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第一章
第三話「小虎の能力」
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この世界の人々の不安から創られた神様というよりも、仮面をかぶった少年が目の前にいる。
白い服に身を包んで、客が座るであろう椅子に座り足をバタつかせている。
彼の名前は「フェイネス・ラ・ジュール」というらしく。
意味はないらしい。
店内を歩き回りながら、置物や飾りなどを見て楽しんでいる。
そして、俺の足元に居るこの小虎だ。
黒の小虎なんて初めて見るけど、この世界では普通なのだろうか。
先程から足元をうろちょろと歩き回っている。
踏み潰してしまいそうで動きたくても動けない。
おとなしくしてくれ!
これが俺の本音だ。
「ここがお兄さんのお店なんだね?」
カウンターから前のめりになりながら、顔を俺の方に近づけてくる。
俺はそんなフェイのことをスルーするように、無言で作業に没頭した。
俺の反応が冷たいのか頬を膨らまして仏頂面をしている。
「つまーんなーい!あ、そういや、その小虎なんて名前付ける?」
そう言ってカウンターから降りて、作業場に走りながら入ってくる。
はっきり言いたい。
危ないと。
この小虎どうよう好奇心多性のフェイに言っても意味はないのだろうが。
「で、どうするどうする?めっちゃくちゃ可愛いよ!ほら!」
スイーツを作っている俺の前にいきなり小虎を近づけてくるので、俺は作業していた手を急いで止めフェイの頭を片手で強く掴んだ。
「おい、フェイ!さっきも言っただろうが!作業の邪魔になるようなことはするなって!」
俺の堪忍袋の緒が切れそうになるが、なんとか押さえ込みながら注意した。
そんな俺の態度を見てもフェイはなんともないような顔でヘラヘラと笑ってくる。
「だって、退屈でしょ?僕もなにかお手伝いしたいし!この子もすごく不安そうな顔してるよ?」
退屈と言われて肩をガクッと落としそうになった。
ボケられた感覚だ。
まあ、確かにこの小虎には、何かしら名前をつけてやらないととは思ってはいたが。
いま名前を付けようとなってもすぐには思い浮かばないもので。
漆黒のような光り輝くツヤのある毛並みをしている。
「……ジェット、はどうだ?」
俺は手を洗ってから、小虎改め「ジェット」を抱き抱えながら目の前に持ってきて、呟いた。
そんな俺の言葉を聞いたジェットは嬉しかったのか、顔全体を舐め回してきた。
そこまで綺麗好き!ってわけではない俺でも、動物に舐められると顔を洗いたくなってしまうようで、フェイにジェットを預けて奥の自室についている洗面器で顔を洗った。
ジェットを抱き抱えながら俺の様子を見ていたフェイは、少し不満そうな顔をしながら俺の様子を伺っていた。
「そこまで嫌?ジェットに舐められるのって」
嫌というより、作業をしている間はあまり顔も手も汚したくはない。
清潔でいたいのだ。
料理を作る人も、お菓子を作る人も全ての人が同じだと考えてる。
「嫌とかそういうんじゃない。今、俺は何をしてた?」
自室に置いてあるタオルで顔を拭いてから、目の前にいるフェイに指を突き指した。
そんなフェイは何度も瞬きさせながら首をかしげた。
こいつ、本当はわかってるんじゃないのか?
俺はそう思いながらも、深くため息をついて作業場に戻った。
俺の後ろを一匹と一人が芋虫のように並んで付いて来る。
というか、ふと思ったことがある。
「なあ、こいつって普通の虎じゃないんだよな?」
フェイからの贈り物として貰ったジェットだが、普通の動物としてはちょっと違うような気がする。
何かしら能力を持っているんではないかと、俺は思った。
そんな俺の思考を読み取ったとのか口角を上げて不気味笑うフェイの姿があった。
「お兄さん?忘れてない?お兄さんにはとっておきのスキルがあることを!」
探偵みたいな喋り方をするフェイに、俺は冷たい視線を送った。
それよりも、とっておきのスキルってなんだ?
俺がもらったスキルは、生産スキル、これは何かを作り出すためのもの。
じゃあ、鑑定スキルは……、ああ、これか!
俺は手を叩いて鑑定スキルを使おうとした。
だけど、鑑定スキルを使おうにもやり方がわからないため諦めるしかなかった。
「お兄さん、そんな時のための僕だよー。精神を落ち着かせて、鑑定したいもの前に手をかざしてみて?」
ニヤつくフェイのことが嫌になりそうになったが、今はコイツの言う事を聞くしかないと思いゆっくりとジェットの前に手をかざした。
フェイが言うとおりに真似をしてみると……。
「鑑定スキル!発動!」
目の前に魔法陣が現れた。
これが鑑定するときに毎回出るのか?
なんか鑑定するためだけに魔法陣が出るとか、大げさな気もするんだが。
俺は呆れながらも目の前に映る、浮き出た言葉を見つめた。
【名前】ジェット
【歳】240歳
【神獣】黒虎
【スキル】危険察知、語言理解
と、書いてあった。
待てよ、危険察知はなんとなくわかるとして、語言理解って、人間の言葉が分かるってやつか?!
俺はフェイが抱えていたジェットを抱き上げてジッと見つめて気を集中させた。
すると、目の色が赤から青に変わったのだ。
「ゆ、や……?」
しゃ、喋ったー?!
