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第一章 王の生まれ変わり
19 使者の訪問
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ソレーネとフロランの再訪から、二週間がたった。
ユウタがこの世界ハルグリアにやってきてから一か月以上である。日本にいた時より健康状態はかなりよくなっていた。
痩せ気味だった体はかなり肉付けがよくなり、少年というか少女のような可憐さを持つようになってしまった。
そんなある日、王宮から使者がやってくる。
それは、フロランの使いで、ケイス・パーラーだった。
「……誰かきているのですか?」
屋敷の周りは外壁に囲まれている。
その上、鍛錬所は玄関から離れた場所にあった。
それでは、家の慌ただしさ、ジニーの様子から誰かが来ているとアルローは予想していた。
日中はタリダスは王宮である。
急ぎの用事であれば王宮内のタリダスに伝えるだろう。
しかし、誰かが屋敷へ来た。
それはフロランからの使者ではないか。
アルローは彼のお道化(どけ)たような笑みを思い出し、そう予想していた。
「本当に変わらないな。あの人は」
「ユータ様?」
思わず素でぼやいてしまって、ジニーに聞き返された。
どうにか誤魔化そうとしていると、屋敷から鍛錬場に侍女長のマルサがやってきた。彼女らしくなく、小走りで、髪も少し乱れている。
「ジニー。あなたがどうにかできない?」
ユウタに聞かせたくないのだろう、要領が得ない言葉だった。
しかしジニーはわかったようだった。
「マルサ。ユータ様も頼む。ここから動かないように。俺が行く」
「ありがとう。よろしく頼むわね」
明らかにマルサはほっと胸を撫でおろす。
「ユータ様。用事ができました。しばらくこちらで自主鍛錬をなさってください」
「わかりました」
納得いかない、何があったか知りたいという気持ちを押さえて、ユウタは返事した。
ジニーは踵を返すと、速足で屋敷に戻っていった。
「マルサさん。何があったのか。教えてもらえませんか?お客様ですよね?」
「いえ、あの」
「王宮からの使者でしょう?宰相閣下ですか?そして使者はケイス様ではありませんか?」
「どうしてそれを!」
アルローの予想はすべて当たりだった。
フロランならこのような人の嫌がることを平然とやる。楽しみながら。
「ジニーさんには荷が重くはないのですか?」
「ジニーは、ケイス様の先輩だったようなのです。だから」
「そうですか」
マルサはあきらめたらしく、素直に説明する。
「やはりジニーには難しいでしょう」
「難しい?」
「宰相の命令を覆すことはできないでしょう。僕が行きます」
「ユータ様!」
「大丈夫です。行かせてください。タリダスの役に立ちたいのです。彼を不快にもさせてくありません」
アルローの言葉が効き、マルサは静かに答えた。
「わかりました。もし何かがあれば、私がユータ様をこの身に代えても守ります」
「大丈夫だよ。宰相閣下はそこまで考えてないから」
フロランが考えていることは、アルローに意地悪することだけだ。
彼を不快にさせることがフロランは好きだった。
☆
「これは、ユータ様!」
ジニーが部屋に入ったきたユウタを見て、その後ろのマルサに鋭い視線を投げる。
「これは僕の意志だよ。ジニーさん」
記憶が戻っていることを悟られてはいけない。
あくまでもユウタの振りをしながら、アルローはジニーに声をかける。
「これは、これはユータ様。お元気そうですね」
「ケイス様。ありがとうございます。今日は何の御用ですか?タリダスは王宮にいるはずです」
「私は宰相閣下から、あなた宛てに手紙を預かりました。ご本人に渡すように言いつかっております」
「そうですか」
フロランらしい命令だと冷笑を浮かべたくなかったが、アルローは堪える。
「僕が受け取ります。手紙をお渡しください」
感情を読まれないように、できるだけ淡々とケイスへ話しかけた。
「アルロー様」
ケイスは突然アルローをそう呼んだ。
その瞬間、彼の心はあの時に戻った。
ケイスの目の色も顔の形も、髪の色もすべて彼と同じだった。
タリダスを襲った罪で断罪したアルローを、ウィルは嬉しそうに見上げていた。
『アルロー様。ありがとうございます。これでやっと俺は死ねる』
片膝を立て、剣を床に置き、平服していた彼は処罰を下した瞬間、顔を上げた。
「……ユータ様!」
背後から名を呼ばれ、アルローは我に返った。
すぐ近くまで近づいてきたケイスは、アルローの目の前で片膝を立て、平服している。
「ケイス様。顔を上げてください。今の僕はユウタです。手紙を渡していただけますか?」
彼が顔を見上げた瞬間、目が合わないようにアルローは逸らした。
そしてその手紙だけを受け取る。
