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第1章 魔の森編
第16話-2 ジャイアントビー
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手をつないで森をお散歩。ただし「魔の森」って言われてる森だけど。
エリザベスは、こっちを見つめて目が合うと最高の笑顔を浮かべてくるんだから、楽しそうって思って良いよね?
「はい。マルス様とデートができるなんて。一生の記念にします、っていうか、父に頼んで、エンドレス領の祝日にしてもらおうかと」
「いや、それはやめて」
口調だけだと冗談に聞こえるけど、目がマジだ。
「でも、こんな日は、きっともう一生ないかと」
「いや、ピクニックくらい、また来れば良いじゃん。この調子だと、ご実家の祝日が平日を上回っちゃうよ?」
ここにいる以上、たまに、こうやって連れ出すつもりだ。いくら別荘が広いとは言えずっと引きこもっているのは可哀想だから。
こういう「お散歩」くらいはありだよね。
※お散歩:普通の人は命がけの冒険をしている場所です
「えええ! また、デートをしていただけるのですか! ありがとうございます。あの、も、もう、聞いちゃいましたからね! 今の、ウソッこ、なんておっしゃったら泣いてしまいますから」
「この程度のことでウソをついても仕方ないでしょ。別に何度でも来るから。そもそも、一緒に住んでるんだし」
「そ、そういえば同居状態。デートもした。となったら、私たちは、もはや夫婦も同然……」
なんか、目がイッちゃってる感じだよ。脳波の乱れを感じたのか、ラックが心配そうに見上げて、くぅ~んと甘え鳴き。
「あ~ えっと、あのぉ、そ、そろそろ見えてくるよ。静かに行くからね」
コクン
実に素直に肯いてくれた。代わりに、恐る恐るだけど、でも、最初に拒否しなったら、実に大胆に手をつないできた。
柔らかい。
このくらいは、まあ、仕方ないよね? 静かにしててもらうんだし。迷子になっても困るし。
「巣の様子は?」
小さな声で尋ねると、チカは冠羽(頭の所にある長い羽根のこと)をピシッと立ててる。情報収集中らしい。
「警戒している様子はありません」
「よし。じゃあ、一気にやっちゃおうか」
オーバーハングした巨大な岩壁にぶら下がっているツボ状の巣。
「巣ごと討伐するのであれば、接続部分をカットすれば落下させることが可能です。継続的にハチミツを採取するのであれば上の一部を20パーセントほどカットすることを推奨します」
さすがサポートAI。分かってらっしゃる。
ん?
気が付いたら、エリザベスがこっちを見てる。ヤバいか。そりゃ、オカメインコと「会話」してたら気になるよね。
「あ、えっと、チカはオカメインコと言ってだな。インコとは付いているがオウムの仲間だ。喋っても問題ない」
コクコクコク
顔が引き攣ってるけど、分かってくれたらしい。良かった。
「じゃあ、見ててね」
コクン
なぜか、ギュッと二の腕を身体で抱え込むようにしてきた。あ~ それは男の子的に、ちょっとマズいかも。痩せてるはずなのに、なんでこんなに柔ら……って、とにかく集中だ!
空気中の水分を薄い刃の形にして、高速で巣の表面をカット。上と下を同時に2メートルほどの幅で切り取る。二枚刃だから、ね。
同時に「遠隔操作」の魔法を発動して、カット部分を空中に持ち上げる。
ジャイアントビー達が、巣に対する攻撃を認識して、一斉に羽音の周波数を高くした。警戒音だ。
でも、魔法だけで操作しているから気付いてない。ジャイアントビーからしたら敵が見えてないから、ヤツらにとっては自然現象みたいなものなんだろう。
警戒はしているけど、表情的には戸惑ってる感じかな?
とりあえず、切り取った部分を空中に固定。同時に「吹き付け」魔法によって、取り付いていたハチを吹っ飛ばす。
もう、これだけでシズクが滴り始めているんだけど、切り取った部分のすぐ下には空気中の水分を凍らせて漏斗が作ってある。
とろ~り とろ~り とろ~り
氷のナイフで中に切れ目を入れると、垂れやすくなるんだよね。
そして、切れ目を入れ終わったら、一気に上からブロアだ!
ブワッと漏斗目がけて吹き飛んだハチミツは、真ん中のツボに入ってる。
『だいたい200リットルほどか。十分だな』
大漁、大漁。もしも足りなくなったら、また取りに来れば良いしね。
「蜜を取った後の巣も高値が付くよ」
おっ、AIなのに世情に長けてるね!
よろこんで切り取った巣の「残り」とツボをインベントリに収納っと。
ここまで、全くハチに気付かれずで、良かった。
「さ、帰るよ。ん?」
「あのぉ、チカ様は、ひょっとして神鳥さまでいらっしゃ…… いえ、なんでもありません。帰りましょう。マルス様」
大収穫に気を良くしたオレは、エリザベスの目がチカを崇める視線で見ていたことには気付かなかったんだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
作者より
次回は、料理回なのか、スイーツ回なのか。それが問題だ。
それにしても、これだけ目の前で喋ってたら、どう考えても、この鳥は何かおかしいって気付きますよね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
エリザベスは、こっちを見つめて目が合うと最高の笑顔を浮かべてくるんだから、楽しそうって思って良いよね?
