旦那様は、パーフェクト高校生

ぱるゆう

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小百合と優一の月曜日 4 暇

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授業が始まった。

予想していたことだが、黒板をずっと見るだけと言うのは、暇だな。

手が使えないことの不便さを身にしみて感じて、たった2日しか経っていない。

し~ちゃんがいれば、理由なく甘えられるから、楽しい思いもできたかもしれない。まぁ、不便と言っても、小百合が何も言わなくても動いてくれるから、困ることはない。

でも、障害者の人達や、高齢で手に力が入らない人も少なくないだろう。そういう人達は、ずっとなんだ。

いつもなら簡単に開くペットボトルのフタが開けられない。缶のフタだったら開けることができるのだろうか?缶なら、細い棒でテコの原理を使って開けられそうな気もする。

紙パック?ハサミで切るとか?
ん?ハサミで切る力はあるのか?

製品を考える人も作る人も、ほとんどは健常者で、高齢者ではない。自分達が試してるんだろうから、それで問題なければ販売されてしまう。

でも、簡単に開けられるということは、輸送の途中やスーパーで手に取った拍子に、空いてしまう可能性もある。スーパーから持ち帰る時も同じだ。

やっぱり製品を変えるのは限度があるか。

そうなると、製品は変えないで、そういう人達が使うための道具を作った方が簡単なのだろうか?

そんなアイデアは、やっぱり不便を感じている人達に意見をもらわないと作れない。

今は年齢が若い方が多いからいいが、日本は世界でトップクラスの少子高齢化社会だ。いずれ高齢者の方が多くなる。

その頃にはAIが解決してくれるのだろうか?

いや、これは大学に入ったら、真剣に考えてみよう。今の受験のための知識では、余りにも足りなさ過ぎる。

今できることは、受験をクリアすることだ。

と黒板に集中する。この時期は、過去の大学の入試問題を具体的に説明している。

今は数学だ。数学を受験科目に選ぶ人は少ないけど、今の入試は考える力を試されることが少なくない。

一つずつ順番に説明する必要がある数学の証明問題は、とても大切で他の科目の役に立つ。

手が使えないので、頭を働かせる。そうやって1時間目の授業が終わった。

すると、次々とサッカー部のメンバーが優一の前に心配そうな顔で現れた。
「大丈夫なのか?」と口々に言った。

逆に優一がビックリしながら、
「骨は折れてない。明日か明後日には、治るから」と説明した。

「そうかぁ」とみんなホッとした顔になった。

「無理させてごめん」キャプテンが心底申し訳なさそうに言った。

「試合中は、何ともなかったんだ。みんなと別れて帰ってる途中に痛み出したんだ。だから、みんなに黙って試合してたとか、そういうことじゃない」

「でも、なぁ」みんなが顔を見合わせる。

「試合、楽しかったし、みんなと試合できたこと、一生の思い出になった。こんな怪我で、いい思い出を悪くしたくない。お願いだから、みんなも気にしないで」

「ホントに、お前ってやつは・・・」

「ほら、2時間目、始まるよ。楽しく金曜に会おう」

「うん、分かった。楽しみにしてる」みんながまた口々に言って帰って行った。

「ふぅ~」と優一は息を吐いた。
みんな心配してくれて嬉しいな、と心の中で思った。



そして、午前中の授業は終わった。

「高峰くん、お昼は?」
いつものメンバーから言われた。

「今日はごめん。小百合が弁当を作ってくれてるから」

「あぁ、そうなんだ。またね」

優一は席を立って、小百合の教室に行った。他のクラスメイトが何事かとビックリする。

「優一、ここ座って」と既にくっつけてある机の椅子を指差した。

他のクラスメイトも理由が分かったようだ。

しかし、優一が座り、小百合が食べさせていると、また、みんなが注目した。

渚が優一の怪我のことを話してくれた。

また、なんだぁと空気が変わった。

「渚さん、ありがとう」と優一は言った。

「まぁ、食べさせてるのは、確かに気になるわね」

「僕だってしたくてしてるわけじゃ」

「はい、優一」と切られたハンバーグが口の前に出される。優一は大人しくし口に入れる。

「フフフッ、可愛い」渚は言った。

「しょうがないから」優一は顔を赤くする。

そして、お弁当が終わった。

「優一、あの話」小百合が言った。

「あの話?」優一は不思議そうな顔をした。

「はぁ~、金曜日の話よ」

「あぁ、渚さん、金曜日にサッカー部で集まるから、そこで彼女いないか?彼女欲しいか?聞いてみるつもり」

「うん、分かった。楽しみにしてる」

「もしいたら、来週か再来週には会わせたいんだけど」

「そんなに急に!」

「ごめん、今度は野球部の方の助っ人をしなくちゃならないから、また忙しくなりそうなんだ」

「分かったわ」

「あれ?そう言えば、バレーボールの大会は?」

「もうとっくに終わってるわよ。予選は突破したけど、本戦で1回戦負け」

「あぁ、そうだったんだ」

「私は行ったけど。まぁ、優一は、何かと忙しかったみたいだからね」小百合が嫌味っぽく言った。

「色々とね・・・」優一は気まずそうな顔をした。

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