俺は目を見開きながらジェットを見つめていた。
白い服に身を包んで、客が座るであろう椅子に座り足をバタつかせている。
彼の名前は「フェイネス・ラ・ジュール」というらしく。
意味はないらしい。
店内を歩き回りながら、置物や飾りなどを見て楽しんでいる。
そして、俺の足元に居るこの小虎だ。
黒の小虎なんて初めて見るけど、この世界では普通なのだろうか。
先程から足元をうろちょろと歩き回っている。
踏み潰してしまいそうで動きたくても動けない。
おとなしくしてくれ!
これが俺の本音だ。
「ここがお兄さんのお店なんだね?」
カウンターから前のめりになりながら、顔を俺の方に近づけてくる。
俺はそんなフェイのことをスルーするように、無言で作業に没頭した。
俺の反応が冷たいのか頬を膨らまして仏頂面をしている。
「つまーんなーい!あ、そういや、その小虎なんて名前付ける?」
そう言ってカウンターから降りて、作業場に走りながら入ってくる。
はっきり言いたい。
危ないと。
この小虎どうよう好奇心多性のフェイに言っても意味はないのだろうが。
「で、どうするどうする?めっちゃくちゃ可愛いよ!ほら!」
スイーツを作っている俺の前にいきなり小虎を近づけてくるので、俺は作業していた手を急いで止めフェイの頭を片手で強く掴んだ。
「おい、フェイ!さっきも言っただろうが!作業の邪魔になるようなことはするなって!」
俺の堪忍袋の緒が切れそうになるが、なんとか押さえ込みながら注意した。
そんな俺の態度を見てもフェイはなんともないような顔でヘラヘラと笑ってくる。
「だって、退屈でしょ?僕もなにかお手伝いしたいし!この子もすごく不安そうな顔してるよ?」
退屈と言われて肩をガクッと落としそうになった。
ボケられた感覚だ。
まあ、確かにこの小虎には、何かしら名前をつけてやらないととは思ってはいたが。
いま名前を付けようとなってもすぐには思い浮かばないもので。
漆黒のような光り輝くツヤのある毛並みをしている。
「……ジェット、はどうだ?」
俺は手を洗ってから、小虎改め「ジェット」を抱き抱えながら目の前に持ってきて、呟いた。
そんな俺の言葉を聞いたジェットは嬉しかったのか、顔全体を舐め回してきた。
そこまで綺麗好き!ってわけではない俺でも、動物に舐められると顔を洗いたくなってしまうようで、フェイにジェットを預けて奥の自室についている洗面器で顔を洗った。
ジェットを抱き抱えながら俺の様子を見ていたフェイは、少し不満そうな顔をしながら俺の様子を伺っていた。
「そこまで嫌?ジェットに舐められるのって」
嫌というより、作業をしている間はあまり顔も手も汚したくはない。
清潔でいたいのだ。
料理を作る人も、お菓子を作る人も全ての人が同じだと考えてる。
「嫌とかそういうんじゃない。今、俺は何をしてた?」
自室に置いてあるタオルで顔を拭いてから、目の前にいるフェイに指を突き指した。
そんなフェイは何度も瞬きさせながら首をかしげた。
こいつ、本当はわかってるんじゃないのか?
俺はそう思いながらも、深くため息をついて作業場に戻った。
俺の後ろを一匹と一人が芋虫のように並んで付いて来る。
というか、ふと思ったことがある。
「なあ、こいつって普通の虎じゃないんだよな?」
フェイからの贈り物として貰ったジェットだが、普通の動物としてはちょっと違うような気がする。
何かしら能力を持っているんではないかと、俺は思った。
そんな俺の思考を読み取ったとのか口角を上げて不気味笑うフェイの姿があった。
「お兄さん?忘れてない?お兄さんにはとっておきのスキルがあることを!」
探偵みたいな喋り方をするフェイに、俺は冷たい視線を送った。
それよりも、とっておきのスキルってなんだ?
俺がもらったスキルは、生産スキル、これは何かを作り出すためのもの。
じゃあ、鑑定スキルは……、ああ、これか!
俺は手を叩いて鑑定スキルを使おうとした。
だけど、鑑定スキルを使おうにもやり方がわからないため諦めるしかなかった。
「お兄さん、そんな時のための僕だよー。精神を落ち着かせて、鑑定したいもの前に手をかざしてみて?」
ニヤつくフェイのことが嫌になりそうになったが、今はコイツの言う事を聞くしかないと思いゆっくりとジェットの前に手をかざした。
フェイが言うとおりに真似をしてみると……。
「鑑定スキル!発動!」
目の前に魔法陣が現れた。
これが鑑定するときに毎回出るのか?
なんか鑑定するためだけに魔法陣が出るとか、大げさな気もするんだが。
俺は呆れながらも目の前に映る、浮き出た言葉を見つめた。
【名前】ジェット
【歳】240歳
【神獣】黒虎
【スキル】危険察知、語言理解
と、書いてあった。
待てよ、危険察知はなんとなくわかるとして、語言理解って、人間の言葉が分かるってやつか?!
俺はフェイが抱えていたジェットを抱き上げてジッと見つめて気を集中させた。
すると、目の色が赤から青に変わったのだ。
「ゆ、や……?」
しゃ、喋ったー?!
俺は目を見開きながらジェットを見つめていた。
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