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第1章
みだらな夢
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ひっく、ひう……!
アンソニーがベッドに入ってしばらくすると、押し殺したような泣き声が聞こえてきた。
アイルが泣いているのだ。
一生懸命頑張っても結果が出なくて悲しくなったのだろう。アンソニーはしばらく放っておいた。しかし泣き声は止まない。なんとか声を押し殺そうとしているのは分かるのだが、全然うまくいっていなかった。
アンソニーはため息をつきながら、「アイル」と声を掛けた。
「こっちへおいで」
アイルはびっくりした顔で振り向いて、おそるおそる立ち上がった。アンソニーは、ゆっくりとベッドへ近づいてきたアイルの腰を抱いて、優しくベッドの中へ引きずり込んだ。
「アンソニー様?」
「努力しないといけないと言っただけで、お前がダメだと言ったわけじゃない。少しずつでも出来ることが増えるように努力しなさいと言ったんだ。まだお前の調教をはじめて半年だ。その割にはまあ……、お前は頑張っている」
「あ、アンソニー様……!」
しまった。結局褒めてしまった。アンソニーはそう思ったが、きらきらと顔を輝かせて喜んでいるアイルを見ると、いまさら厳しいことも言えなくなってしまった。
「お前も疲れただろう。少し寝なさい」
「……はい」
アイルを胸に抱き込むと、アイルは控えめにアンソニーのシャツの裾をぎゅっと握ってきた。温かい体温を感じながら、アンソニーはゆっくりとまどろみはじめた。
「んっ、んう……」
押し殺したような息づかいが聞こえてきて、アンソニーは目を覚ました。
「はぁっ」
それはアイルの息づかいだった。アイルは未だアンソニーの腕の中にいたが、もぞもぞと動いていた。
「くっ」
かみしめるような喘ぎ声を上げるアイルは、しっかりと目を閉じていて、起きているわけではないらしい。
なんだ? エッチな夢でも見ているのか?
アイルは意識のないまま、アンソニーにすり寄ってくると、勃起したペニスをアンソニーの足に当ててきた。
「は、はう……」
奴隷であるアイルが、主人であるアンソニーの身体を使って自分のペニスを慰めようとするなど、到底許されることではない。たとえ無意識下でもだ。しかし、すりよってアンソニーのにおいを嗅ぎながら、一生懸命腰を押し当ててくるアイルがなんだかかわいくて、アンソニーはしばらくその姿をじっと眺めていた。
「う、うう……、アン……ソニーさ、ま……」
アイルは目に涙を浮かべて、ますますアンソニーにペニスを押し付けてきた。どうやらイけなくてもどかしいらしい。そろそろ起こしてやるか、とアンソニーは思った。それに、ペニスを押し付けられて、かわいい喘ぎ声を聞かされ続けたアンソニーの理性も我慢の限界だった。
「アイル。起きろ」
アイルの肩を揺さぶって、アンソニーは言った。
「んあ?」
アイルはパッと目を開けたが、一瞬自分の置かれた状況が理解できていないようだった。
「どうした? 夢でも見てたのか?」
アンソニーがそう聞くとアイルはさっきまで見ていた夢の内容を思い出したらしく、ぽうっと顔を赤らめた。
「あ、あの……」
「なんの夢を見てたんだ? 俺の名前を呼びながら、俺の体に勃起したペニスを擦り付けてたぞ」
「え、ええ!?」
アイルは真っ青になって、慌ててアンソニーから離れた。
「ご、ごめんなさい! ぼ、僕……、へ、変な夢を……」
「だからどんな夢だ?」
「……っ、ぼ、僕が家政の試験でいい成績を収めて、アンソニー様が皇太子に選ばれて、よく頑張ったなって、僕を褒めてくれて、それで、ご、ご褒美エッチしてくださる夢です……」
「ほう。それは縁起のいい夢だな。正夢かもしれんぞ」
そう言いながら、アンソニーは逃げるアイルを抱きしめた。
「あ、アンソニー様!?」
アンソニーは抱きしめたアイルの体に、勃起した自身のペニスをぐりぐりと押し当てて耳元でささやいた。
「お前、こうやって、俺の体にチンコ押し当てて、もどかしそうに腰振ってたぞ」
「あ、ああ……! な、なんてことを!」
アイルは自分のやったことの罪深さに震えた。
「ごめんなさい……!」
「ご褒美エッチがなかったから、欲求不満なのか?」
「あ……」
その通りだった。しかし、自分がのろまなせいでご褒美エッチがなくなったのに、そんなこと、とても言えない。
「……」
黙ってくちびるをかみしめていると、アンソニーがアイルの顔を覗き込んで言った。
