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020210【小さな手】
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職員は僕の身体を厳重に確認して、金属探知機を隈なく当てた。既にこの施設に入ってから三度目の光景で、最初こそ驚いたものの今ではこうしてどのように立ち振る舞えば検査がはやく終わるのか分かってきた。
「よし、くれぐれも気をつけて下さいね」
「何をですか?」
「遡及的な存在消滅ですよ。彼女は何でもそうしてしまうんです」
「なら、余計都合が良いです」
「不思議な人ですね。まあ、私たちとしてはデータが増えるので構わないですが」
重い扉が職員二人がかりで開いた。
中に入ると一面が真っ白で簡素な空間だった。
ガラス越しに上品に座っている少女がいた。
「あら、次はあなたなの?」
少女はこっちを見ずにそう呟いた。
「君に頼みがあってきたんだ」
「お願いをするような態度には見えない」
「そう思わせたなのなら謝るよ」
「それで、可愛らしいおにいちゃんがわたしに何のお願いがあるの?」
「君は何でも存在を遡及的に無かった事に出来るって聞いたけど、本当?」
「おにいちゃん、誰か消して欲しいの?」
「うん」
「誰?」
「僕自身」
「あら、そうなの。でもね、それには直接触れてないといけないの。だから今そっちに行くわね」
そう言うと椅子から飛ぶように降りて、僕と彼女を隔てていたガラスに触れた。
「手を合わせて」
言われるがまま、ガラス越しに手を合わせた。
いつだったかは分からなかった。その事象に時間という概念があるのかどうかも分からなかった。まるで最初からそうしていたかのように僕と彼女は直接触れ合っていた。
「ほら、これで解決。このままおにいちゃんも無くすね」
数秒僕は目を瞑った。
「あれ、できない」
「え?」
「おにいちゃん一体何? 無かったことに出来ないんだけど何で?」
「やっぱり君でも駄目なのか」
もう一度と少女は僕に触れて、同じようにするがやはり変化は無かった。
「すごい、すごい、何で? こんなの初めてだ!」
子供らしくはしゃぐ少女に僕は尋ねる。
「一緒に外でも歩こうか」
見上げるようにして大きく頷く。
「うん!」
僕は手を引き、彼女と様々な事を無かった事にしながら施設から出た。外の世界はとても眩しく、その手は余りに小さかった。いつか僕が無かった事になるまでは一緒にいようと誓い、その幼い手を強く握りしめた。
「よし、くれぐれも気をつけて下さいね」
「何をですか?」
「遡及的な存在消滅ですよ。彼女は何でもそうしてしまうんです」
「なら、余計都合が良いです」
「不思議な人ですね。まあ、私たちとしてはデータが増えるので構わないですが」
重い扉が職員二人がかりで開いた。
中に入ると一面が真っ白で簡素な空間だった。
ガラス越しに上品に座っている少女がいた。
「あら、次はあなたなの?」
少女はこっちを見ずにそう呟いた。
「君に頼みがあってきたんだ」
「お願いをするような態度には見えない」
「そう思わせたなのなら謝るよ」
「それで、可愛らしいおにいちゃんがわたしに何のお願いがあるの?」
「君は何でも存在を遡及的に無かった事に出来るって聞いたけど、本当?」
「おにいちゃん、誰か消して欲しいの?」
「うん」
「誰?」
「僕自身」
「あら、そうなの。でもね、それには直接触れてないといけないの。だから今そっちに行くわね」
そう言うと椅子から飛ぶように降りて、僕と彼女を隔てていたガラスに触れた。
「手を合わせて」
言われるがまま、ガラス越しに手を合わせた。
いつだったかは分からなかった。その事象に時間という概念があるのかどうかも分からなかった。まるで最初からそうしていたかのように僕と彼女は直接触れ合っていた。
「ほら、これで解決。このままおにいちゃんも無くすね」
数秒僕は目を瞑った。
「あれ、できない」
「え?」
「おにいちゃん一体何? 無かったことに出来ないんだけど何で?」
「やっぱり君でも駄目なのか」
もう一度と少女は僕に触れて、同じようにするがやはり変化は無かった。
「すごい、すごい、何で? こんなの初めてだ!」
子供らしくはしゃぐ少女に僕は尋ねる。
「一緒に外でも歩こうか」
見上げるようにして大きく頷く。
「うん!」
僕は手を引き、彼女と様々な事を無かった事にしながら施設から出た。外の世界はとても眩しく、その手は余りに小さかった。いつか僕が無かった事になるまでは一緒にいようと誓い、その幼い手を強く握りしめた。
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