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第10話 復讐 ~健~ 2
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弟の復讐を誓った。
とはいえ、最初は何をどうしたら達成できるのか、それがわからなかった。
そもそも、親はオレに相手の名前すら教えようとしなかったのだ。
幸い、相手が親と一緒に線香を上げにきた。
家に上げるのは死ぬほど嫌だったが、両親と話すのを横で聞いていたおかげで名前も中学もバッチリつかめた。
「なあ? アレは結果的にラッキーってことだったんだよな? きっと、天国からお前が教えてくれようとしたんだよな? 復讐してくれって。兄ちゃんは、ちゃんと答えるからな」
健は、そこに弟が居るかのように机の写真に語りかけている。鬼気迫る光景だ。
もしも、この光景を親が見ていれば、いや、誰かが見ていれば、健の正気を疑っていたはずだ。けれども、健が語りかけるのは、深夜、誰も見てない自分の部屋の中だけだったのだ。
「なあ、渉。兄ちゃんが中学時代に使った作戦は上手くいっただろ?」
ヤツを陥れるためにあらゆるツールを使った。まずは、全ての友達を使った。ネットも使ってウワサを流した。
大竹瞬は人殺しだ。
ヤツはふざけて事故を引き起こした。
罪のない小学生を、おふざけが過ぎて殺したひどいヤツだ。
人の命なんて何とも思ってないヤツだと。
あらゆる手段を使ってウワサを流し続けた。
ネットのウワサはデカい。中学には来られなくなったらしい。しかし、そんなんじゃ甘い。中学を卒業したらお終いか?
ふん、そんなはずがあるもんか。
渉は中学も、高校も行けなくなったんだぜ? ヤツの未来も殺すんだ。さもないと、公平じゃないだろ?
「とにかく中学は潰した。次は何だ? ヤツはどうする?」
未来を掴もうとしたら次に何をしようとするか、オレはじっくりと考えたんだ。
そこで思いついたのが「高校」って存在だ。
ヤツが進学する高校をオレは苦労して掴んだ。都立の上位校だった。成績は良かったらしい。
なんてクソナマイキなヤツ。そんだけ頭の良いヤツが渉を殺したんだ。渉を殺しておいて、学校に来ないと思ったら、自分はセコセコ勉強してやがったのかよ。
絶対許さねぇ。
ハッキリ言って陸上以外に何もしてこなかったオレにとっては無謀な偏差値だった。だけど、なんとしてもヤツの高校生活を潰す。そのためには同じ高校に行かなくちゃ。
必死に勉強した。
その時、オレのすぐそばに天音がいた。幼馴染みのあいつは、偶然だけど志望校が同じになった。
それを喜んでいたのは、オレにとってはラッキーだった。
来る日も来る日も、ひたすら勉強をしていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お気に入りにいれていただいて
本当にありがとうございます。
励みになります。
9話あたりから、いっきに話がほぐれておりますが、あと一話、健のモノローグです。
健の闇と天音の闇。お気付きいただけましたか?
とはいえ、最初は何をどうしたら達成できるのか、それがわからなかった。
そもそも、親はオレに相手の名前すら教えようとしなかったのだ。
幸い、相手が親と一緒に線香を上げにきた。
家に上げるのは死ぬほど嫌だったが、両親と話すのを横で聞いていたおかげで名前も中学もバッチリつかめた。
「なあ? アレは結果的にラッキーってことだったんだよな? きっと、天国からお前が教えてくれようとしたんだよな? 復讐してくれって。兄ちゃんは、ちゃんと答えるからな」
健は、そこに弟が居るかのように机の写真に語りかけている。鬼気迫る光景だ。
もしも、この光景を親が見ていれば、いや、誰かが見ていれば、健の正気を疑っていたはずだ。けれども、健が語りかけるのは、深夜、誰も見てない自分の部屋の中だけだったのだ。
「なあ、渉。兄ちゃんが中学時代に使った作戦は上手くいっただろ?」
ヤツを陥れるためにあらゆるツールを使った。まずは、全ての友達を使った。ネットも使ってウワサを流した。
大竹瞬は人殺しだ。
ヤツはふざけて事故を引き起こした。
罪のない小学生を、おふざけが過ぎて殺したひどいヤツだ。
人の命なんて何とも思ってないヤツだと。
あらゆる手段を使ってウワサを流し続けた。
ネットのウワサはデカい。中学には来られなくなったらしい。しかし、そんなんじゃ甘い。中学を卒業したらお終いか?
ふん、そんなはずがあるもんか。
渉は中学も、高校も行けなくなったんだぜ? ヤツの未来も殺すんだ。さもないと、公平じゃないだろ?
「とにかく中学は潰した。次は何だ? ヤツはどうする?」
未来を掴もうとしたら次に何をしようとするか、オレはじっくりと考えたんだ。
そこで思いついたのが「高校」って存在だ。
ヤツが進学する高校をオレは苦労して掴んだ。都立の上位校だった。成績は良かったらしい。
なんてクソナマイキなヤツ。そんだけ頭の良いヤツが渉を殺したんだ。渉を殺しておいて、学校に来ないと思ったら、自分はセコセコ勉強してやがったのかよ。
絶対許さねぇ。
ハッキリ言って陸上以外に何もしてこなかったオレにとっては無謀な偏差値だった。だけど、なんとしてもヤツの高校生活を潰す。そのためには同じ高校に行かなくちゃ。
必死に勉強した。
その時、オレのすぐそばに天音がいた。幼馴染みのあいつは、偶然だけど志望校が同じになった。
それを喜んでいたのは、オレにとってはラッキーだった。
来る日も来る日も、ひたすら勉強をしていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お気に入りにいれていただいて
本当にありがとうございます。
励みになります。
9話あたりから、いっきに話がほぐれておりますが、あと一話、健のモノローグです。
健の闇と天音の闇。お気付きいただけましたか?
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