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第3章 帝国学園 2年生編
第82話-1 お届けはお任せ!
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アランビュー神聖国が受けたショックは大きかった。
「ドラゴンが現れた」
神と等しい存在が確認できたのだ。本来は国を挙げて喜ぶべきこと。
しかし、現れた場所が悪すぎる。
宗教国家の行動倫理を持つアランビュー神聖国が「絶対悪」と決めつけた敵国に、ご神体……ドラゴンが現れてしまった。
いっそ、そのまま「絶対悪」ごと大陸を焼き尽くしてくれた方が、心の安寧を保てただろう。
目撃情報はあれども破壊の跡は一切ない。まさに「神を呪いたくなる」ような忌まわしき情報だ。
敵国に潜伏させている「草」からもたらされた、最優先で、緊急で、国家を揺るがしかねない、危険な情報にアランビュー神聖国は大混乱である。
「何かの間違いである」
「草が寝返ってしまった」
初めに思いつくのは当然この二つである。しかし、潜入させている草は一人や二人ではない。「ドラゴン現る」の知らせがあらゆるルートを通じて大量に届けられてしまえば、間違いでも、寝返った草の偽情報という扱いにも出来ない。
「敵の新型洗脳装置」
「欺瞞効果を持つ大型魔法」
そんなことを唱える者もいたが、他の情報はまともなのだ。どちらも無理がある。なによりも、帝国自身が大混乱を起こしたという情報もあったし、突然、こんなことをする意味もない。
情報の真偽を扱いかねというよりも信じたくはない、だが否定できそうもないというような意見が百出する。どうにも、無理なことをなんとかしようとして、けれどもやはり無理、という堂々巡りが続いた。
彼らは知らぬが、怨敵である帝国で起きた「帝国安全保障最高会議という名のカオス」と同じことが起きていた。
絶対に出せない結論を求めて四苦八苦する会議は根比べの様相すら呈してきたが、そこに帝国から正式な書簡が届いた。
「皇太子の誕生に対して、ドラゴン顕現という吉兆が現れた」
というトーンである。
ここで、教皇は激怒した。
「彼の呪われた国は、またしても神を我が手にしようとするのか! 神は真にお怒りである!」
宗教に理屈はないのだ。教皇が神の声を聞いてしまえば、それが全て。
「彼の国の悪行を放置するのは、地獄への入り口を開けるのと同じである」
ここにおいて、アランビュー神聖国は「国家非常事態」を宣言した。
しかしながら、教皇はギリギリの所で正気を保ってもいる。なにしろ帝国とでは国家規模が違いすぎるし兵力に格差がある。中でも最高戦力である魔法使いの格が違いすぎる。
まともに全面戦争に持ちこんでも勝てるわけがないこともまた知り尽くしていた。古来、宗教国家が大国に挑むのはテロと相場が決まっていた。
「ドラゴンが現れた」
神と等しい存在が確認できたのだ。本来は国を挙げて喜ぶべきこと。
しかし、現れた場所が悪すぎる。
宗教国家の行動倫理を持つアランビュー神聖国が「絶対悪」と決めつけた敵国に、ご神体……ドラゴンが現れてしまった。
いっそ、そのまま「絶対悪」ごと大陸を焼き尽くしてくれた方が、心の安寧を保てただろう。
目撃情報はあれども破壊の跡は一切ない。まさに「神を呪いたくなる」ような忌まわしき情報だ。
敵国に潜伏させている「草」からもたらされた、最優先で、緊急で、国家を揺るがしかねない、危険な情報にアランビュー神聖国は大混乱である。
「何かの間違いである」
「草が寝返ってしまった」
初めに思いつくのは当然この二つである。しかし、潜入させている草は一人や二人ではない。「ドラゴン現る」の知らせがあらゆるルートを通じて大量に届けられてしまえば、間違いでも、寝返った草の偽情報という扱いにも出来ない。
「敵の新型洗脳装置」
「欺瞞効果を持つ大型魔法」
そんなことを唱える者もいたが、他の情報はまともなのだ。どちらも無理がある。なによりも、帝国自身が大混乱を起こしたという情報もあったし、突然、こんなことをする意味もない。
情報の真偽を扱いかねというよりも信じたくはない、だが否定できそうもないというような意見が百出する。どうにも、無理なことをなんとかしようとして、けれどもやはり無理、という堂々巡りが続いた。
彼らは知らぬが、怨敵である帝国で起きた「帝国安全保障最高会議という名のカオス」と同じことが起きていた。
絶対に出せない結論を求めて四苦八苦する会議は根比べの様相すら呈してきたが、そこに帝国から正式な書簡が届いた。
「皇太子の誕生に対して、ドラゴン顕現という吉兆が現れた」
というトーンである。
ここで、教皇は激怒した。
「彼の呪われた国は、またしても神を我が手にしようとするのか! 神は真にお怒りである!」
宗教に理屈はないのだ。教皇が神の声を聞いてしまえば、それが全て。
「彼の国の悪行を放置するのは、地獄への入り口を開けるのと同じである」
ここにおいて、アランビュー神聖国は「国家非常事態」を宣言した。
しかしながら、教皇はギリギリの所で正気を保ってもいる。なにしろ帝国とでは国家規模が違いすぎるし兵力に格差がある。中でも最高戦力である魔法使いの格が違いすぎる。
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