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第3章 帝国学園 2年生編
第81話-3 加護における過誤について
しおりを挟むサマンサの驚きは「す」だ。
「え! 神鳥様はドラゴンとお話をなされるお方なのでいらっしゃいますか」
「そなたの涙に免じて教えよう。ドラゴンは選ばれし者の役に立ちたいだけである。けっして仇なすことなどないであろう。安心するが良い」
「マルス様の役に立ちたいと? ドラゴン様が、そう仰ったのでございますか?」
「喋りすぎたようだ。しかし、これだけは覚えておくが良い。ドラゴンは選ばれし者を守護する存在である」
「それは、伝説というか神話にある龍の加護をお与えになったということでございますね」
オレの膝でお姫様抱っこされているサマンサだけど、その背筋はピーンと伸びて目を見開いている。
あ、この姿勢だと背筋だけじゃなくて、腹筋もキツくない?
なんてことは心配する必要なし。貴族令嬢はダンスのために体幹部のトレーニングは下手な運動部以上に鍛えられているからね。いや、マジで。
ただ、この時、チカが帝都の流行のお芝居や小説までチェックしていたことなんて気付かなかったんだよね。いや、帝都の流行り物くらいの情報収集はしているのは分かってるけど、巷でどんなお話が流行っているのかまで、知らんかったんだよ。
そして、サマンサの妹は人気作家だ。既に何度も顔を合わしているけど、前世で言うとライトノベルとBLを得意とすることは知っていたけど、この瞬間まで忘れてたんだ。
「では、加護を与えた印がマルス様のどこかに刻まれたのでございますね!」
妹ちゃんの書いた最新作は「湖に散る龍の騎士の悲劇」ってやつだ。
主人公は幼いときにドラゴンの加護を胸に刻まれて、超常の力を発揮する。それによって他の11人いる円卓の騎士達との恋模様(泣く!)嫉妬が熱く描かれるってやつだった。
だから、瞬間的にサマンサの頭に浮かんだのは「加護の印」ってことだったらしい。AIは、人間の数兆倍の速度で物事を処理できる。
この瞬間の最適解は「ドラゴンの加護の印を見せると一番信じやすい」ということ。
「マルス様!」
叫びながらオレのシャツのボタンを引きちぎるようにして外した。
その3秒前には、1円玉よりも小さな龍の紋章を胸に印字済み。
「こ、これが龍の加護!」
えっと、これで確かにサマンサは納得してくれた。
でも、安心しきったオレ達は、心配しているであろうマーサ達「も」早く安心させてあげたいという善意で、そのまま呼んじゃったんだよね。
「お姫様!」
お姫様抱っこをされたサマンサが、はだけたオレの胸に顔をこすりつけている所を見て、マーサ達が別の意味で慌てふためくことになったんだよ。
その後、侍女三人衆に、ムチャクチャ叱られた。
「せめて、湯浴みが先です!」
「たとえ皇帝陛下になる方とて、乙女心を無視するとは許せませぬ」
「しかもソファの上でなど、野蛮すぎまする!」
えっと、なんて言い訳すれば許してもらえるんだろ?
ドラゴンを手懐ける英雄に正座させて説教をかましてくる侍女三人が、帝国最強である件……
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