少女がまさかエルフと竜人が探し求めた【銀竜の君】で、ジルバート様の運命の相手だったなんて奇跡そうないと思うっす。多分ジルバート様は一生分の運をここで使い果たしてんじゃないかと思う程の幸運に出会ったんす。
竜人の【番】には二種類あって、一つ目は今回ジルバート様が出会われたロゼリア様のような運命の相手っす。出会った瞬間に好感度が異常に高く物凄く惹きつけられるそうで、番から出るフェロモンや匂いなどに強い影響を受けると言われているんす。獣人も同じような番がいるんすが、竜人の場合は確認されたカップルの少なさから【番】に出会えることは本当に稀で幸運なことであると言われているんっす。ただ互いの執着や愛情が深すぎて【番】に何かあれば即大暴れや後追いなんかもあるそうで、繋がる…つまり交わったあとにその傾向が一層強くなり基本雄は【番】を誰にも見せたくないと隠したがるそうっす。まぁそうはいかないのが理性ある人であり、そのせいで今回のラシェル様誘拐が引き起こされたんっすけど…
そしてもう一つの《番》は配偶者っす。獣人は【番】に遭遇する確率が非常に高く自ら探しに行く旅に出るので関係ないんすが、竜人はそうはいかず種を残すために【番】じゃなくとも問題はないんっす。ただこの場合子を孕むためには互いに体へ魔力を注ぎ《番》になる必要があり、それを行えば例えその後【番】が現れても心が動かされることはないらしいっす。
つまり愛のある《番》が難しいジルバート様にとって、運命の相手であるロゼリア様はまさに奇跡の存在だってことなんっすよ!
だから俺たちはそんなお二人を心から祝福しているんっすよ。
丘の花畑で楽しそうに追いかけっこをする二人をオルキス家の使用人たちは涙を流し喜んだ。
ーーーーーーーー
「~っす」という言葉遣いが分からず所々不自然ですが脳内で変換してください…
俺と妹のルーナがジルバート様に仕え始めたのは彼がまだ幼い頃。旦那様から「自分で従者を連れてこい」といわれたジルバート様。そして彼が訪れたのはまさかの貧民街。当時を振り返り「何故自分の従者をそんなところから探そうとしたんすか」と聞くと…
「手っ取り早く戦って強さが分かるからな」
だそうだ。確かに貴族の子弟にいきなり戦いを吹っ掛けるのもまして大公家嫡男と戦うというのも難しいっすよね。だからといって素性のハッキリしない自分らを選んだジルバート様も、それをあっさり認めた大公家の方々ももう少し何かあるでしょう!もし俺と妹が刺客とかだったらどうするんすか。そう聞いて帰ってきた答えは
「お前ら如きに殺される程弱くない」
だそうだ。あーはいそれこそ竜人、その上位に立つオルキス大公家っすね。ちなみにうちの影や使用人なんかも大公家の皆さまが直々に叩きのめし矯正した奴らや、抱え込んだ一族の集団で構成されてるっす。
何がここで言いたいのかというとっすね…こんな家でジルバート様が人間不信気味に陥るような暗殺は起こるはずがないってことっすよ!実はオルキス家は竜王国の影の役を建国当初から賜っているんすが、代々一族の皆さんの性格に問題ありの面倒な家系ならしいんす。なのにジルバート様を見て分かるように人を惹きつけ魅了する才に溢れているのがずるいんすがそれはここでは置いておくっす。
とにかく正確に問題のある一族でありジルバート様のお父君、現当主であるルドルフ=オルキス様も大変困った人格をお持ちで、わざとジルバート様に向かう刺客や毒を放置し苦しむジルバート様を笑うサイコパスっす。まぁ苦しむだけで死ぬ可能性や本当に危険なものは排除されていたり、何というか…厳選された刺客や罠をわざわざジルバート様に当てているところがこの方の歪んだ愛なんだなって思うようにしているっす。ただそのお陰というかジルバート様の危機察知能力や回避力、観察力が影の長に相応しいほど上がっていたという話は、もうこの家に生まれた主人の宿命なんだなって諦めているっす。
何故なら主も意外に負けず嫌いで旦那様の仕業だと気づきわざと罠にはまり、涼しい顔で「それがどうした」といわん顔をしちゃうんですから俺はもう見ないふりっす。この家族はこれが普通なんっす。孤児の俺にそんなことを言われるオルキス家っすが、代々当主の【番】遭遇率……いや誘拐率は高く現大公夫人は旦那様が任務から連れ帰ってきた冒険者らしいっす。まあこんな正確に難のある方々ですが家族関係は上手く…言っている気がするっす!
