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第14話 夏休み 2
しおりを挟む自分がしてあげられないが、マッサージ自体は絶対に効果があるのを知っている。
だから、やり方を教えることにした。1年生の女子同士は少しずつ実践してくれているようだ。そこだけは少し改善されたと言っていい。
『と言うことで、天音さんだよね』
元気はないが、練習後のマッサージは楽しみらしい。「本当は、シャワーを浴びた後に裸でしてもらいたいのに~」といつも帰り道にこっそり囁かれている。
天音にとっては「触られるなら、そのまま最後までシテ欲しいのに」と愛を伝えているつもりらしいが、瞬にとっては、それはそれ、これはこれなのだ。
そして、こんな時こそ、この時間は利用出来そうだった。
部室に自腹で持ちこんだ組み立て式の施術台。天音をうつ伏せで寝そべらせると、マッサージ用のタオルをフワリと掛ける。その後ろから部員達の声が次々とかかる。
「お先ぃ~」
「失礼しま~す」
みんな出ていった。
天音が常々公言しているせいだろう。
「瞬と付き合ってるの~」
天音は陸部でもスターだけに、それなりに気を遣われるのだ。「キモ竹」と付き合うなんて、という目をしてはいても、マッサージの邪魔をするのはヤボという感じなのだろう。
そんな気遣いを瞬は無用なのになぁと思いつつ、ふくらはぎのマッサージから始める。
マッサージの対象が一人だけということは、その分の時間をかけられると言うことでもある。今日のように午前練なら、学校が閉まる時間を気にする必要もない。
壊れかけだけど、何とか動いている扇風機が送る風が涼しかった。ゆっくりと足の方からマッサージとストレッチを合わせて施していく。
そして、腰をふわっと押さえながら「なにを悩んでるの?」と優しい言葉。他に部員はいないのだから、その程度の「トクベツ」は良いだろう。
「え? ううん。ありがと。何も悩んでないよ?」
顔も上げようとしない。本来の明るさが微塵もないのに、これで何もないわけがない。
ここから、心もマッサージが必要だね、と瞬は密かに想っているのだった。
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