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通い妻 4 レストラン
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愛美の店からレストランへと向かう。詩織は優一と腕を組み、寄りかかるように歩いた。
夜だが、店舗の灯りや街灯が2人を照らす。
向かい側から歩いてくる人々が2人を凝視する。
「みんな、し~ちゃんのこと見てる」優一は嬉しそうに言った。
「見て欲しくないって、いつも言うのに」
「今日のし~ちゃんは特別だから、許してあげるんだ」
レストランのあるビルに着き、エレベーターを待つ。その間も、2人は周りに注目される。
「なんか恥ずかしい」と詩織は小さい声で言った。
「僕の大好きな人が、みんなに綺麗だと思われて、僕は嬉しいよ」優一は小さいが優しい声で言った。
「そんなこと思ってない。若い男を繋ぎ止めるために無理してるって思ってる」
「そんなことない。少なくとも男の人は、こんないい女連れて羨ましいと思ってるよ」
「もぉ、バカ」詩織は呟いた。
エレベーターに乗り込んで、詩織は優一に寄りかかる。流石に優一は大人しくしていた。そして、最上階で降りると、レストランが見えた。
「うっわ、高そう」予想していたこととはいえ、詩織は頭を振った。
「最上階だからね」優一がイタズラっぽく言う。
「そっちの高いじゃないわよ」
レストランの前に立つ。
「いらっしゃいませ。高峰様」電話で聞こえた落ち着いた声だ。年齢は50そこそこのように見えた。
「天津さん、今日もよろしくお願いします」
「はい、ご期待に添えるよう精一杯努めさせていただきます」
天津に着いていくと、夜景がとても綺麗に見える席だった。
引かれた椅子に座る。テーブルの上には、たくさんのフォークとスプーンが並んでいた。
「さっそくではございますが、始めさせていただいて、よろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
「本日は、料理の説明はどうされますか?」
「いつも通りメニュー名だけ教えていただければ結構です」優一は、落ち着いた声で話した。
「かしこまりました」天津は会釈をして、席を後にした。
店内は満席のようだった。
「こんなに混んでるのに、よく予約できたわね」
「大体1つか2つは開けてあるんだよ。特別な人のために。多分、僕じゃなかったら、満席だと言われるはず」
「えっ!ホントに?」
「確認したことはないけどね。僕は断られたことはない。まぁ、当日予約したのは初めてだけど」
「へぇ~。ゆうくんってやっぱり凄いのね」
「別にそう思ってもらうために来たんじゃない。し~ちゃんに綺麗な服を着せたら、どうなるか知りたかったんだ。レストランは口実だよ」
そこで食前酒が運ばれてきた。
「し~ちゃんが本当に綺麗だってことがよく分かった。今までも僕は知ってたけどね。し~ちゃんにも知って欲しかった。自分が綺麗だってこと」
ダメだ。嬉しいと思う自分よりも、素直になれない自分が勝ってしまう。
「バカ」詩織は恥ずかしそうに呟いた。
「フフフッ、新しいし~ちゃんに乾杯」優一は微笑みながらグラスを持ち上げた。
「もう!」詩織も顔を赤くしながらグラスを持ち上げた。
ふと詩織は思った。
こんなことをされて、こんなことを言われて、落ちない女なんているのだろうか?結婚したとしても、いつか、この席に座っているのは、私ではなくなってしまうのだろう。
「どうしたの?」
「やっぱり将来が不安」
「えっ!どうしてそうなっちゃうんだよ」優一は予想外の言葉に慌てた。
「女性ならみんな、こんなことされたら、ゆうくんのこと好きになっちゃう」
「するわけないだろ。し~ちゃんだけだよ」
だから、あなたとは付き合うことも結婚もできない。そう言いたかったが、こんな場所で言い合いをするわけにもいかない。
「はいはい。そう祈ってるわ」
「信じてよ」
「未来の自分に言える?」
「言える。今、30年後の自分が来ても、し~ちゃんだけって言う」優一は何故かドヤ顔で言った。
「うん、分かったわ」詩織はテーブルの上に手を伸ばした。
優一も手を伸ばしてその手を握り、見つめ合った。
続いてワインが来た。慌てて手を引っ込める。
とりあえずテーブルマナーは両親に叩き込まれた。他人の家に呼ばれて恥をかかないために。
グラスに少しだけワインを注がれた。口の中で含みながら味見して頷いた。
グラスの中にまたワインが注がれた。優一にはシャンパンが注がれた。
それからも料理名が告げられながら、料理が出された。
どれも見た目の美しさにも拘りながら、味もしっかりと美味しい。詩織は急いで食べないように気を付けた。
そして、食後のコーヒーが出された。
「ふぅ~、お腹いっぱいなのに、食べるのを止められなかった。特に鯛が味も食感も匂いも全て良かった」
「それなら連れてきた甲斐があったよ」
いつも通りシェフがテーブルに来た。
「高峰様、本日はいかがでしたか?」
「毎回、菅原シェフの腕前には驚かされて、料理って本当に人を幸せにできるんだと改めて思います。特に・・・」
優一は一通り話した後、
「彼女、詩織さんは魚料理が気に入ったみたいです」
「そうですか」シェフは詩織を見た。
詩織もシェフの目を見ながら、
「旬の鯛の少しぱさつくところを、昆布茶ですか?白ワインと煮て、ソースにも入っていたかと思うんですけど、さっぱりした感じと鯛のお肉にコクと、爽やかな香りを生んでて、本当に美味しかったです」
