元第二王子とヒドインの子は復讐を誓う。

ありま氷炎

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第五章 ざまぁの子は復讐を……。

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「この男は私が」

   ヴァン、タトル、フェンデルたちは次々と群がる騎士を倒していき、最後の一人、ガレイルを残すだけになっていた。
 フェンデルが前に出たところで、新たな騎士たちが現れる。それはフェンデルが見知ったもので、ガレイルと彼の間に入った。

「新王が立ちました」
「な、なんと!」

 ガレイルが驚き、フェンデル達はセインが復讐を遂げたのかと動きを止める。

「王妃ジョセフィーヌ様、いえ、ジョセフィーヌ女王となり、魔族殲滅を目指すそうです」
「どういうことだ?」

 ガレイルよりも先にフェンデルはそう質問していた。

「トール陛下は、ジョセフィーヌ様により殺され、」
「なんと?それでは逆賊は王妃ではないか!」

 ガレイルの言葉に騎士は答えず、ただ青ざめた表情のままだ。

「新王により、フェンデル様は捕縛、魔族殲滅の命を受けております」
「捕縛だと?なぜだ?!」

 フェンデルへの憎しみが強い彼は納得いかないと騎士を怒鳴りつける。けれども彼は新王の命だと繰り返すのみ。

「ヴァン、タトルは逃げてください。ここは私が!」
「そうだな。お前は捕縛だからな」
「よろしく頼む」

 ヴァンもタトルも迷うことなくそう言い放つと、彼を残して走り出した。

「ふははは!フェンデル!覚悟しろ。捕縛しようとしたが抵抗した場合は仕方がないよな?」

 ガレイルは残った彼に対して高笑いをして、剣を向ける。

「捕縛できれば、いいですね」

 フェンデルは現団長にそう皮肉を返し、攻撃を仕掛けた。他の騎士によって庇われる、ガレイルはそう予想していたが、盾となる騎士は誰一人いなかった。フェンデルと一対一で戦うことになり、悪態をつきながら必死に防衛を繰り返す。けれども遂に喉を突かれ絶命する。
 驚愕の表情のまま、彼は崩れ去った。

「……私を捕縛しろ」

 そのまま逃げることもできたはずなのに、フェンデルは静かに剣を下ろした。
 



「訳がわからなんな」
「ああ」

 ヴァンとタトルは振り向くことなく駆けていた。
 城は混乱しており、追ってくる者も確かにいたが、命令系統がはっきりしていないためか、動きがおかしかった。
 馬を調達し、門番をいなして、城を脱出する。
 街は重い空気のままで変わった様子はない。兜を外したためヴァンの一つ目が露わになり、重い甲冑を脱ぎ捨てたタトルの背中の甲羅が目立ち、逃げる2人をみた住人が騒ぐ。しかしそれだけで、追ってくる者はいなかった。
 他の者のため降ろされた吊り橋を無理やり渡り、2名は街から出ることに成功。
 人目に付かない森の中まで移動して、やっと一息をつく。

「……これからどうする?」

 ヴァンはタトルに聞く。

「とりあえず情報収集が先だ」
「情報収集ね」

 冷静な答えにヴァンは苦笑する。
 今彼らが知っている情報は少なく、それも正しいかすらわからない。
 人の国の王のトールが、王妃ジョセフィーヌによって殺害。
 そして人の国の王に彼女が即位。
 目的は魔族殲滅。

 セインやメルヒ、他の2名の行方もわからない。


 ヴァンは木の幹に体を預け、空を見上げる。木々の間から見える空はすでに夜の色に変わりつつあった。

 ☆

「おやおや、王妃も面白いことするね」

 突然空間からラギルとバイゼルが現れたにもかかわらず、魔王ザイナルは動じなかった。椅子から立ち上がると、腰を落として2人に呼びかける。

「ラギル、バイゼル。起きなさい。面白い話を聞かせてくれるんだろう?」

 途端に2名は目を覚まし、ザイネルの顔を確認すると顔色を変えて体を起こした。

「おはよう。王妃から伝言があるんだろう?」

 ザイネルは目を輝かせて楽しそうに聞く。
 ラギルとバイゼルは顔を見合わせた後、同時に口を開いた。

「面白いなあ。それは。総力戦じゃないか!」

 全面戦争など、人も魔族も望んでいない。
 それを避けるためにザイネルも手を尽くしてきたはずだった。 
 ラギルとバイゼルはそう思っていた。けれども王妃ーー新王ジョセフィーヌから宣戦布告とも取れる言葉を受け取り、彼は笑っていた。

「さあ、準備をしようか。君たちにも働いてもらうよ」

 呆然とする2人にそう言って、彼は小間使いを呼び出す。そうしてそれぞれの魔族の族長たちを城に呼びつけるように伝えた。
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