原作を書いたオレはラスボスになるのを全力で拒否してモフモフ達とのんびりします!

新川 さとし

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第1章 魔の森編

第7話-2 誤解してない?

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 まあ、古い壁だし、ずっと放置だからね。ヒビの一つや二つ入るかも。

 ん?

「誠に申し上げにくいのですが」
「どうした。言え」
「現在、修復を急がせておりますが、少なくとも三箇所は、オーククラスの体当たりを想定すると強度が不足しております」
「なるほど」

 オークどころか、大型の魔物は近寄らせないけど、それは言ってないもんね。かと言って「ドラゴン型ドローンが守ってるから気にすんなよ」と言うわけにもいかないし。

 どうしたものかと、顎に手を当てて考えていると、スミスの声が上ずった。どうやら、怒りの仕草と受け止めたっぽい。

「もうしわけありません。ご不興を買うのは承知しておりますが、何分、到着早々のため資材を用意するところから始めておりまして」

 そりゃそうだよね。

「お怒りは、このスミスめにお与えください」

 あ~ マルスの記憶にある「お仕置きファイアー」ってやつだ。戦闘力のある騎士なんかがミスをすると、容赦なく極小サイズで「ファイヤー」の魔法を尻に当てるんだよね。

 だから、騎士達のパンツはたいてい、尻に焦げ目が付いて繕った跡があるんだ。

 でも、壁が自然現象で劣化したことも、修理用の資材がないことも、さすがにこの人達の責任ではないからね。

「スミス」
「はいっ」
「現場に案内せよ」
「は、はい!」

 青ざめた護衛隊長に案内されて、最初の現場に行った。なるほど、少しヒビが入っている。それにしても、表面的には微かだ。

「このレベルを良く見つけたな」
「はっ。厳重に確認させました」

 むしろ、これを見つけたことを誉めたいよ。後でご褒美をあげなくちゃだ。

 それはさておき、今はこっち。

「土魔法、ウォール!」
 
 ホントは言葉を出す必要なんてないけど、魔力のない人の前だから演出が必要だもんね。

 壁を薄らと黄色っぽく光らせて(演出です)ナノマシン達にヒビの部分を分子結合させるのに、何秒もかからない。ついでに周りの壁自体も補強しちゃおう。こっちは光らせなくても良いよね。

「魔法で壁を補修していただけるなんて。しかも土魔法。さすが若殿。火だけはなく土までも使いこなすのですか……」
「あぁ、この程度、大した話ではないぞ。メイド達が茶を持って来てくれるらしいからな。それまでにすませておこうか」

 そこから二箇所の修理をして、オレは午後の紅茶ハイティー※を楽しんだんだ。

 専属メイドのシアは、オレの部屋の片付けに専念しているから、お茶を持って来てくれたのは、さっきのメイドさんの一人だった。

 テーブルに用意した後で、壁の側に行って背中を向けた。

「あの、先ほどのご無礼。私が打たれますので、お許しを」

 スルスルとスカートを上げていく。

「ちょ、ちょっと待った! 何をする! 下ろして! スカート」

 全く、オレがヘンタイ貴族みたいじゃん。

「あの、打擲をなさるのでは?」
「別に怒ってないし。それに、そんなお仕置きしないよ!」
「そ、そうなのですか。こ、これは大変失礼いたしました」

 逃げるように出ていったよ。

 そこに聞こえたのはシアの声。

「やれやれ」

 え? と思って振り向くと、ちょっと不機嫌そうなシアだ。

 おそらく、オレにも聞こえてるとは思ってない小さな声。

「油断も隙も無い。まったく、マルス様をユーワクだなんて」

 えっと振り向いてシアと目があった。

「私に」
 
 あ、これ、翻訳するとヤバいヤツだ。

「(スカートを上げたお尻が良いなら)私に(どうぞ鞭を振るってください)」

 だから、そんなの趣味じゃないからね!
 
 「普通の主人」までの道のりは遠そうだなぁ。


 ※ハイティー:貴族達が午後、ちょっとお腹が減ったところに楽しむ、お菓子とお茶。スコーンやケーキなど、ちょっと多めのおやつになります。この習慣は、貴族が「夜会」などで夕食を遅く食べることが多いからできたようです。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
作者より 
とりあえず、居心地を良くしないとですよね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 
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