一日一編

馬東 糸

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020106【ホームと電車の間】

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 朝、勇んで電車に乗ろうとしたら電車とホームの間に落ちた。落ちたと言っても体全てが落ちた訳ではなく、半身が落ちたところで何とかとどまる事が出来た。いっそ全て落ちてしまいたかった。
 乗り込もうとする車内には学生らしき人が対面するような形でおり、体を90度回転させるように乗り込もうとしたらそのまま落ちた次第である。
 両手はホームと車内に掛かっているような無防備な体勢で、おそるおそる見上げると、学生が憐憫の眼差しでこちらを見ていた。このような場合、考えるのは太ももが紫色に腫れ、擦り切れている事ではなく、兎に角恥ずかしいという事だった。穴があったら入りたいと言うけれど、もう半分入ってしまっている私はなんと無様だったのだろう。
 今日一日のために蓄えた力を使い果たし、なんとかホームへ脱出し、悲しくもどこかれ飛んでいってしまった眼鏡を探した。その間、何事も無かったかのように電車は閉まり、横目でこちらを見る学生と別れを告げた。
 結局眼鏡はホーム下に落ちていたため、駅員さんに伝え何本か見送った後の空いた時間にとってもらう事が出来た。せめてもの救いはダイヤが乱れなかったことだろう。
 人はいつも当たり前のようにやっている事だと私だけかもしれないが、認識自体薄れていくのだと思う。そして、その都度このように思い出すのだろう。
 私は足の痛みが強くなるのを感じながら、なんとか落ちた言い訳を考えていた。
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