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第1章 魔の森編
第19話-1 お届け物
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お館様宛を含めて、何通かの手紙を書き終わった。いくつかの贈り物も用意した。
感覚的には「お裾分け」に過ぎない。お手軽に大量のハチミツを手に入れたのだから「知り合いに差し上げる」と言う感覚だ。
多少、値段が張るのかも知れないが、貴族同士の贈り物だ。まして、大事な令嬢をお預かりしているんだから、問題はないはずだからね。
「よぉし。じゃ、これで、お終いっと」
最後の一通に封蝋を押したタイミングで、エリザベスがやってきた。もちろん、足下にはラックが一緒だ。
しっかりと「主人」の動きを見切っていた。だから足下で戯れているけど、絶対に邪魔にならないようにしているのがすごい。
ちなみに、エリザベスがイスに座る時なんかは、背中をふわっと脚にくっつけながら、耳だけピンと立てて寝ている。ただし、自分の話題になると尻尾をパタン、パタンと動かしているところを見ると、寝たふりぽい気がする。
ともあれ、ラックと一緒に入ってきたエリザベスは盆を手にしているのだから、目的はハッキリしている。しかも、あまりにも都合の良すぎるタイミングだから、オレのやっていることを見ていたに違いない。
「そろそろご休憩など?」
「ありがとう。そうしようかな。君も一緒にどう?」
「ありがとうございます」
つぼみがほころぶような柔らかい笑顔を見せた。
心から嬉しい、という感情が伝わってくるようだ。
緑の濃い外を眺めるテラスに向き合って、お茶をする。
「美味しそうなクッキーだね」
「贅沢ですけど、あんなに素敵なハチミツを見たら焼きたくなってしまって。お口に合えば良いのですけど」
バターとハチミツの香りが絶妙だった。
「うん。美味い」
「良かった」
ちゃんと別のお皿にラックとチカの分を持って来てるんだから、どうやら、エリザベスの中では「当然、お裾分けをするべき存在」ということらしい。
「はい。チカ様」
「うまい。エリザベス、上手、上手」
「ありがとうございます」
オレの肩にとまったまま、エリザベスの差し出したクッキーを器用にこぼさず食べている。オウムっぽく喋ってるけど、チカの知能はエリザベスに既にバレバレだと思うぞ。
何となくチカに対して恭しく接しているもんなぁ。
ともあれ、ご主人がチカに食べさせているためか、オレの膝で満足げなラックも、クッキーを堪能中。
「ふふふ。シアちゃんも、召し上がってくださいね」
「仕事中」
オレの横に立っているシアは、にべもない返事をしつつ、目が欲しがってるよね。
「シア、君も食べるんだ。オレの好きな味を覚えるのも仕事だぞ」
「いただきます」
無表情に見えるけど、口角がわずかに上がっているので、とっても嬉しかったのだというのがオレには分かる。
「ハイティーの時は、マドレーヌを焼きますね」
ヒクッとシアの表情筋が反応した。
「それは楽しみだ。シア、君が味見をした上で、持ってくるんだぞ。もちろん、エリザベスと一緒にお茶をするからね」
「わかりました」
目が輝いてる。
無口だけど、オレからしたら、表情がわかりやすくてかわいい。
「それなら、シアさん、よろしくお願いしますね」
「承知」
ぶっきらぼうな返事にもエリザベスはニッコニコ。
オレとシアの関係を早くも飲み込んだのか、エリザベスは「ライバル」と考えるよりも「仲間」として取り込もうとしているのがありありだ。
一方、シアの忠誠心からしたら「マルス様が大好きなエリザベスは同士」って感じらしい。
このあたりの関係性は原作に忠実だなと思う。オレの本の中でもシアとエリザベスは、勝手に「マルス様への気持ちをシェア」してたもんなぁ。
それにしても、別荘の騎士達の動きがキビキビしている。
『こっちを確認したわけだね』
庭や外壁の上にいる騎士達は、さりげなくこちらを見てから視線を外している。
