辛かったけど真の彼女ができました

新川 さとし

文字の大きさ
30 / 141

第10話 復讐 ~健~ 2

しおりを挟む
 弟の復讐を誓った。

 とはいえ、最初は何をどうしたら達成できるのか、それがわからなかった。

 そもそも、親はオレに相手の名前すら教えようとしなかったのだ。

 幸い、相手が親と一緒に線香を上げにきた。

 家に上げるのは死ぬほど嫌だったが、両親と話すのを横で聞いていたおかげで名前も中学もバッチリつかめた。

「なあ? アレは結果的にラッキーってことだったんだよな? きっと、天国からお前が教えてくれようとしたんだよな? 復讐してくれって。兄ちゃんは、ちゃんと答えるからな」

 健は、そこに弟が居るかのように机の写真に語りかけている。鬼気迫る光景だ。

 もしも、この光景を親が見ていれば、いや、誰かが見ていれば、健の正気を疑っていたはずだ。けれども、健が語りかけるのは、深夜、誰も見てない自分の部屋の中だけだったのだ。

「なあ、渉。兄ちゃんが中学時代に使った作戦は上手くいっただろ?」

 ヤツをおとしいれるためにあらゆるツールを使った。まずは、全ての友達を使った。ネットも使ってウワサを流した。

 大竹瞬は人殺しだ。

 ヤツはふざけて事故を引き起こした。

 罪のない小学生を、おふざけが過ぎて殺したひどいヤツだ。

 人の命なんて何とも思ってないヤツだと。

 あらゆる手段を使ってウワサを流し続けた。

 ネットのウワサはデカい。中学には来られなくなったらしい。しかし、そんなんじゃ甘い。中学を卒業したらお終いか? 

 ふん、そんなはずがあるもんか。

 渉は中学も、高校も行けなくなったんだぜ? ヤツの未来も殺すんだ。さもないと、公平じゃないだろ?

「とにかく中学は潰した。次は何だ? ヤツはどうする?」

 未来を掴もうとしたら次に何をしようとするか、オレはじっくりと考えたんだ。

 そこで思いついたのが「高校」って存在だ。

 ヤツが進学する高校をオレは苦労して掴んだ。都立の上位校だった。成績は良かったらしい。

 なんてクソナマイキなヤツ。そんだけ頭の良いヤツが渉を殺したんだ。渉を殺しておいて、学校に来ないと思ったら、自分はセコセコ勉強してやがったのかよ。

 絶対許さねぇ。

 ハッキリ言って陸上以外に何もしてこなかったオレにとっては無謀な偏差値だった。だけど、なんとしてもヤツの高校生活を潰す。そのためには同じ高校に行かなくちゃ。

 必死に勉強した。

 その時、オレのすぐそばに天音がいた。幼馴染みのあいつは、偶然だけど志望校が同じになった。

 それを喜んでいたのは、オレにとってはラッキーだった。

 来る日も来る日も、ひたすら勉強をしていた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お気に入りにいれていただいて
本当にありがとうございます。
励みになります。

9話あたりから、いっきに話がほぐれておりますが、あと一話、健のモノローグです。


健の闇と天音の闇。お気付きいただけましたか?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...