旦那様は、パーフェクト高校生

ぱるゆう

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小百合と優一の月曜日 6 貪欲

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部屋に帰ると、小百合は冷蔵庫の中に必要なものを入れながら、
「どうする?先にお風呂?」

「風呂は寝る前がいい」

「うん、分かった。夕飯にはまだ早いけど」

「少し勉強しよう」

「うん」

小百合は優一のブレザーを脱がせて、ハンガーに掛けた。自分もブレザーを脱ぎ、並べてハンガーに掛けた。

2人とも同じ経済学部志望だ。
「小百合、分かんないところは?」

小百合は参考書の付箋の場所を開いた。

「これも見落としだな。もったいない」

「えっ?」

「ほら、もう一度本文読んでご覧」

「うん、分かった」

しばらく沈黙が続いたが、
「分かんない!」

「英文も日本語文と同じだよ。ところどころ見落としても、内容は分かるんだ。
また、同じように見落としてはいけない部分、それは最初と最後の文だ。最初の文は、これから何を話しますよ、ということが書いてある。最後は、こういうことが言いたかったんですってことが書かれている」

「そんなことは分かってるわよ」小百合が小さく頬を膨らませる。

「あと、文中で気をつけなければならないのは、まず逆説の接続詞」

「それって、しかしとか、だがとか、ところが、とかでしょ?」

「そう。andとかの並列の接続詞は、同じことを言い換えてる場合が多いから、無視しても問題ないけど、逆説の後は、違う意見を言っていることがある。そして、原因、結果の接続詞、as a result、consequently、簡単な文章なら、soもそうだね、その後も注意。たいてい、この辺りが、答えになることが多い」

「とすると、イ?」

「そうだね。この文章は、まず言いたいことを書いて、否定的な意見を書いて、それを比較した結果、自分の言いたいことを肯定する。結構シンプルな構成だ。逆説の接続詞の存在を無視してしまうと、それが、どっちの意見なのか分からなくなってしまうんだ。そこが引っかけになっている」

「全体の話の構成が接続詞で分かるのね」

「そういうこと。こういう文章は、読ませて理解してもらうことが前提だから、そんな複雑な構成にはなっていないことが多い。論文とかになると、この辺が入り交じってくるから、頭が混乱するけどね」

「論文なんか読んでるの?」

「昔はね、今はそんなことしてる暇はないけど。文章の構成、特に結論を導き出す構成を学ぶには、とっても参考になるよ」

「はぁ~、全然次元が違うわね」

「小百合が楽しいって思うこと。なぜ楽しいのか?そんなこと考えないと思うけど、それを説明しろって言われたら、どうする?」

「楽しいと思うから、としか言えない」

「そうでしょ?だから、難しい論文の方が理解できるよ。今日、オイスターソースの話しされたじゃん。なぜオイスターソースを入れると、味に深みが増すのか?それを科学的に検証する、そういうことをしてる人がいるんだ。人の味覚のどこどこを刺激するから、とか書いてある。人間って、ここを刺激されると、美味しく感じるんだって分かる」

「ごめん。楽しさが伝わってこない」

「まぁ、他人から見たら、何でそんなことをって思うことを、真剣に研究している人がいる。それがそもそも楽しいじゃん」

「ごめん。頭が疲れたから、夕飯作る」小百合はキッチンに向かった。

「う~ん、みんな知識に貪欲なんだって思うと、楽しいと思うけどなぁ」




そして、夕飯ができた。
優一はスプーンで掬って食べた。
「うん、美味しい」

小百合も食べてみた。
「確かに隠し味ありかもね」



夕飯が終わり、また勉強し、風呂で優一の身体を小百合は洗った。小百合は、相変わらず、じっと見ていたが、手際は良くなっていた。

優一の髪を乾かして服を着せて、湿布を代え、痛み止めを飲ませた後、小百合は風呂に行こうとした。

「疲れたから、先に寝てていい?」優一は言った。

「うん。おやすみ」と小百合は言って、お風呂場へと行った。

小百合が髪を乾かして、寝室に行ったら、優一は眠っていた。

「今日も何もないのか」と頭では嫌だと思いながら、口からは、そう呟いた。

優一は大の字で寝ていた。
小百合は、腕に頭を乗せたいが、そんなことできるわけがないことくらい分かっている。手をどけて、自分のスペースを作り、壁を見ながら眠った。


    
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