異母兄弟の姉がアイドルなんですが・・・

ぱるゆう

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2夜目 1

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女性は近づいてきて、
「昨日のエレベーターの子よね?」

あぁっと思い出した。
「随分、雰囲気違うけど」

「そうですね」

この姿の変わりようを見れば、どこかの金持ちの相手をしてきたに違いないと、この女性が思うのも無理はない。

「今度は、私の相手をしてくれない?」

はぁ~っと心の中でため息をついて、
「分かりました。安くしますよ」と笑顔で言った。

「話が早くて助かるわ。いくら欲しいの?」

金額を言ってこないということは、それなりに払えるのだろう。しかし、・・・

「じゃあ、とりあえず一億ですね。本当に激安ですよ」

「えっ?聞き間違いかしら?一億って聞こえたけど」

「今の女王は、この何倍も払ってくれるんだけど」

裕太は女性にギリギリ触れない程度に近づき、手を取って、自分の股間を触らせた。

そして、耳元で、
「今まで感じたことのない固さのものが、今まで届かなかった、あなたの奥を何度も何度も突き上げる。望むなら、一晩中でもついてあげる。これはプラスチックじゃない、熱く脈打つ体温があるんだ」

ゴクリとツバを飲む音が聞こえた。サービスはここまでだ。
「じゃあ、気が向いたら、よろしくね」手を離して、走ってホテルの自動ドアを抜けた。

少し胸がスッキリしたが、こんなことをしても何も解決しない。虚しさも込み上げてくる。


腕時計を見た。うん、まだ十分に間に合う。



家に帰ってから、いつもの服に着替えた。もらった服をハンガーに掛けて眺める。

「これって普通に洗濯しても大丈夫なのかな?」

触ってみると、生地は明らかに裕太の持っている綿やポリエステルの服とは違う。

夜、世羅に聞くわけにもいかない。竜二が洗濯のことなど話題にしないだろうから。

時計を見ると、そろそろ家を出なければならない。後でネットで調べるか。

途中、コンビニで、おにぎりとお茶を買い、食べながら歩く。

バイト先が見えて来た。
よし、何も考えず、今日も頑張ろう。



閉店後の掃除も終わり、難しい顔をしているシェフに声をかけて、更衣室に行く。

ふぅ~、働いていると、余計なことを考えないで済むからいいな。

しかし、現実逃避は、あっさりと終わりを告げてくる。

着替えていると、ロッカーの中から、着信音が鳴った。

誰からかは分かっている。無視したいが、昨日の努力も無駄になる。

通話ボタンを押す。
「あと、1時間もかからないで着くわ」

「えっ、一旦家に帰って着替えないと」

「面倒くさいわねぇ。吉野を迎えに行かせるから」

そんなに変わらないと思うが、
「分かりました。家は」

「分かってる。早くしないさいよ」
と言い残し、電話が切れた。

『迎えに行かせる』言った本人にそのつもりがあるのかどうか分からないが、逃げるなよ、と裕太には聞こえた。

まぁ、自分の足で行くとなると、無意識に歩幅が狭くなりそうだけど。

なんとか足が止まらないように歩き、家についた。服を脱いで、紙袋から新しい服を出して着る。今朝と同じものを着ていくと、何か言われると思った。

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