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楽しい日々
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ユリが言うには、姿を変える時に妖力は使うが、姿を変えてしまえば妖力は使わないそうだ。だから、基本的には人間の姿でいることになった。
それは、外に買い物に行く時も。服は自由にユリが変化できるので、問題はなかった。しかし、下着を付けないままというのもダメな感じがしたので、スマホで検索して見せた。
「ほう、これを服の下に着るのか?」
「うん」
「どんなのがいいのじゃ?色々とあるようじゃが」
「この普通のでいいよ」と僕は指差した。
「なんじゃ、もっとセクシーな感じのもできるぞ」
「そんなもの・・・。ん?セクシーって、何でそんなこと知ってるんだ?」
「あっ、いやっ、そっ、それは」ユリは慌てた。
「怪しい・・・。ん?ユリを捨てた飼い主の前は?」
「普通の家族じゃった」
「女の家族は?」
「もっ、もちろんいたが・・・」
「じゃあ、下着を知らないはずはないよね?」
「あれ?どうじゃったかのぉ?下着なんか付けてなかったような・・・」
「そもそも僕が下着を付けてるんだ。別に不思議そうにしなかったよね?」
「女と男は違うじゃろが。男はブラを付けんじゃろ」
「フフフッ、白状したね。僕はブラなんて一言も言ってない」
「あっ!」
「僕をワザと欲情させようとしたんだね?」
「ううぅ・・・。ワシだって久しぶりじゃったんじゃ!」
「分かった、分かった」僕はスマホをしまった。
「普通にお腹が冷えない下着と胸が揺れないような下着を付けてくれ」
「分かった」ユリは何かを呟いた。
「これでいいか?」とユリはスカートと上の服を捲った。
白の大きい下着が見えた。
僕は頷いた。
2人で外に出た。
「あら?奥さんかい?初めてだね」と八百屋のお婆ちゃんに言われた。
正直ビックリした。顔を覚えられてるとは思っていなかったからだ。いつもかけられる言葉は、みんなに同じことを言っているのだとばかり思っていた。
客商売としてとても大切なことだとは分かっているが、僕は人の顔を覚えるのが苦手だ。なぜなら、あまり顔を見ないようにしているからだ。
本当のことを話すわけにもいかないので、
「そうなんだ」と恥ずかしそうに答えた。隣でユリも恥ずかしそうに微笑んでいた。
その後、弁当屋の看板娘である春ちゃんにも、バッタリと会ってしまった。
「えっ?いつの間に?」と驚いて残念そうな顔をした。
「子猫が縁で」と僕は誤魔化した。
「えっ!デートの約束は?」
僕はユリの方を向いたら、ユリは頷いた。
「約束は守るよ」
「じゃあ、来週の定休日は?」
僕は頷いて、
「場所は任せるよ」
「うん」と笑顔で別れた。
「いいの?」とユリに言った。
「変なことできないじゃろ?」とユリは微笑んだ。
「確かに」僕は苦笑いした。
ユリが部屋で待っていてくれると思ったら、仕事にも精が出た。
朝起きるのも夜寝るのも楽しくて仕方なかった。
春ちゃんとは遊園地に行った。今までほとんどお金を使っていなかったので、全部払ってあげた。春ちゃんは申し訳なさそうな顔をしたので、そのお金で房江さんにお土産を買うように言った。
春ちゃんは終始、手を繋ぐか、腕を組んできた。きっと今までの僕なら、ドキドキしてしまっていただろう。相手がかなり年下だと分かっていても。
でも、今は妹と2人で遊びに行っているようにしか感じなかった。親が忙しいから、僕がアチコチに連れて行ってあげたことを懐かしく思い出した。
「そういえば、この前一緒にいた女の人」と春香が不思議そうに言った。
「うん」何か変な点はあったか、僕は少し緊張した。
「私と同い年くらいじゃなかった?」
「えっ?」確かにその通りだ。僕の記憶が高校の時の美弥で終わっているからだ。
「どうして私じゃダメだったの?」と少し寂しそうに言った。
「なっ、何言ってるんだよ。今年で25だよ。そんなこと本人が聞いたら喜んじゃうよ」
「ふ~ん。25か。友達にいても不思議なじゃない感じがしたんだけど」
やっぱり看板娘をしてるだけのことはあると感心し、見習わないとならないな、とも思った。自分はお客さんと対面していないが、普通の飲食店なら、相手の体調や機嫌などを観察して対応しなければならないことも少なくないはずだ。
「よくあの短い時間でそう思ったね」
「だって、若菜くんの好みのタイプを知っておきたいじゃん。何が気にいったの?」
「えっ?そんなことを急に言われても・・・」