「・・・」シェフはじっと詩織を見ていた。
夜だが、店舗の灯りや街灯が2人を照らす。
向かい側から歩いてくる人々が2人を凝視する。
「みんな、し~ちゃんのこと見てる」優一は嬉しそうに言った。
「見て欲しくないって、いつも言うのに」
「今日のし~ちゃんは特別だから、許してあげるんだ」
レストランのあるビルに着き、エレベーターを待つ。その間も、2人は周りに注目される。
「なんか恥ずかしい」と詩織は小さい声で言った。
「僕の大好きな人が、みんなに綺麗だと思われて、僕は嬉しいよ」優一は小さいが優しい声で言った。
「そんなこと思ってない。若い男を繋ぎ止めるために無理してるって思ってる」
「そんなことない。少なくとも男の人は、こんないい女連れて羨ましいと思ってるよ」
「もぉ、バカ」詩織は呟いた。
エレベーターに乗り込んで、詩織は優一に寄りかかる。流石に優一は大人しくしていた。そして、最上階で降りると、レストランが見えた。
「うっわ、高そう」予想していたこととはいえ、詩織は頭を振った。
「最上階だからね」優一がイタズラっぽく言う。
「そっちの高いじゃないわよ」
レストランの前に立つ。
「いらっしゃいませ。高峰様」電話で聞こえた落ち着いた声だ。年齢は50そこそこのように見えた。
「天津さん、今日もよろしくお願いします」
「はい、ご期待に添えるよう精一杯努めさせていただきます」
天津に着いていくと、夜景がとても綺麗に見える席だった。
引かれた椅子に座る。テーブルの上には、たくさんのフォークとスプーンが並んでいた。
「さっそくではございますが、始めさせていただいて、よろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
「本日は、料理の説明はどうされますか?」
「いつも通りメニュー名だけ教えていただければ結構です」優一は、落ち着いた声で話した。
「かしこまりました」天津は会釈をして、席を後にした。
店内は満席のようだった。
「こんなに混んでるのに、よく予約できたわね」
「大体1つか2つは開けてあるんだよ。特別な人のために。多分、僕じゃなかったら、満席だと言われるはず」
「えっ!ホントに?」
「確認したことはないけどね。僕は断られたことはない。まぁ、当日予約したのは初めてだけど」
「へぇ~。ゆうくんってやっぱり凄いのね」
「別にそう思ってもらうために来たんじゃない。し~ちゃんに綺麗な服を着せたら、どうなるか知りたかったんだ。レストランは口実だよ」
そこで食前酒が運ばれてきた。
「し~ちゃんが本当に綺麗だってことがよく分かった。今までも僕は知ってたけどね。し~ちゃんにも知って欲しかった。自分が綺麗だってこと」
ダメだ。嬉しいと思う自分よりも、素直になれない自分が勝ってしまう。
「バカ」詩織は恥ずかしそうに呟いた。
「フフフッ、新しいし~ちゃんに乾杯」優一は微笑みながらグラスを持ち上げた。
「もう!」詩織も顔を赤くしながらグラスを持ち上げた。
ふと詩織は思った。
こんなことをされて、こんなことを言われて、落ちない女なんているのだろうか?結婚したとしても、いつか、この席に座っているのは、私ではなくなってしまうのだろう。
「どうしたの?」
「やっぱり将来が不安」
「えっ!どうしてそうなっちゃうんだよ」優一は予想外の言葉に慌てた。
「女性ならみんな、こんなことされたら、ゆうくんのこと好きになっちゃう」
「するわけないだろ。し~ちゃんだけだよ」
だから、あなたとは付き合うことも結婚もできない。そう言いたかったが、こんな場所で言い合いをするわけにもいかない。
「はいはい。そう祈ってるわ」
「信じてよ」
「未来の自分に言える?」
「言える。今、30年後の自分が来ても、し~ちゃんだけって言う」優一は何故かドヤ顔で言った。
「うん、分かったわ」詩織はテーブルの上に手を伸ばした。
優一も手を伸ばしてその手を握り、見つめ合った。
続いてワインが来た。慌てて手を引っ込める。
とりあえずテーブルマナーは両親に叩き込まれた。他人の家に呼ばれて恥をかかないために。
グラスに少しだけワインを注がれた。口の中で含みながら味見して頷いた。
グラスの中にまたワインが注がれた。優一にはシャンパンが注がれた。
それからも料理名が告げられながら、料理が出された。
どれも見た目の美しさにも拘りながら、味もしっかりと美味しい。詩織は急いで食べないように気を付けた。
そして、食後のコーヒーが出された。
「ふぅ~、お腹いっぱいなのに、食べるのを止められなかった。特に鯛が味も食感も匂いも全て良かった」
「それなら連れてきた甲斐があったよ」
いつも通りシェフがテーブルに来た。
「高峰様、本日はいかがでしたか?」
「毎回、菅原シェフの腕前には驚かされて、料理って本当に人を幸せにできるんだと改めて思います。特に・・・」
優一は一通り話した後、
「彼女、詩織さんは魚料理が気に入ったみたいです」
「そうですか」シェフは詩織を見た。
詩織もシェフの目を見ながら、
「旬の鯛の少しぱさつくところを、昆布茶ですか?白ワインと煮て、ソースにも入っていたかと思うんですけど、さっぱりした感じと鯛のお肉にコクと、爽やかな香りを生んでて、本当に美味しかったです」
「・・・」シェフはじっと詩織を見ていた。
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