「ありがとう。僕は少し疲れたから部屋に戻る。宰相閣下に僕が手紙を受け取ったことを伝えてください」
誰の返答も聞かないうちに、ユウタは部屋を出る。
すると廊下にいただろう使用人たちがそっと体を隠すのが見えた。
「ユータ様!お待ちください」
追いかけてきたのは侍女長のマルサだった。
その瞳には不安そうな、心配そうな色が浮かんでいる。
「大丈夫だよ。ちょっと疲れただけだから。湯あみしたい。準備お願いしてもいいですか?」
「もちろんです。その前にお部屋にご案内します」
「あ、ありがとう」
アルローは部屋に戻る道筋を覚えている。
しかし、他人を怖がるユウタを一人で部屋に返すのはマルサにはできなかったのだろう。
先頭を歩きながら、ちらりちらりとユウタを伺う。
マルサは心の底からユウタを案じており、それにアルローは嬉しくなった。
彼は過去の人間で、この人生はユウタのものだ。
彼の過ちにユウタを巻き込みたくなかった。
そう思い、アルローはずっと自身の過ちを告白する事を引き延ばしていた。
しかし今夜こそは、彼とウィルのことを、タリダスに話そうと決めた。
☆
屋敷に戻り、今日ケイスが来たことを知り、タリダスは着替えもせずに、ユウタへの部屋へ飛び込んだ。
「慌てすぎだぞ。タリダス」
呆れた様子で、アルローは答え、いつもと変わらぬ彼にタリダスは安堵した。
「ケイスのことで来たのだな」
「はい」
「話したことがある。着替えを先に済ませろ。夕食を食べた後に話そう」
「はい」
苦渋に満ちたアルローの表情、声にタリダスはそう返事をするしかなかった。
着替えをすまし、食事をとってお茶を飲み終わり、アルローは話し始めた。
聞き終わり、彼はあまりの衝撃に言葉を発することができなかった。
驚き、悲しみ、怒り、そのような感情は一気に押し寄せて、タリダスは言葉を失い、ただ茫然としていた。
「タリダス。すまない。だが、これは私の罪だ。ユウタは関係がない。だから、私のことを軽蔑しても、ユウタに対しては以前と同じ態度で接してくれ」
アルローはユウタを同じ顔で、憂を帯びた表情でタリダスに語り掛ける。
「ど、どうして」
タリダスがやっと発した言葉はそれだった。
「私は、知りたくなかった。そんなこと」
「……すまない。だが、私は黙っていられなかった」
「あなたは卑怯だ。とても」
タリダスは主アルローに対して初めて強い拒否を示した。
「ああ。私は卑怯だ。だが」
「……時間をください」
タリダスはアルローの顔をそれ以上見ることができなかった。
立ち上がり、どうにか部屋の外に出る。その場に座り込みたい気持ちを堪えて、彼は自室へ戻った。
ユウタがこの世界ハルグリアにやってきてから一か月以上である。日本にいた時より健康状態はかなりよくなっていた。
痩せ気味だった体はかなり肉付けがよくなり、少年というか少女のような可憐さを持つようになってしまった。
そんなある日、王宮から使者がやってくる。
それは、フロランの使いで、ケイス・パーラーだった。
「……誰かきているのですか?」
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その上、鍛錬所は玄関から離れた場所にあった。
それでは、家の慌ただしさ、ジニーの様子から誰かが来ているとアルローは予想していた。
日中はタリダスは王宮である。
急ぎの用事であれば王宮内のタリダスに伝えるだろう。
しかし、誰かが屋敷へ来た。
それはフロランからの使者ではないか。
アルローは彼のお道化(どけ)たような笑みを思い出し、そう予想していた。
「本当に変わらないな。あの人は」
「ユータ様?」
思わず素でぼやいてしまって、ジニーに聞き返された。
どうにか誤魔化そうとしていると、屋敷から鍛錬場に侍女長のマルサがやってきた。彼女らしくなく、小走りで、髪も少し乱れている。
「ジニー。あなたがどうにかできない?」
ユウタに聞かせたくないのだろう、要領が得ない言葉だった。
しかしジニーはわかったようだった。
「マルサ。ユータ様も頼む。ここから動かないように。俺が行く」
「ありがとう。よろしく頼むわね」
明らかにマルサはほっと胸を撫でおろす。
「ユータ様。用事ができました。しばらくこちらで自主鍛錬をなさってください」
「わかりました」
納得いかない、何があったか知りたいという気持ちを押さえて、ユウタは返事した。
ジニーは踵を返すと、速足で屋敷に戻っていった。
「マルサさん。何があったのか。教えてもらえませんか?お客様ですよね?」
「いえ、あの」
「王宮からの使者でしょう?宰相閣下ですか?そして使者はケイス様ではありませんか?」
「どうしてそれを!」
アルローの予想はすべて当たりだった。
フロランならこのような人の嫌がることを平然とやる。楽しみながら。
「ジニーさんには荷が重くはないのですか?」
「ジニーは、ケイス様の先輩だったようなのです。だから」
