原作を書いたオレはラスボスになるのを全力で拒否してモフモフ達とのんびりします!

新川 さとし

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第1章 魔の森編

第20話-1 朝の運動

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「若と…… 若様、本当に、なさるので?」
「冗談で、こんなに重いモノを着たりしないよ」

 スミスが不安そうだ。

 というのは、腕の立つ者にまとめて稽古を付けると「命令」したからだ。部下思いのスミスが不安そうな顔をするのは、それなりの理由があるんだよ。

 オレだけが甲冑を着けているのは、そうしないと騎士達が遠慮するからに過ぎない。基本的に彼らが触れるわけはないと思ってる。

 ちなみに甲冑の外側のあちこちに薄板を付けているのは「アタリ判定用」だ。

 この薄板を割れた者には「グレートハニー」の賞品付きだって宣言済み。家庭用のハチミツ入れくらいのツボにたっぷり入れてある。

 舐めるもよし、家族に送るもよし。

 挑んでくる(もちろん、命令されたからだけど)騎士達の目の色が変わった。彼らだって、それなりに腕に覚えがあるから騎士をヤッてるし、メディチ家の騎士団は訓練が厳しいことでも有名だしね。

 この薄板が割れたら「グレートハニー」だ。

 たぶん、普通に売っても帝都で豪壮な屋敷が構えられるくらいの値段はするはずだし、オークションで売れば、一生遊んで暮らせるくらいにはなるだろう。

 舐めちゃう勇気のある人はいないよね。あ、指ひとすくいくらいはしてみたいかな? まあ、好きにすれば良いよ。(彼らは、昨日、エリザベスお手製のグレートハニー入りクッキーを食べてます)

 ただし、現実は「甘く」ない。

 回復ヒールはして上げるけど、木剣での稽古だから骨くらいは折れると思うよっていうか、必ず折る。まあ、頭部は狙わないから回復が間に合わない即4はないと思う。

 ちなみに、騎士達は鎧を着ける、着けないは本人に任せた。
 
 何しろ「一太刀浴びせれば一生遊んで暮らせる」って条件だけに、少しでも身軽になろうと、誰も甲冑を着けなかったわけ。

 し~らないっと。

 選んだのは本人だからね。ちなみに、スミスは「鎧は着けた方が良いぞ」とアドバイスをしていたから親切だよ。

 ただし、本人は判定役だ。

「ごめんね、生涯、遊んで暮らせるチャンスを上げられなくて」
「いえいえ、めっそうもございません。身の程をわきまえておりますので」
「そんなことはないぞ。約束通り攻撃魔法は使わないから、鍛えてあれば触るくらいはできるかも」
「はぁ。今回は、本家で若殿の訓練を受けたことのない者ばかりですから、今のところは元気ですがね」

 そう言えば、この3年くらいはろくに稽古を付けてなかったな。6歳くらいまでは、毎日のようにやっていたし、その後は年に一回くらいはしてきたんだけど。

 オレの設定では、マルスは身体強化魔法が得意だった。幼い時からナチュラルに常時発動可能な才能と魔力を持っていたのもある。

 しかも、基本的な身体能力自体も元から高かったし、剣の才能の持ち主だ。さすが、後々「死神」と言われるだけはあるんだよね。武術指南で雇った人も含めて、家中の騎士は5歳で相手にならなくなったんだ。

 別荘に来てから、早1ヶ月。
  
 期待していた魔物も(ぶるちゃんが、張り切って自動討伐してるから)来ないし、たまには身体を動かした方が良いでしょってことで、こうなったんだ。

 まあ、本当はオレが甲冑を着る必要なんてないけど、ハンデと思ってもらえれば良いか。

 魔物討伐用の重鎧だけに、全身で20キロ以上はあるもんね。


「お前達はどんなに卑怯な方法でも構わない。何人がかりでもいいし、後ろから来ても、連携して攻めてきてもいいぞ。と言うか、むしろそうしろ。板が割れた時にかかってきた人間には全員、プレゼントだからな」
 
 おぉ、っと全員が、嬉しそうな声を漏らした後で「はい!」という良いお返事をしてくれた。結構、躾が良いんだね。

「じゃあ、始めるぞ。スミス?」
「はっ。では、始め!」

 今回はたった十人しかいないので、とりあえず、待ってみた。

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