侯爵令息の数奇な運命

野咲カノン

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はじめに(みなさまへお願い)

 この作品には、性的暴行、性加害、人身売買の描写があり、またそれらの行為を肯定するような表現があります。これは作者、および読者のフェティシズム的欲求を満たすために書かれた、まったく現実から乖離した創作であり、現実の人間がこのような暴力的な行為で快感を得ることは、あり得ません。こういった作品を公開するリスクを鑑みて、以下のことを作者のステイトメントとして掲げます。



 2023年には法律が改正され、性犯罪の定義が厳格化されたにもかかわらず、いまだに日本では性犯罪の立件には高いハードルがあり、また被害者へのバッシング等の二次被害も深刻です。これらの社会的状況には、以前からAVや官能小説・漫画等の表現の影響が指摘されてきました。
 今回、2024年12月18日に大阪高裁にて言い渡された、滋賀医大生による性暴行事件の無罪判決の詳報に接し、被害者証言が信用できるかどうか、脅迫の有無、同意の有無についての裁判所の判断が到底納得できるものではないことを知りました。裁判官が性犯罪に対する十分な知識を有さないだけでなく、AV等の表現にみられる性暴力を受けた女性の反応表現のフィクションを、現実に起こることと認識している可能性すら感じる判決でした。
 今まで私は、AV、官能小説・漫画等が現実の性犯罪に影響を及ぼすという考えに否定的でした。まったくの創作を現実と混同する人間はゼロではないが、きわめて少数であり、これらの人々はAV等がなくとも犯罪を犯すであろうと思っていたのです。
 しかし、あらゆる証拠を検討し、公正な判断を下すべき裁判官であっても、被害者のNOを「NO」と認識できないということをあらためて突きつけられた今、極端な性表現が社会に悪影響を及ぼす可能性はまったく否定できません。私はあらゆる表現規制に反対する立場ですが、性表現に厳しい規制を課すべきという意見を、言下に切り捨てることはできません。ですので、以下のことをどうぞ約束してください。

 この作品は全くのフィクションで、このような行為で快感を得る人間はおらず、このような行為は全く許されない、非人道的行為です。これを理解しない方は絶対にこの作品を読まないでください。

 そして、性描写を愛するみなさん、どうか、現実の性暴力に対して目をつむらず、NOと言い続けてください。被害者をセカンドレイプするような人間を非難し、被害者と連帯できる人であり続けてください。我々ポルノ愛好者にとって、現実の性加害こそが最大の敵です。作品中のプレイが現実の性犯罪と重なったとき、その作品は死にます。その表現を楽しく鑑賞できますか? とても無理です。過激なポルノは現実に起こらないからこそ楽しめるのであり、現実に起こるのであれば、それはエンタテインメントとして消費することが許されないものです。ここを共感していただける方だけが、この作品を読んでください。
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