女子高生コスプイヤーは恋をする

ぱるゆう

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寿璃叶の部屋 3

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家に戻ると、晴菜は必要なものを冷蔵庫に入れた。
「後は、夕飯前に。基本的には切るだけだから、そんなに時間は掛からない」

「それなら、続きを見ましょうか?」と寿璃叶は言ったが、
「お兄ちゃん、私の部屋に行こうよ」と杏寿が晴菜の腕に自分の腕を絡ませながら言った。

「杏寿ちゃん、お姉ちゃんのコスプレを見たいでしょ?」

「うん、見たい」と杏寿は腕を離した。

晴菜達は、寿璃叶の部屋に行き、寿璃叶はまた晴菜の膝の上に座った。

寿璃叶が解説をしながら、飛ばし飛ばしアニメは進んで行った。

「そろそろ夕飯の支度をしないと」と晴菜は膝に座っている寿璃叶に言った。

寿璃叶は膝の上で半身になって、晴菜に顔を向けた。
「このペースだと明日の夜までかかるわね。夕飯食べたら、先にお風呂入りなさい」

「えっ!マズイよ。泊まるのは」

「今日遅くまで見て、何とか明日終わるのよ」

「それでも、流石に」

「何がマズいのよ?」

「えっ?」

「まだキスもしてないならともかく、私達はあなたの家で何をしたの?」

「そうだけど・・・」

「今更、何を気にしてるのよ」

「杏寿ちゃんもいるし」

「何?3人で並んで一緒に寝ると思ってるの?」

「そういうわけじゃないけど」

「じゃあ、今後、私には指一本触れないのね?」

「それは嫌だけど・・・」

「じゃあ、またあなたの家でするの?」

「分かった、分かったよ。僕もしたいとはずっと思ってる。でも、身体だけが目的だと思われるのが嫌なんだ」

「そんなこと思ってないから、安心しなさい。じゃあ、夕飯食べて少し経ったら一人でお風呂入るのよ」

「寿璃叶は?」

「私は杏寿と入るわ。色々と心配だから」

「そんなことしないよ」

「あなたじゃなくて、杏寿が心配なのよ。さっ、夕飯作るわよ」寿璃叶は立ち上がった。晴菜も後に続いた。



晴菜は鍋を火にかけ、食材を切り、皿に盛り付けていく。
「本当に手際がいいのね」

「毎日のことだからね。嫌でも要領よくやるようになっちゃうよ。野菜、こんなもんでいい?」

「いいわ。杏寿呼んでくる」とリビングのインターホンの所に行った。晴菜はテーブルにカセットコンロや食材、箸などを運ぶ。

寿璃叶が戻ってきた。
「すぐ来るわ」

「うん」晴菜はカセットコンロの火を付けて、寿璃叶の隣に座って待った。すぐに杏寿は来た。
「お待たせ」杏寿も椅子に座った。

「いただきます」

晴菜は鍋の蓋を取った。湯気の塊が3人の視界を一瞬奪った。

「お肉ぅ」と早速杏寿が薄切りの肉を鍋に漬けた。すぐに肉は白くなり、
杏寿はポン酢につけて口に入れた。

「う~ん、美味しい」と満面の笑みになって、 
「やっぱりここのお肉は美味しいね」

「この辺で店をやってるんだから、値段よりも品質よ」寿璃叶は水菜等を鍋に入れている。

「寿璃叶って、お肉食べないの?」

「食べるけど、私は野菜の方が好きね。気にしないで、お肉いっぱい買ったから、あなたも食べなさい」

「うん」晴菜が食べてみると、脂が甘く丁度いい脂加減だった。

「ホントに美味しい」

「そう?それなら良かったわ。杏寿は野菜も食べなさい」

「えぇ~っ!お母さんみたいなこと言わないで。今日はせっかく気にしないで食べられるのに」

「はぁ~」と寿璃叶はため息をついて、
「女子校だからって気にしないのはダメよ」

「分かってるよぉ。後で食べるから」

晴菜は食べながら、灰汁を少しずつ取っていく。

「本当にマメね」と寿璃叶は言った。

「せっかく肉も野菜も美味しいのに、勿体ない」

「衣装は、いつ頃できるの?」と杏寿が言った。

「う~ん、2ヶ月くらいで作りたいなと思ってる」

「写真撮るの、楽しみだな」

「いつも何処で撮ってるの?」

「庭だよ」

「えっ!全然そんな感じしなかった」

「ふっふ~ん、色々と勉強したんだ。背景をぼかしたりしてるから」

「そんなことができるんだ?」

「あなた、あの子の写真、スマホで撮ったの?」と寿璃叶。

「本格的に撮るつもりじゃなかったから。そう言えば会場にいた人達も大きなカメラを持ってた」

「コスプレする方も真剣だけど、撮る方も真剣だから。少しでも綺麗に撮ってあげたいって思って、撮ってると思うよ」

「そっかぁ~、僕も勉強しないと」

「何であなたがするのよ」

「姫川さんの写真撮るとしたら、僕しかいないから」

「はいはい、分かったわよ。私より大切なのね?」

「そっ、そういうことじゃない!姫川さんが嬉しそうにしてるのが、僕も嬉しいんだけだよ」

「絶対に変なことしちゃダメだからね」

「そんなことはあり得ません。僕が好きなのは寿璃叶だし、僕のことを好きになってくれるのは寿璃叶くらいだよ」

「そうだといいけど・・・」

「どういう意味?」と晴菜はキャトンとした顔をした。

「別に意味はないわよ」

「その人って、お姉ちゃんが見せてくれた写真の人?」と杏寿。

「そうよ」

「綺麗な人だよね?」

「多分、そうだと思う」と晴菜は言った。

「本当はどう思ってるの?」

「前に寿璃叶に言ったと思うけど、僕にとって綺麗は特別なんだよ。姫川さんは美人だと思うよ。寿璃叶は綺麗」

「バカ・・・」寿璃叶は赤くなった。

「あっ!そう言えば、姫川さんが寿璃叶に会いたいって言ってた。前からSNS見てたんだって」

「はぁ?何で会わないとならないのよ」

「お願い、一度でいいから」

「わざわざ会うのは嫌」

「分かった。再来週には仮縫いが終わると思うから、その時、僕の部屋で」

「それならいいわ」

「私も行く!」

「好きにしなさい」

「やった!」

「姫川さんにも言っとく」

夕飯が終わり、杏寿に風呂のことを話して各部屋に戻った。

「そう言えば僕の着替えは?」

「家政婦さんに内緒で頼んで買ってきてもらったから、大丈夫よ」

「初めから、そのつもりだったの?」

「だって絶対に見終わんないから」

「そうだよね」

「始めるわよ」と寿璃叶は晴菜の膝の上に座った。

2時間くらい見て、
「そろそろお風呂入ってきなさい」

「うん、分かった」

「洗面所は鍵かかるから」

「分かった・・・」
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