「えぇ~、知りたいぃぃ」
「知ったところで・・・」
「まだ結婚してないんでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど」
「なら、チャンスはある」
「いやぁ~、やっぱり年が離れすぎてるよ」
「そんなに気になる?年齢?家族と暮らしてる時、年齢とか気にしないでしょ」
「はっきり言うと、僕なんかより春ちゃんの方がしっかりしてるから、僕が自己嫌悪になっちゃうんだよね」
「えっ?しっかりしてない方がいいの?若菜くんの方が支えてあげたいとか?」
「そういうことでもないんだけど・・・」
「はぁ~、やっぱり顔なのね・・・」
「春ちゃんはとっても可愛いし、性格も明るいし、元気だし、いくらでも見つかるよ」
「けっこう年上で真面目でかっこいい人がいいんだけど」
「もっと頼りがいのある人が・・・」
「でも、そういう人って他からも頼られるでしょ?そうすると浮気する機会ができちゃう。頼りないくらいが丁度いい」
あぁ、頼りないって思われてるんだ・・・。
「まだ若いんだし、いっぱい出会うよ」
「じゃあ、私が30までに結婚しなかったら、してくれる?」
ユリのこと無理だって思ってる?と言いたかったが、
「分かった。でも、その頃、僕40越えてるけどいいの?」
「うん、丁度いい」
「あぁ、丁度いいね・・・」
「本当はキスして、ホテル行こうと思ってたんだけど」春香は淡々と言った。
「えっ?」僕は目を見開いた。
「あの時、彼女いたのに浮気させたって思われたら、2人の結婚生活に問題があるから、今日はいい」
「あぁ、そうだね・・・」
ということで、傷をつけることなく春香を家まで送っていった。房江さんがニコニコしながら出てきてお礼を言った。
帰り道に、どうだった?と房江さんが春香に言い、結婚の約束したと春香が言っていそうな気がして、少し寒気を覚えた。
そして、部屋に戻ると、ユリはベッタリと僕にくっついてきた。
「変なことしてないじゃろな?」
「するわけないだろ。それに、そんなこと僕ができる相手は、ユリだけだって分かってるじゃん」
「そうじゃけど・・・」
「僕にはユリしかいない」
「うん・・・」
この辺は猫だなと思ったりもする。人間の女性と付き合ったことがないから、分からないけど。
それからも食事や掃除、洗濯等の家事も、ユリは卒なくこなした。一人で僕がいなくても、買い物に出かけている。
しかし、僕はとても大切なことを忘れていたことに気付かされた。
それは、外に買い物に行く時も。服は自由にユリが変化できるので、問題はなかった。しかし、下着を付けないままというのもダメな感じがしたので、スマホで検索して見せた。
「ほう、これを服の下に着るのか?」
「うん」
「どんなのがいいのじゃ?色々とあるようじゃが」
「この普通のでいいよ」と僕は指差した。
「なんじゃ、もっとセクシーな感じのもできるぞ」
「そんなもの・・・。ん?セクシーって、何でそんなこと知ってるんだ?」
「あっ、いやっ、そっ、それは」ユリは慌てた。
「怪しい・・・。ん?ユリを捨てた飼い主の前は?」
「普通の家族じゃった」
「女の家族は?」
「もっ、もちろんいたが・・・」
「じゃあ、下着を知らないはずはないよね?」
「あれ?どうじゃったかのぉ?下着なんか付けてなかったような・・・」
「そもそも僕が下着を付けてるんだ。別に不思議そうにしなかったよね?」
「女と男は違うじゃろが。男はブラを付けんじゃろ」
「フフフッ、白状したね。僕はブラなんて一言も言ってない」
「あっ!」
「僕をワザと欲情させようとしたんだね?」
「ううぅ・・・。ワシだって久しぶりじゃったんじゃ!」
「分かった、分かった」僕はスマホをしまった。
「普通にお腹が冷えない下着と胸が揺れないような下着を付けてくれ」
「分かった」ユリは何かを呟いた。
「これでいいか?」とユリはスカートと上の服を捲った。
白の大きい下着が見えた。
僕は頷いた。
2人で外に出た。
「あら?奥さんかい?初めてだね」と八百屋のお婆ちゃんに言われた。
正直ビックリした。顔を覚えられてるとは思っていなかったからだ。いつもかけられる言葉は、みんなに同じことを言っているのだとばかり思っていた。
客商売としてとても大切なことだとは分かっているが、僕は人の顔を覚えるのが苦手だ。なぜなら、あまり顔を見ないようにしているからだ。
本当のことを話すわけにもいかないので、
「そうなんだ」と恥ずかしそうに答えた。隣でユリも恥ずかしそうに微笑んでいた。
その後、弁当屋の看板娘である春ちゃんにも、バッタリと会ってしまった。