「はい。マルス様とデートができるなんて。一生の記念にします、っていうか、父に頼んで、エンドレス領の祝日にしてもらおうかと」
「いや、それはやめて」
口調だけだと冗談に聞こえるけど、目がマジだ。
「でも、こんな日は、きっともう一生ないかと」
「いや、ピクニックくらい、また来れば良いじゃん。この調子だと、ご実家の祝日が平日を上回っちゃうよ?」
ここにいる以上、たまに、こうやって連れ出すつもりだ。いくら別荘が広いとは言えずっと引きこもっているのは可哀想だから。
こういう「お散歩」くらいはありだよね。
※お散歩:普通の人は命がけの冒険をしている場所です
「えええ! また、デートをしていただけるのですか! ありがとうございます。あの、も、もう、聞いちゃいましたからね! 今の、ウソッこ、なんておっしゃったら泣いてしまいますから」
「この程度のことでウソをついても仕方ないでしょ。別に何度でも来るから。そもそも、一緒に住んでるんだし」
「そ、そういえば同居状態。デートもした。となったら、私たちは、もはや夫婦も同然……」
なんか、目がイッちゃってる感じだよ。脳波の乱れを感じたのか、ラックが心配そうに見上げて、くぅ~んと甘え鳴き。
「あ~ えっと、あのぉ、そ、そろそろ見えてくるよ。静かに行くからね」
コクン
実に素直に肯いてくれた。代わりに、恐る恐るだけど、でも、最初に拒否しなったら、実に大胆に手をつないできた。
柔らかい。
このくらいは、まあ、仕方ないよね? 静かにしててもらうんだし。迷子になっても困るし。
「巣の様子は?」
小さな声で尋ねると、チカは冠羽(頭の所にある長い羽根のこと)をピシッと立ててる。情報収集中らしい。
「警戒している様子はありません」
「よし。じゃあ、一気にやっちゃおうか」
オーバーハングした巨大な岩壁にぶら下がっているツボ状の巣。
「巣ごと討伐するのであれば、接続部分をカットすれば落下させることが可能です。継続的にハチミツを採取するのであれば上の一部を20パーセントほどカットすることを推奨します」
さすがサポートAI。分かってらっしゃる。
ん?
気が付いたら、エリザベスがこっちを見てる。ヤバいか。そりゃ、オカメインコと「会話」してたら気になるよね。
「あ、えっと、チカはオカメインコと言ってだな。インコとは付いているがオウムの仲間だ。喋っても問題ない」
コクコクコク
顔が引き攣ってるけど、分かってくれたらしい。良かった。
「じゃあ、見ててね」
コクン
なぜか、ギュッと二の腕を身体で抱え込むようにしてきた。あ~ それは男の子的に、ちょっとマズいかも。痩せてるはずなのに、なんでこんなに柔ら……って、とにかく集中だ!
空気中の水分を薄い刃の形にして、高速で巣の表面をカット。上と下を同時に2メートルほどの幅で切り取る。二枚刃だから、ね。
同時に「遠隔操作」の魔法を発動して、カット部分を空中に持ち上げる。
ジャイアントビー達が、巣に対する攻撃を認識して、一斉に羽音の周波数を高くした。警戒音だ。
でも、魔法だけで操作しているから気付いてない。ジャイアントビーからしたら敵が見えてないから、ヤツらにとっては自然現象みたいなものなんだろう。
警戒はしているけど、表情的には戸惑ってる感じかな?
とりあえず、切り取った部分を空中に固定。同時に「吹き付け」魔法によって、取り付いていたハチを吹っ飛ばす。
もう、これだけでシズクが滴り始めているんだけど、切り取った部分のすぐ下には空気中の水分を凍らせて漏斗が作ってある。
とろ~り とろ~り とろ~り
氷のナイフで中に切れ目を入れると、垂れやすくなるんだよね。
そして、切れ目を入れ終わったら、一気に上からブロアだ!
ブワッと漏斗目がけて吹き飛んだハチミツは、真ん中のツボに入ってる。
『だいたい200リットルほどか。十分だな』
大漁、大漁。もしも足りなくなったら、また取りに来れば良いしね。
「蜜を取った後の巣も高値が付くよ」
おっ、AIなのに世情に長けてるね!
よろこんで切り取った巣の「残り」とツボをインベントリに収納っと。
ここまで、全くハチに気付かれずで、良かった。
「さ、帰るよ。ん?」
「あのぉ、チカ様は、ひょっとして神鳥さまでいらっしゃ…… いえ、なんでもありません。帰りましょう。マルス様」
大収穫に気を良くしたオレは、エリザベスの目がチカを崇める視線で見ていたことには気付かなかったんだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
作者より
次回は、料理回なのか、スイーツ回なのか。それが問題だ。
それにしても、これだけ目の前で喋ってたら、どう考えても、この鳥は何かおかしいって気付きますよね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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