「アイル。悪い子だな。お仕置きだ」
アンソニーがベッドに入ってしばらくすると、押し殺したような泣き声が聞こえてきた。
アイルが泣いているのだ。
一生懸命頑張っても結果が出なくて悲しくなったのだろう。アンソニーはしばらく放っておいた。しかし泣き声は止まない。なんとか声を押し殺そうとしているのは分かるのだが、全然うまくいっていなかった。
アンソニーはため息をつきながら、「アイル」と声を掛けた。
「こっちへおいで」
アイルはびっくりした顔で振り向いて、おそるおそる立ち上がった。アンソニーは、ゆっくりとベッドへ近づいてきたアイルの腰を抱いて、優しくベッドの中へ引きずり込んだ。
「アンソニー様?」
「努力しないといけないと言っただけで、お前がダメだと言ったわけじゃない。少しずつでも出来ることが増えるように努力しなさいと言ったんだ。まだお前の調教をはじめて半年だ。その割にはまあ……、お前は頑張っている」
「あ、アンソニー様……!」
しまった。結局褒めてしまった。アンソニーはそう思ったが、きらきらと顔を輝かせて喜んでいるアイルを見ると、いまさら厳しいことも言えなくなってしまった。
「お前も疲れただろう。少し寝なさい」
「……はい」
アイルを胸に抱き込むと、アイルは控えめにアンソニーのシャツの裾をぎゅっと握ってきた。温かい体温を感じながら、アンソニーはゆっくりとまどろみはじめた。
「んっ、んう……」
押し殺したような息づかいが聞こえてきて、アンソニーは目を覚ました。
「はぁっ」
それはアイルの息づかいだった。アイルは未だアンソニーの腕の中にいたが、もぞもぞと動いていた。
「くっ」
かみしめるような喘ぎ声を上げるアイルは、しっかりと目を閉じていて、起きているわけではないらしい。
なんだ? エッチな夢でも見ているのか?
アイルは意識のないまま、アンソニーにすり寄ってくると、勃起したペニスをアンソニーの足に当ててきた。
「は、はう……」
奴隷であるアイルが、主人であるアンソニーの身体を使って自分のペニスを慰めようとするなど、到底許されることではない。たとえ無意識下でもだ。しかし、すりよってアンソニーのにおいを嗅ぎながら、一生懸命腰を押し当ててくるアイルがなんだかかわいくて、アンソニーはしばらくその姿をじっと眺めていた。
「う、うう……、アン……ソニーさ、ま……」
アイルは目に涙を浮かべて、ますますアンソニーにペニスを押し付けてきた。どうやらイけなくてもどかしいらしい。そろそろ起こしてやるか、とアンソニーは思った。それに、ペニスを押し付けられて、かわいい喘ぎ声を聞かされ続けたアンソニーの理性も我慢の限界だった。
「アイル。起きろ」
アイルの肩を揺さぶって、アンソニーは言った。
「んあ?」
アイルはパッと目を開けたが、一瞬自分の置かれた状況が理解できていないようだった。
「どうした? 夢でも見てたのか?」
アンソニーがそう聞くとアイルはさっきまで見ていた夢の内容を思い出したらしく、ぽうっと顔を赤らめた。
「あ、あの……」
「なんの夢を見てたんだ? 俺の名前を呼びながら、俺の体に勃起したペニスを擦り付けてたぞ」
「え、ええ!?」
アイルは真っ青になって、慌ててアンソニーから離れた。
「ご、ごめんなさい! ぼ、僕……、へ、変な夢を……」
「だからどんな夢だ?」
「……っ、ぼ、僕が家政の試験でいい成績を収めて、アンソニー様が皇太子に選ばれて、よく頑張ったなって、僕を褒めてくれて、それで、ご、ご褒美エッチしてくださる夢です……」
「ほう。それは縁起のいい夢だな。正夢かもしれんぞ」
そう言いながら、アンソニーは逃げるアイルを抱きしめた。
「あ、アンソニー様!?」
アンソニーは抱きしめたアイルの体に、勃起した自身のペニスをぐりぐりと押し当てて耳元でささやいた。
「お前、こうやって、俺の体にチンコ押し当てて、もどかしそうに腰振ってたぞ」
「あ、ああ……! な、なんてことを!」
アイルは自分のやったことの罪深さに震えた。
「ごめんなさい……!」
「ご褒美エッチがなかったから、欲求不満なのか?」
「あ……」
その通りだった。しかし、自分がのろまなせいでご褒美エッチがなくなったのに、そんなこと、とても言えない。
「……」
黙ってくちびるをかみしめていると、アンソニーがアイルの顔を覗き込んで言った。
「アイル。悪い子だな。お仕置きだ」
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