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第1章
動物好きに悪い人はいない、とは限らない
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家政試験、最初の検査項目は「性的魅力」だ。
王族付奴隷の大事な仕事の一つが、功あった家臣への「褒美」である。王族が大事に調教した奴隷を、功あった家臣に貸し出して好きに使わせる。王族の持ち物を使わせてもらえるというのは、もちろんそれだけで栄誉なことだが、たとえ王族の持ち物でなくとも思わず抱きたくなるような性的魅力をそなえた奴隷であれば、その「褒美」としての価値はより高まる。
そこで「性的魅力」調査では、王子の奴隷たちが城内の男を誘惑して回り、だれが一番多くの男を惹きつけられるか競うのである。普段は王族付の奴隷を勝手に犯したりしたら重罪だが、今日だけは無礼講。身分を問わず、城内の男は魅力を感じた王子の奴隷を犯してよいのだ。城内の男たちにはあらかじめその身分に応じた色の小さな球が配られており、彼らは奴隷を犯したら、奴隷のアナルにその球を詰め込む。最後にこの球の数を集計して得点を出すというルールだ。球は身分ごとに点数が異なり、20人の下働きを相手するより、1人の大臣を相手にしたほうが高得点になる。
競技がはじまる前に、アンソニー王子はアイルに二つだけ約束させた。最後まで泣かずに頑張ること。制限時間前にあきらめてギブアップしないこと。
「相手する人数は、まあできる範囲でいい。お前なりに結果を出せ」
アンソニー王子はそう言ったが、でもアイルはちゃんと、これがアンソニー王子が皇太子になるために必要な試験であることを理解していた。アンソニー様は優秀だけど、他の王子たちも優秀だと聞いている。
「僕がちゃんとやらないと、アンソニー様が皇太子になれないかもしれない……!」
アイルは並々ならぬ決意で試験をスタートさせた。
「大量得点を狙うなら、兵舎へ行くのがいいって聞いたけど……」
兵士はさほど身分は高くないが、国防という大事な職務についているので、身分の割に高得点がもらえる。
「でも僕、ちょっと兵隊さん怖いんだよね」
アイルは兵隊の訓練を見たことがあったが、大きな声で怒鳴ったり、取っ組み合ったり、みんなガタイがいい人ばかりで、あんな人たちをたくさん相手するのかと思うと恐怖があった。
「最初はもっと優しい人がいいな」
そうだ、馬丁さんなんかどうだろう。馬丁さんが馬の手入れをしているところを見たことがあるけど、すごく優しい手つきでブラッシングしてあげていた。僕のこともお馬さんのように、優しく扱ってくれるかもしれない。
「動物好きな人に、悪い人はいないよね」
アイルは馬小屋の隣の馬丁の詰め所へ行くと、ドアをノックした。
「すみませーん」
しかし中からは返事がない。
「おかしいな。留守なのかな」
ドンドンドン。
アイルがしつこくドアを叩いていると、突然そのドアが荒々しく開いた。
「うるせえな、誰だ!」
怒鳴られて、アイルはひゅっと息をのんだ。
「……あ? お前、王子付の奴隷か?」
男はアイルの全身を眺めて言った。今日のアイルは奴隷のしるしである首輪に、体の線がぴったり浮き出る競技用のウェアである。芯を持って立ち上がる乳首も、ペニスの形もはっきりと浮き上がり、ペニスとアナルの部分にはスリットが入って、すぐに挿入できるようになっていた。
「は、はい……」
馬丁は優しい人たちだと思い込んでいたアイルは、早くも逃げたくなって一歩後退った。
「待ちな」
ガシッと腕をつかまれ、小屋の中に引きずり込まれる。
「みんな、起きろよ」
小屋の中にはいくつかの粗末なベッドがあり、そこに寝ころんでいた男たちが次々と身を起こした。アイルは知らなかったが、馬丁は朝早くから馬の世話をしなければならないので、一仕事終えた後のこの時間は、仮眠の時間なのだ。
「なんだったんだ、さっきのうるさいノック野郎は」
「それが王子付の奴隷だったんだ」
その言葉で小屋中の男の視線がアイルに集まった。
「へえ……」
皆興味津々でアイルに近寄ってきた。
「なんだ、あんた、犯されに来たのか」
「……は、はい」
震える声でアイルが答える。
「だがお前、分かってるのか? 今は大事な仮眠の時間だったんだ。それを叩き起こしやがって」
「申し訳ありません……」
「申し訳ありませんで済むか!」
怒鳴られて、アイルは泣きそうになった。
「午後の仕事に響くだろうが!」
「どう責任取ってくれるんだ!」
パシン! パシン! と今度は四方から馬用の短鞭で叩かれた。
「あっ、あうっ、ごめんなさ…、あっ」
「なんでわざわざここまで来たんだ? 言ってみろ」
「ば、馬丁さんたちに……、お馬さんみたいに扱ってほしいと思って……」