そんな我が主ジルバート様っすが黒髪金眼という《建国神話》の【竜王】と同じ色彩を持ち、昔から何かと苦労をしてきたお方っす。竜人は盲信的に王家や公爵家などの【始祖の竜人】や【準始祖の竜人】に忠誠を誓ったり惹かれるというわけではなく、そういうのは一般の竜人とかのあまりに実力が開いている奴らだけっす。だから貴族なんかやある程度の実力を持つやつらは謀反やら後ろ暗い事やらは出来てしまうんすよ。勿論全員が全員ってわけじゃないんすがね。
それで反王家派にとって真の王であると言われる竜王の色ってのは何かと都合がよく、御父上のせいで若干人間不信気味だったのに拍車がかかり今では無表情がテンプレートっすね。お陰で元は仲が良かったと聞いている第一王子殿下とも今は距離を置いているのだとか。
そしてその無表情でかつ昔からの仲でない信用に足らない人物や初対面の人には物凄く冷たいっす。特にジルバート様はこう…男の俺からしても色気が凄い方なので御令嬢方が放っておくはずがなく、幼馴染や昔から交流のあった女性以外の方には初っ端から絶対零度の目を向け愛想は皆無っす。
正直戦いでエキサイトした後の性処理道具としか思っていないんじゃないかという程その眼に熱はなく、なのに抱いてくれと群がる女に囲まれている主はある意味感動したっす。ただでさえ性欲が強く年頃の竜人は戦闘訓練などで興奮したりすると抑えられなくなり、軍では娼館を利用するやつも少なくないっす。俺は従者なので控えてるんすけど、ジルバート様は夜が明けるまでには必ず退出されるので本当にただ出して発散させるだけの行為みたいなんっすよね。
あぁ女といえばジルバート様に熱を上げている王女殿下に愛想笑い一つも見せなかった時は、もう俺は何があっても驚くことはないと思いましたっすね!ジルバート様は例え他国の女王であろうが王妃であろうが少しでも見惚れれば即氷結っすよ。だから正直あの時は自分の目を疑ったっす。
「彼女は俺が責任をもって保護する」
そう言って腕の中の少女を愛おしそうに見つめる主に、俺は人生で一番驚いたと思うっす。それくらいあんな表情のジルバート様は衝撃的で、日ごろの無表情、絶対零度の眼差し、塩対応などなどと雲泥の差だったっす。それを引き出した少女がまさかエルフと竜人が探し求めた【銀竜の君】で、ジルバート様の運命の相手だったなんて奇跡そうないと思うっす。多分ジルバート様は一生分の運をここで使い果たしてんじゃないかと思う程の幸運に出会ったんす。
竜人の【番】には二種類あって、一つ目は今回ジルバート様が出会われたロゼリア様のような運命の相手っす。出会った瞬間に好感度が異常に高く物凄く惹きつけられるそうで、番から出るフェロモンや匂いなどに強い影響を受けると言われているんす。獣人も同じような番がいるんすが、竜人の場合は確認されたカップルの少なさから【番】に出会えることは本当に稀で幸運なことであると言われているんっす。ただ互いの執着や愛情が深すぎて【番】に何かあれば即大暴れや後追いなんかもあるそうで、繋がる…つまり交わったあとにその傾向が一層強くなり基本雄は【番】を誰にも見せたくないと隠したがるそうっす。まぁそうはいかないのが理性ある人であり、そのせいで今回のラシェル様誘拐が引き起こされたんっすけど…
そしてもう一つの《番》は配偶者っす。獣人は【番】に遭遇する確率が非常に高く自ら探しに行く旅に出るので関係ないんすが、竜人はそうはいかず種を残すために【番】じゃなくとも問題はないんっす。ただこの場合子を孕むためには互いに体へ魔力を注ぎ《番》になる必要があり、それを行えば例えその後【番】が現れても心が動かされることはないらしいっす。
つまり愛のある《番》が難しいジルバート様にとって、運命の相手であるロゼリア様はまさに奇跡の存在だってことなんっすよ!
だから俺たちはそんなお二人を心から祝福しているんっすよ。
丘の花畑で楽しそうに追いかけっこをする二人をオルキス家の使用人たちは涙を流し喜んだ。
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「~っす」という言葉遣いが分からず所々不自然ですが脳内で変換してください…
応援ありがとうございます!
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続き待ってます!
誤字指摘なのですが数話に渡って『見方』となっていますが正しくは『味方』ではないのですか。
ご指摘ありがとうございます!次話から注意深く確認します。
近日の更新ありがとうございます😊
気になっていたのですがラシェル姫の遺体は、ロゼリアとクリストファーが食べたのですか?
感想ありがとうございます!流石に連日は厳しいですがちょこちょこ更新していこうと思います。
そして私は今返信す手が震えております…あと何話かしたら答えが出るので許してください名探偵様:(´◦ω◦`):