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遠慮なくものが言える関係
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マンションから出てすぐ前の大通りは、こんな時間なのに相変わらず交通量が多い。
我が物顔で走る大型トラックが大量の排気ガスを吐き出していった。
僕はそれをまともに吸い込んでしまい、気分が悪くなった。
行く当てもないので、ぶらぶらと最寄り駅の繁華街の方へ歩く。
同棲を始めてもうすぐ2年。
まだ、僕たちは結婚をしていない。
その予定も今のところ無い。
真結は僕と同い年で、大学の広告研究会というサークルで知り合った。
大学時代はお互い別の彼氏彼女がいたのでただの仲間という関係だったが、社会人になった途端、二人とも相手に振られて、なんとなく連絡を取り合い飲みに行って憂さ晴らししているうちに付き合うようになってしまった。
振られた者同士といういうことで、自虐ギャグの応酬なんてやっているうちに、遠慮なくものが言えるような関係になったことが大きいと思う。
まあ、真結は綺麗な子だったし、すぐに彼女ができたことは凄く嬉しかった。
同棲を始めた当初は、それこそ仕事が終わって家に帰るのが待ち遠しいくらいだった。
……だが、今はもうそんな気持ちはどこかに吹っ飛んでしまった。
同い年で、遠慮無くものが言える関係……これは、お互い嫌なことはすぐに口について出る……と言うことでもある。
まだ就職2年目の僕たちに高給が望めるわけは無く、都心に近いこのマンションを借りられるのも、二人でシェアしているからだ。
ひとりだったら、学生時代に住んでいたボロアパートに今も住み続けているだろう。
僕は小さな広告代理店にコピーライター志望で就職し、少しだけコンペ作品や、比較的小さな案件に参加させてもらったりしている。
真結は僕のところなんかより遙かに大きな代理店に入り、営業としてバリバリに働いている。
あまり認めたくは無いのだが、やはり会社の規模や手がけている案件のでかさ、注目度においてこっちは劣等感を抱かざるを得ない。
真結も元々はコピーライター志望だったが、希望叶わず営業に廻されたのが僕としては少し立つ瀬があるってくらい。
でも、実際コピーライターって言っても、僕が任せられているのはせいぜい学校やら企業のパンフレットのコピーを書くだけ。
真結が関わっている有名化粧品やらの華やかさに比べたら、ショボいことこの上ない。
そんな業界ゆえ、自然、僕も真結も帰りが遅くなり、会社でデリバリーを頼んだり外食で済ますことが多くなる。
だからこそ二人揃って自宅で食べられる日は、ちゃんと栄養を考えた自炊の夕食を食べるようにしようと決めていた。
でも、真結が分担する食事作りもだんだん疎かになってきて、帰りにスーパーやコンビニでお総菜を買ってくることが多くなっていった。
最初はあまり気にしないようにしていたが、最近はそれがやけに鼻についてきた。
真結にそれとなく文句を言うと、決まって返ってくる言葉は、
『私も裕くんと同じように働いているんだからしょうがないでしょう。条件は同じなんだから』
だった。
そして今日もお決まりのお総菜コースの夕食だった。
最近、この同棲は失敗だったのかとよく思う。
一緒に住むと言うことは……相手の普段見えていない部分も見えてしまう訳で……それは、もちろん相手の良いところばかりが見える訳では無い。
サークルの仲間だった頃、そして社会人一年生で恋人同士だった頃、楽しかった事は多いはずだが、毎日嫌でも顔を合わせているとだんだんお互いわがままが出てしまう。
ため息が出た。
それだったら同棲なんか解消してしまうか、と思ってみたりするが、都心に近いこんな条件の良いマンションの家賃なんてひとりじゃとても払えないし、それは彼女だって同じだろう。
我が物顔で走る大型トラックが大量の排気ガスを吐き出していった。
僕はそれをまともに吸い込んでしまい、気分が悪くなった。
行く当てもないので、ぶらぶらと最寄り駅の繁華街の方へ歩く。
同棲を始めてもうすぐ2年。
まだ、僕たちは結婚をしていない。
その予定も今のところ無い。
真結は僕と同い年で、大学の広告研究会というサークルで知り合った。
大学時代はお互い別の彼氏彼女がいたのでただの仲間という関係だったが、社会人になった途端、二人とも相手に振られて、なんとなく連絡を取り合い飲みに行って憂さ晴らししているうちに付き合うようになってしまった。
振られた者同士といういうことで、自虐ギャグの応酬なんてやっているうちに、遠慮なくものが言えるような関係になったことが大きいと思う。
まあ、真結は綺麗な子だったし、すぐに彼女ができたことは凄く嬉しかった。
同棲を始めた当初は、それこそ仕事が終わって家に帰るのが待ち遠しいくらいだった。
……だが、今はもうそんな気持ちはどこかに吹っ飛んでしまった。
同い年で、遠慮無くものが言える関係……これは、お互い嫌なことはすぐに口について出る……と言うことでもある。
まだ就職2年目の僕たちに高給が望めるわけは無く、都心に近いこのマンションを借りられるのも、二人でシェアしているからだ。
ひとりだったら、学生時代に住んでいたボロアパートに今も住み続けているだろう。
僕は小さな広告代理店にコピーライター志望で就職し、少しだけコンペ作品や、比較的小さな案件に参加させてもらったりしている。
真結は僕のところなんかより遙かに大きな代理店に入り、営業としてバリバリに働いている。
あまり認めたくは無いのだが、やはり会社の規模や手がけている案件のでかさ、注目度においてこっちは劣等感を抱かざるを得ない。
真結も元々はコピーライター志望だったが、希望叶わず営業に廻されたのが僕としては少し立つ瀬があるってくらい。
でも、実際コピーライターって言っても、僕が任せられているのはせいぜい学校やら企業のパンフレットのコピーを書くだけ。
真結が関わっている有名化粧品やらの華やかさに比べたら、ショボいことこの上ない。
そんな業界ゆえ、自然、僕も真結も帰りが遅くなり、会社でデリバリーを頼んだり外食で済ますことが多くなる。
だからこそ二人揃って自宅で食べられる日は、ちゃんと栄養を考えた自炊の夕食を食べるようにしようと決めていた。
でも、真結が分担する食事作りもだんだん疎かになってきて、帰りにスーパーやコンビニでお総菜を買ってくることが多くなっていった。
最初はあまり気にしないようにしていたが、最近はそれがやけに鼻についてきた。
真結にそれとなく文句を言うと、決まって返ってくる言葉は、
『私も裕くんと同じように働いているんだからしょうがないでしょう。条件は同じなんだから』
だった。
そして今日もお決まりのお総菜コースの夕食だった。
最近、この同棲は失敗だったのかとよく思う。
一緒に住むと言うことは……相手の普段見えていない部分も見えてしまう訳で……それは、もちろん相手の良いところばかりが見える訳では無い。
サークルの仲間だった頃、そして社会人一年生で恋人同士だった頃、楽しかった事は多いはずだが、毎日嫌でも顔を合わせているとだんだんお互いわがままが出てしまう。
ため息が出た。
それだったら同棲なんか解消してしまうか、と思ってみたりするが、都心に近いこんな条件の良いマンションの家賃なんてひとりじゃとても払えないし、それは彼女だって同じだろう。
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