「へえ」
男たちはニヤリと笑った。
「じゃあ、お馬さんにしてやろうな」
王族付奴隷の大事な仕事の一つが、功あった家臣への「褒美」である。王族が大事に調教した奴隷を、功あった家臣に貸し出して好きに使わせる。王族の持ち物を使わせてもらえるというのは、もちろんそれだけで栄誉なことだが、たとえ王族の持ち物でなくとも思わず抱きたくなるような性的魅力をそなえた奴隷であれば、その「褒美」としての価値はより高まる。
そこで「性的魅力」調査では、王子の奴隷たちが城内の男を誘惑して回り、だれが一番多くの男を惹きつけられるか競うのである。普段は王族付の奴隷を勝手に犯したりしたら重罪だが、今日だけは無礼講。身分を問わず、城内の男は魅力を感じた王子の奴隷を犯してよいのだ。城内の男たちにはあらかじめその身分に応じた色の小さな球が配られており、彼らは奴隷を犯したら、奴隷のアナルにその球を詰め込む。最後にこの球の数を集計して得点を出すというルールだ。球は身分ごとに点数が異なり、20人の下働きを相手するより、1人の大臣を相手にしたほうが高得点になる。
競技がはじまる前に、アンソニー王子はアイルに二つだけ約束させた。最後まで泣かずに頑張ること。制限時間前にあきらめてギブアップしないこと。
「相手する人数は、まあできる範囲でいい。お前なりに結果を出せ」
アンソニー王子はそう言ったが、でもアイルはちゃんと、これがアンソニー王子が皇太子になるために必要な試験であることを理解していた。アンソニー様は優秀だけど、他の王子たちも優秀だと聞いている。
「僕がちゃんとやらないと、アンソニー様が皇太子になれないかもしれない……!」
アイルは並々ならぬ決意で試験をスタートさせた。
「大量得点を狙うなら、兵舎へ行くのがいいって聞いたけど……」
兵士はさほど身分は高くないが、国防という大事な職務についているので、身分の割に高得点がもらえる。
「でも僕、ちょっと兵隊さん怖いんだよね」
アイルは兵隊の訓練を見たことがあったが、大きな声で怒鳴ったり、取っ組み合ったり、みんなガタイがいい人ばかりで、あんな人たちをたくさん相手するのかと思うと恐怖があった。
「最初はもっと優しい人がいいな」
そうだ、馬丁さんなんかどうだろう。馬丁さんが馬の手入れをしているところを見たことがあるけど、すごく優しい手つきでブラッシングしてあげていた。僕のこともお馬さんのように、優しく扱ってくれるかもしれない。
「動物好きな人に、悪い人はいないよね」
アイルは馬小屋の隣の馬丁の詰め所へ行くと、ドアをノックした。
「すみませーん」
しかし中からは返事がない。
「おかしいな。留守なのかな」
ドンドンドン。
アイルがしつこくドアを叩いていると、突然そのドアが荒々しく開いた。
「うるせえな、誰だ!」
怒鳴られて、アイルはひゅっと息をのんだ。
「……あ? お前、王子付の奴隷か?」
男はアイルの全身を眺めて言った。今日のアイルは奴隷のしるしである首輪に、体の線がぴったり浮き出る競技用のウェアである。芯を持って立ち上がる乳首も、ペニスの形もはっきりと浮き上がり、ペニスとアナルの部分にはスリットが入って、すぐに挿入できるようになっていた。
「は、はい……」
馬丁は優しい人たちだと思い込んでいたアイルは、早くも逃げたくなって一歩後退った。
「待ちな」
ガシッと腕をつかまれ、小屋の中に引きずり込まれる。
「みんな、起きろよ」
小屋の中にはいくつかの粗末なベッドがあり、そこに寝ころんでいた男たちが次々と身を起こした。アイルは知らなかったが、馬丁は朝早くから馬の世話をしなければならないので、一仕事終えた後のこの時間は、仮眠の時間なのだ。
「なんだったんだ、さっきのうるさいノック野郎は」
「それが王子付の奴隷だったんだ」
その言葉で小屋中の男の視線がアイルに集まった。
「へえ……」
皆興味津々でアイルに近寄ってきた。
「なんだ、あんた、犯されに来たのか」
「……は、はい」
震える声でアイルが答える。
「だがお前、分かってるのか? 今は大事な仮眠の時間だったんだ。それを叩き起こしやがって」
「申し訳ありません……」
「申し訳ありませんで済むか!」
怒鳴られて、アイルは泣きそうになった。
「午後の仕事に響くだろうが!」
「どう責任取ってくれるんだ!」
パシン! パシン! と今度は四方から馬用の短鞭で叩かれた。
「あっ、あうっ、ごめんなさ…、あっ」
「なんでわざわざここまで来たんだ? 言ってみろ」
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「へえ」
男たちはニヤリと笑った。
「じゃあ、お馬さんにしてやろうな」
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