原作を書いたオレはラスボスになるのを全力で拒否してモフモフ達とのんびりします!

新川 さとし

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第2章 帝国学園 1年生編

第33話-2 闇の中で眠れ

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・・・・・・・・・・・

 
【その少しだけ、前のこと】

 闇に潜む男達を率いて、リーダーは覆面の下で静かに笑う。

 ククク

 遠くで、学生達の笑い声が聞こえた気がした。心から「新歓キャンプの夜」を楽しんでいるため、脱走しようなどと考える学生はいないのだろう。

 いきおい、護衛の男達も「いつもどおりだ」の気持ちが大きくなる。けっして油断はしてないものの、緊張感がみなぎっているとは言えない水準であった。

 油断してやがる。

 まあ、ガキどもは寝てないと思ったが、これだけ緩みきった様子だ。突然、襲われてから魔法が使えないと分かったら、ショックで満足に動けまい。オマケに外の警備の緊張感なら十分に「スリープ」の魔法効果が出るだろう。

 リーダーはチラリと魔法使いに目をやった。連中はこちらと目が合うと横柄な態度で肯いて返してきた。

 近接防衛を担当する人間がいないと、どうにもならないくせに、平民には使えない「魔法」という要素を持つだけで男達は尊大な態度だった。

 だが、連中のご機嫌を損ねるわけにはいかない。

「頼みますよ」

 と辞を低くして頼むリーダーに、鷹揚に頷いた三人は集中して呪文を唱える態勢となった。

「夢の風の囁き 夜の静寂が包むこの時 疲れた魂よ 安らぎの国へと進め。
 夢の門よ開かれん 穏やかな眠りが訪れんことを。 
 心地よい休息が訪れ、 魂よ穏やかな夜の海へと漂うがよい」

 三人の魔法使い達は協力し合って「眠れスリープ」と魔法を放つ。光背がわずかに光り、そこから光波の流れのようなモノがうっすらと伸びていく。

 警護隊に向かって、ベールがかかるように落ちていった。

 興奮している相手には効かないが、夜闇に退屈な警備をしている相手なら、ふわりと眠りの世界に引きずり込んでしまうくらいは簡単だ。

 詰め所にいる者を合わせても50名ほど。

 ホンの一瞬だけでも注意力が落ちてくれれば、もうこっちのものだった。

 鍛えに鍛え上げた特殊部隊の30名が一気に襲いかかれば、一瞬で終わる。

 目の前でバタバタと倒れていく。

『へぇ~ 今回の魔法使いはアタリだな。ここまですごいスリープは初めてだ』

 ん?

 魔法を放った本人達が、ビックリした顔をしているぞ?

「どうしまひぃ~た?」

 あれ? おかしい。なんで、オレまで眠い? ふらつく?

「ヘンだぞ! こんなに効果のある魔ほ…… ふぁ~あ」

 全身黒尽くめにしていた男達がバタバタと倒れるように眠りに落ちていく。

 異様な光景だった。

 これから大勢の学生が泊まる寮を襲撃しようという興奮状態の最中、全員にスリープがかかるわけがない。

 最初に眠ったのはすずらん荘の護衛達。

 だが、林の中で眠りこける黒尽くめの三十数名も熟睡状態になっていた。

 その時だった。

 馬から飛び降りるなり、叫ぶ一人の男。

「メディチ家嫡男ガイア、見参!」

 一瞬「推参!」の方がカッコ良かったかな? と思いつつも、林の真ん前でポーズを決め込むガイウスであった。

 もちろん、登場ポーズは研究済みだ。後ろにスモークと爆発音を入れたかったが、派手すぎるかと自粛した自分を誉めてもいた。

 しかし、全く反応が無い。

 ただの屍のようだった……わけはない。生きている。

「え? あれ? えっと…… ねー ねー スリープみたいだけど、自爆? 思いっきりありえないんですけど」

 立場を無くすガイウスであった。


・・・・・・・・・・・

♫ぼ く は ♪ぶるー はったらき、ものさ~♫ 
♪まほう~ な~ら ♫と、く、い、だよー♪

久し振りの出番だ。

大喜びのブルードラコンが夜空を嬉しげに飛び回っている。
本日の歌も、いつもよりも張り切っていた。

 

 
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