「えっ?いつの間に?」と驚いて残念そうな顔をした。
「子猫が縁で」と僕は誤魔化した。
「えっ!デートの約束は?」
僕はユリの方を向いたら、ユリは頷いた。
「約束は守るよ」
「じゃあ、来週の定休日は?」
僕は頷いて、
「場所は任せるよ」
「うん」と笑顔で別れた。
「いいの?」とユリに言った。
「変なことできないじゃろ?」とユリは微笑んだ。
「確かに」僕は苦笑いした。
ユリが部屋で待っていてくれると思ったら、仕事にも精が出た。
朝起きるのも夜寝るのも楽しくて仕方なかった。
春ちゃんとは遊園地に行った。今までほとんどお金を使っていなかったので、全部払ってあげた。春ちゃんは申し訳なさそうな顔をしたので、そのお金で房江さんにお土産を買うように言った。
春ちゃんは終始、手を繋ぐか、腕を組んできた。きっと今までの僕なら、ドキドキしてしまっていただろう。相手がかなり年下だと分かっていても。
でも、今は妹と2人で遊びに行っているようにしか感じなかった。親が忙しいから、僕がアチコチに連れて行ってあげたことを懐かしく思い出した。
「そういえば、この前一緒にいた女の人」と春香が不思議そうに言った。
「うん」何か変な点はあったか、僕は少し緊張した。
「私と同い年くらいじゃなかった?」
「えっ?」確かにその通りだ。僕の記憶が高校の時の美弥で終わっているからだ。
「どうして私じゃダメだったの?」と少し寂しそうに言った。
「なっ、何言ってるんだよ。今年で25だよ。そんなこと本人が聞いたら喜んじゃうよ」
「ふ~ん。25か。友達にいても不思議なじゃない感じがしたんだけど」
やっぱり看板娘をしてるだけのことはあると感心し、見習わないとならないな、とも思った。自分はお客さんと対面していないが、普通の飲食店なら、相手の体調や機嫌などを観察して対応しなければならないことも少なくないはずだ。
「よくあの短い時間でそう思ったね」
「だって、若菜くんの好みのタイプを知っておきたいじゃん。何が気にいったの?」
「えっ?そんなことを急に言われても・・・」
「えぇ~、知りたいぃぃ」
「知ったところで・・・」
「まだ結婚してないんでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど」
「なら、チャンスはある」
「いやぁ~、やっぱり年が離れすぎてるよ」
「そんなに気になる?年齢?家族と暮らしてる時、年齢とか気にしないでしょ」
「はっきり言うと、僕なんかより春ちゃんの方がしっかりしてるから、僕が自己嫌悪になっちゃうんだよね」
「えっ?しっかりしてない方がいいの?若菜くんの方が支えてあげたいとか?」
「そういうことでもないんだけど・・・」
「はぁ~、やっぱり顔なのね・・・」
「春ちゃんはとっても可愛いし、性格も明るいし、元気だし、いくらでも見つかるよ」
「けっこう年上で真面目でかっこいい人がいいんだけど」
「もっと頼りがいのある人が・・・」
「でも、そういう人って他からも頼られるでしょ?そうすると浮気する機会ができちゃう。頼りないくらいが丁度いい」
あぁ、頼りないって思われてるんだ・・・。
「まだ若いんだし、いっぱい出会うよ」
「じゃあ、私が30までに結婚しなかったら、してくれる?」
ユリのこと無理だって思ってる?と言いたかったが、
「分かった。でも、その頃、僕40越えてるけどいいの?」
「うん、丁度いい」
「あぁ、丁度いいね・・・」
「本当はキスして、ホテル行こうと思ってたんだけど」春香は淡々と言った。
「えっ?」僕は目を見開いた。
「あの時、彼女いたのに浮気させたって思われたら、2人の結婚生活に問題があるから、今日はいい」
「あぁ、そうだね・・・」
ということで、傷をつけることなく春香を家まで送っていった。房江さんがニコニコしながら出てきてお礼を言った。
帰り道に、どうだった?と房江さんが春香に言い、結婚の約束したと春香が言っていそうな気がして、少し寒気を覚えた。
そして、部屋に戻ると、ユリはベッタリと僕にくっついてきた。
「変なことしてないじゃろな?」
「するわけないだろ。それに、そんなこと僕ができる相手は、ユリだけだって分かってるじゃん」
「そうじゃけど・・・」
「僕にはユリしかいない」
「うん・・・」
この辺は猫だなと思ったりもする。人間の女性と付き合ったことがないから、分からないけど。
それからも食事や掃除、洗濯等の家事も、ユリは卒なくこなした。一人で僕がいなくても、買い物に出かけている。
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