警備に付いている人間には、いささかの緩みもない。むしろ緊張しまくっていた。
えっと、すごい真面目に警備しているんだね。
感覚的には「お裾分け」に過ぎない。お手軽に大量のハチミツを手に入れたのだから「知り合いに差し上げる」と言う感覚だ。
多少、値段が張るのかも知れないが、貴族同士の贈り物だ。まして、大事な令嬢をお預かりしているんだから、問題はないはずだからね。
「よぉし。じゃ、これで、お終いっと」
最後の一通に封蝋を押したタイミングで、エリザベスがやってきた。もちろん、足下にはラックが一緒だ。
しっかりと「主人」の動きを見切っていた。だから足下で戯れているけど、絶対に邪魔にならないようにしているのがすごい。
ちなみに、エリザベスがイスに座る時なんかは、背中をふわっと脚にくっつけながら、耳だけピンと立てて寝ている。ただし、自分の話題になると尻尾をパタン、パタンと動かしているところを見ると、寝たふりぽい気がする。
ともあれ、ラックと一緒に入ってきたエリザベスは盆を手にしているのだから、目的はハッキリしている。しかも、あまりにも都合の良すぎるタイミングだから、オレのやっていることを見ていたに違いない。
「そろそろご休憩など?」
「ありがとう。そうしようかな。君も一緒にどう?」
「ありがとうございます」
つぼみがほころぶような柔らかい笑顔を見せた。
心から嬉しい、という感情が伝わってくるようだ。
緑の濃い外を眺めるテラスに向き合って、お茶をする。
「美味しそうなクッキーだね」
「贅沢ですけど、あんなに素敵なハチミツを見たら焼きたくなってしまって。お口に合えば良いのですけど」
バターとハチミツの香りが絶妙だった。
「うん。美味い」
「良かった」
ちゃんと別のお皿にラックとチカの分を持って来てるんだから、どうやら、エリザベスの中では「当然、お裾分けをするべき存在」ということらしい。
「はい。チカ様」
「うまい。エリザベス、上手、上手」
「ありがとうございます」
オレの肩にとまったまま、エリザベスの差し出したクッキーを器用にこぼさず食べている。オウムっぽく喋ってるけど、チカの知能はエリザベスに既にバレバレだと思うぞ。
何となくチカに対して恭しく接しているもんなぁ。
ともあれ、ご主人がチカに食べさせているためか、オレの膝で満足げなラックも、クッキーを堪能中。
「ふふふ。シアちゃんも、召し上がってくださいね」
「仕事中」
オレの横に立っているシアは、にべもない返事をしつつ、目が欲しがってるよね。
「シア、君も食べるんだ。オレの好きな味を覚えるのも仕事だぞ」
「いただきます」
無表情に見えるけど、口角がわずかに上がっているので、とっても嬉しかったのだというのがオレには分かる。
「ハイティーの時は、マドレーヌを焼きますね」
ヒクッとシアの表情筋が反応した。
「それは楽しみだ。シア、君が味見をした上で、持ってくるんだぞ。もちろん、エリザベスと一緒にお茶をするからね」
「わかりました」
目が輝いてる。
無口だけど、オレからしたら、表情がわかりやすくてかわいい。
「それなら、シアさん、よろしくお願いしますね」
「承知」
ぶっきらぼうな返事にもエリザベスはニッコニコ。
オレとシアの関係を早くも飲み込んだのか、エリザベスは「ライバル」と考えるよりも「仲間」として取り込もうとしているのがありありだ。
一方、シアの忠誠心からしたら「マルス様が大好きなエリザベスは同士」って感じらしい。
このあたりの関係性は原作に忠実だなと思う。オレの本の中でもシアとエリザベスは、勝手に「マルス様への気持ちをシェア」してたもんなぁ。
それにしても、別荘の騎士達の動きがキビキビしている。
『こっちを確認したわけだね』
庭や外壁の上にいる騎士達は、さりげなくこちらを見てから視線を外している。
警備に付いている人間には、いささかの緩みもない。むしろ緊張しまくっていた。
えっと、すごい真面目に警備しているんだね。
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