「そうですか」
マルサはあきらめたらしく、素直に説明する。
「やはりジニーには難しいでしょう」
「難しい?」
「宰相の命令を覆すことはできないでしょう。僕が行きます」
「ユータ様!」
「大丈夫です。行かせてください。タリダスの役に立ちたいのです。彼を不快にもさせてくありません」
アルローの言葉が効き、マルサは静かに答えた。
「わかりました。もし何かがあれば、私がユータ様をこの身に代えても守ります」
「大丈夫だよ。宰相閣下はそこまで考えてないから」
フロランが考えていることは、アルローに意地悪することだけだ。
彼を不快にさせることがフロランは好きだった。
☆
「これは、ユータ様!」
ジニーが部屋に入ったきたユウタを見て、その後ろのマルサに鋭い視線を投げる。
「これは僕の意志だよ。ジニーさん」
記憶が戻っていることを悟られてはいけない。
あくまでもユウタの振りをしながら、アルローはジニーに声をかける。
「これは、これはユータ様。お元気そうですね」
「ケイス様。ありがとうございます。今日は何の御用ですか?タリダスは王宮にいるはずです」
「私は宰相閣下から、あなた宛てに手紙を預かりました。ご本人に渡すように言いつかっております」
「そうですか」
フロランらしい命令だと冷笑を浮かべたくなかったが、アルローは堪える。
「僕が受け取ります。手紙をお渡しください」
感情を読まれないように、できるだけ淡々とケイスへ話しかけた。
「アルロー様」
ケイスは突然アルローをそう呼んだ。
その瞬間、彼の心はあの時に戻った。
ケイスの目の色も顔の形も、髪の色もすべて彼と同じだった。
タリダスを襲った罪で断罪したアルローを、ウィルは嬉しそうに見上げていた。
『アルロー様。ありがとうございます。これでやっと俺は死ねる』
片膝を立て、剣を床に置き、平服していた彼は処罰を下した瞬間、顔を上げた。
「……ユータ様!」
背後から名を呼ばれ、アルローは我に返った。
すぐ近くまで近づいてきたケイスは、アルローの目の前で片膝を立て、平服している。
「ケイス様。顔を上げてください。今の僕はユウタです。手紙を渡していただけますか?」
彼が顔を見上げた瞬間、目が合わないようにアルローは逸らした。
そしてその手紙だけを受け取る。
「ありがとう。僕は少し疲れたから部屋に戻る。宰相閣下に僕が手紙を受け取ったことを伝えてください」
誰の返答も聞かないうちに、ユウタは部屋を出る。
すると廊下にいただろう使用人たちがそっと体を隠すのが見えた。
「ユータ様!お待ちください」
追いかけてきたのは侍女長のマルサだった。
その瞳には不安そうな、心配そうな色が浮かんでいる。
「大丈夫だよ。ちょっと疲れただけだから。湯あみしたい。準備お願いしてもいいですか?」
「もちろんです。その前にお部屋にご案内します」
「あ、ありがとう」
アルローは部屋に戻る道筋を覚えている。
しかし、他人を怖がるユウタを一人で部屋に返すのはマルサにはできなかったのだろう。
先頭を歩きながら、ちらりちらりとユウタを伺う。
マルサは心の底からユウタを案じており、それにアルローは嬉しくなった。
彼は過去の人間で、この人生はユウタのものだ。
彼の過ちにユウタを巻き込みたくなかった。
そう思い、アルローはずっと自身の過ちを告白する事を引き延ばしていた。
しかし今夜こそは、彼とウィルのことを、タリダスに話そうと決めた。
☆
屋敷に戻り、今日ケイスが来たことを知り、タリダスは着替えもせずに、ユウタへの部屋へ飛び込んだ。
「慌てすぎだぞ。タリダス」
呆れた様子で、アルローは答え、いつもと変わらぬ彼にタリダスは安堵した。
「ケイスのことで来たのだな」
「はい」
「話したことがある。着替えを先に済ませろ。夕食を食べた後に話そう」
「はい」
苦渋に満ちたアルローの表情、声にタリダスはそう返事をするしかなかった。
着替えをすまし、食事をとってお茶を飲み終わり、アルローは話し始めた。
聞き終わり、彼はあまりの衝撃に言葉を発することができなかった。
驚き、悲しみ、怒り、そのような感情は一気に押し寄せて、タリダスは言葉を失い、ただ茫然としていた。
「タリダス。すまない。だが、これは私の罪だ。ユウタは関係がない。だから、私のことを軽蔑しても、ユウタに対しては以前と同じ態度で接してくれ」
アルローはユウタを同じ顔で、憂を帯びた表情でタリダスに語り掛ける。
「ど、どうして」
タリダスがやっと発した言葉はそれだった。
「私は、知りたくなかった。そんなこと」
「……すまない。だが、私は黙っていられなかった」
「あなたは卑怯だ。とても」
タリダスは主アルローに対して初めて強い拒否を示した。
「ああ。私は卑怯だ。だが」
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