自分隠しのナルシスト達は付き合いたくないようなので、告白します。

せにな

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作戦実行②

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「いや~楽しかったね~」
「それなー。やっぱ人数が多いほうが楽しいなー」

 オレと聡善さんは姉さんたちの前を歩きながらそんな会話をする。
 メダルゲームをしたり写真を撮ったりと色々していたらあっという間に時間が経ってしまい、時刻は午後の17時を回ってしまっていた。
 あと数10分経てば一番の壁である第2関門が待ち受けている。
 その心の準備をしながらオレは電車の切符を買って今度は姉さん達と同じ車両に乗り込む。
 ドリームまちでもそうだったけど、相変わらずお兄さんと姉さんが話すことはなかった。



「電車はやっぱりいいね~」

 改札口から出た聡善さんはオレの顔を見上げながら話しかけてくる。
 それに合わせるようにオレも言葉を探し、聡善さんを見下ろしながら口を開く。

「それなー。揺られてる感じとかなー」
「あーわかる~。おかげで眠くなってきたもんねー」
「わかるわー」

 何気ない会話をしながらオレは後ろの2人に目を向ける。
 やっぱりというか、2人は目を合わせることもなく話すこともなく……それぞれの弟妹を見つめながら微笑んでいる。

 多分だが、オレと聡善さんのことを恋人だと思ってるな?今だけはそう思われるのはいいけど後で誤解は問とかないとな。出会ってまだ数時間しか経ってないのに恋人と間違われるのは聡善さんにも迷惑だ。

 なんて考えていると、珍しくお兄さんが口を開いた。

「千咲はなに買ったんだ?」
「んー?気になっちゃうー?」
「教えれるなら教えてほしいな」
「なら教えてあげよう!」

 聡善さんは後ろにいるお兄さんと話しながら背負っているリュックから1つのプレゼント用に加工してある小さな箱を取り出す。

「かれ……うん、彼氏へのプレゼントでハンカチを買ったんだよ!」

 言い淀み、曇った笑顔を一瞬見せた聡善さんだったが、お兄さんにはバレていないようで、すぐに満面の笑みを作り直すと自慢気に話し出す。

 すると、お兄さん……だけではなく姉さんまでもが面食らった表情を浮かべてしまう。

「え?匠海くんが彼氏じゃないの?」
「違うよー匠海はただの親友だって!」

 やっぱりかと言わんばかりの表情を浮かべ、オレも聡善さん側につく。

「そうですよ。千咲にちっとも恋愛感情なんて湧きませんよ」
「それはそれはありがたい」

 オレの言葉に作りの不服気な顔を浮かべた聡善さんは前を向き直し、小箱をリュックの中にしまい直す。
 そんな様子を見ながらオレは先程の聡善さんの様子に少しだけ考え込んでしまう。

 ドリームまちに入ってから聡善さんはずっと姉さん達について行っていた。その様子はオレも見ていたから断言できる。じゃあどこでプレゼントを買ったんだ?……まぁ答えは簡単か。元カレに渡す用のプレゼントがたまたま入っていただけか。
 それならあの時言い淀んだのも小箱が入っていたのも合点が行く。さっき出会ったばかりの人にあまり同情はしたくないが、彼氏のために頑張って選んだプレゼントを見つけてしまったら辛いよな……。

 聡善さんのリュックを見ながらそんな事を考えていると、聡善さんと目があってしまう。

「どうかした?もしかしてリュックになにかついてる?」
「いやなにも?疲れてボーッとしてただけ」
「あーたしかに今日いっぱい歩いたもんね」

 特に笑い合うこともなく、オレと聡善さんは作戦関係なく素で話し合う。
 するとなにかを察したのか、聡善さんはオレの耳元に口を近づけて、

「小箱のことは気にしなくていいよ」

 この時、作戦を実行する前に言っていた「ワタシ天才だからさ」という言葉はあながち間違いではないと思った。
 オレの視線だけでなにを考えているのかを当て、作戦のこともすべてが聡善さんの言った通りに動いている。

   兄は顔が良くて妹は天才って……神様は1つの家族に才能を与えすぎだよ……。

 耳元から離れた聡善さんはニコッと微笑み、外につながる自動ドアを開ける。
 聡善さんが大丈夫と言うのなら大丈夫なのだろうと思ったオレは気を取り直し、聡善さんに言われた通りにある提案を持ちかける。

「せっかくだし家まで送っていこっか」
「まじー?ならお言葉に甘えようかな~」

 そしてオレたちは後ろの2人に振り向き「「いいよね?」」と声を揃えてお願いを申し込む。
   もちろん弟妹の楽しそうな笑みを見せれば大抵の兄姉は断ることが出来ずに、

「「わかった……」」

   と呟くしかない。

 2人とも早くこのデートを終わらせたいようだけど、簡単には終わらせやしない。今日と明日、そして明後日で一気に距離を詰めてもらう!

 2人の了承を得たオレたちは軽くお礼を言って前に向き直り、また他愛のない会話を始める。
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