死んでる場合じゃない 〜小学生とエリートスパイとの奇妙な共同作戦〜

ぱるゆう

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受験

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一方、角を曲がった詩織は走るのを止めて、ゆっくりと歩き始めた。

そして、ダメ、星野くんの邪魔しちゃ、と自分に言い聞かせていた。

それから詩織は、週末に青龍と会うと、手は繋いだが、公園でのようなことはしなかった。



そして、青龍は、学校、勉強、ジョギング、トレーニング、柔道、詩織とのデート、と日々時間に追われるように過ごした。時々、白虎へのお礼の意味を込めて、先生に質問に行った。その時は小学生のフリをすることを約束して、白虎に代わってあげた。



そして、あっと言う間に受験の日を明後日に迎えた。その金曜日の放課後、あの喫茶店で、
「青龍くん、受験、頑張ってね」と詩織が言った。

「もうできることは精一杯やったから。後は体調を整えるだけかな」

「これ」と言って、詩織は手を差し出した。青龍が受け取ると、
「お守り」

どう見ても手作りのようだった。
「これ、詩織ちゃんが?」

「ごめんね。何回か作り直したんだけど、上手くできなくて」

「ううん。嬉しい。ありがとう」

「喜んでくれて、良かった」

「これで、絶対に合格できる」と青龍が言うと、詩織は少し寂しそうな顔をしたが、
「青龍くんなら、できるよ」と笑顔で言った。



そして、受験の日を迎えた。青龍が駅から歩いて受験会場である玉城学園に着くと、高そうな車から次々と受験生と思われる子供達が降りていた。

『流石に皆、お坊ちゃん、お嬢様ばかりだな』と白虎は呆れたように言った。

『歩いて来たのは僕くらいだね』

『真理子が送るって言ったんだから、素直に言うこと聞けば良かったのに』

『まだまだ、そんな身分じゃないよ。ここに受かって、やっとスタートラインに立てるんだ』と青龍は言い、校舎の中に入った

受験番号を見ながら、教室を探した。
『あっ、ここだ』と青龍は頭の中で言った。それから自分の机を探し、座った。
『なんか教室広くない?』

『ここは中学校だぞ』

『あっ、そうだね』

青龍は教室を見回した。
『うぅっ・・・』

『どうした?』

『やっぱり僕が一番小さいかも・・・』

『随分余裕だな』

『僕は、この中で唯一一人じゃないからね。でも、試験は自分の力で受けるから』

『分かってる。口も手も出さないよ』

そして、まずは国語の試験となった。かなり余裕を残して問題を解き終わった。

『ふぅ~』と頭の中で言った。

『流石だな』

『国語だけはね』と言いながら、とりあえずもう一度見直した。

次は算数の試験だった。また余裕を残して終わった。
『白虎のお陰で予想外な問題はでなかった』

『青龍、ごめん』

『どうしたの?』

『一人でやりたいのは分かってる。でも、どうしても言わせてくれ』

『だから、何?』

『3つ間違ってる』

『えっ!どこ?』青龍は慌てた。

『3問目』

『答えは言わないで!あっ!計算ミスしてる』青龍は急いで直した。

青龍が直し終わると、
『次は7問目だ』

『・・・』

『落ち着けって。まだ時間はある』

『あっ、ここも計算ミス。あぁっ!ここから下全部直さないと』青龍は勢いよく消しゴムで消したら、手が滑って落としてしまった。

青龍は手を挙げて、
「すいません。消しゴムを落としました」

担当の男の人が来て、消しゴムを拾った。
「ありがとうございます」

男は、青龍の無造作に消された答案用紙を見た。
「大丈夫、まだ時間はあるから。落ち着いて」と呟いた。

「はい」

『いい人だな』

『うん。ふぅ~』と青龍は深呼吸して、また解き始めた。

『よし!次は最後の問題だ』

『・・・、ここも計算ミス。本当に自分が嫌になる』

青龍は集中して直した。

『よし!OKだ』

『白虎、ありがとう』

『見直したら、気がついてたよ』

『それだと時間が足りなくなってたよ』

『とにかく次は落ち着いてな』

『うん』

それから理科、社会、英語と試験は続いた。白虎が見ていてくれると思うと、とても安心し、落ち着いて問題に取り組めた。結局、白虎から2問の間違いを指摘されて直し、試験は終了した。

青龍は、教室を出た。
『俺が見る限り、全部100点だ』

『ごめん。何もしないで、なんて言って』

『その気持ちでいてくれないと困る。俺はあくまでもチートなんだ』

『そんなことないよ。白虎がいる僕が今の僕なんだ』

『そうか』白虎は少し嬉しそうな声で言った。

『次は面接か』

『真理子はどうするんだ?』

『できれば真理子さんの力を借りずに合格したいんだけど』と校門、校門の外まで列をなしている高級車達を見た。

『理想は理想でしかない。現実としては、儚い夢かもしれないな』

『そうだね。まぁ、できる限りのことはやってみる。それでダメなら、スタートラインに立てなくなるから、現実を受け入れるよ』

『そうだな』白虎はそう言いながら、思っていた。お前は、もうとっくにスタートラインからダッシュで飛び出し、休まず走り続けているいるんだぞ、と。

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