パティシエの異世界冒険ライフ!

セイ

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第一章

第四話「少女二人救出」

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 ジェットが俺の言葉が分かるよりも、喋ったほうが驚くんだが。
 ビックリして固まってる俺の頬を不思議そうにつつくフェイの姿があった。

 「ねね、なに固まってるのー?ジェットがどうしたのー?」

 え、こいつわからないのか?

 ジェットが今喋ったんだぞ?

 俺は手で伝えようと動かしながら、口を何度も開いたり閉じたりを繰り返した。
 いつもなら思考を読み取ってくるはずのフェイは、今回はなぜかわからないのか首をかしげている。

 なぜわからないんだよ!

 俺は必死に伝えようとすると、手にひんやりとした感触が体を伝わって来るのがわかった。
 すぐに視線を落とすとジェットが尻尾を勢いよく振りながら、舌を出してこちらを見つめている姿があった。

 まて、こいつは一応神獣なんだよな?

 なんでこんなに可愛いんだよ!

 さっきまでの疑問がどっかに行ってしまったかのように、俺は夢中になって抱きしめた。

 「お兄さんって本当に表情がコロコロと変わるよねー」

 フェイのふとした言葉に俺は、頭にチョップを食らわした。
 そんな俺のチョップを食らったフェイは、頭を抱えながらしゃがみこんだ。
 今回はいい感じでモロに食らったようだ。

 「お兄さん、なにするのさー!」

 俺は素っ気なさそうに顔を逸らしながらジェットを撫でていると、また頭の中に響くような声が聞こえてきた。

 「ゆー、や……、お、れジェット……」

 このこえを聞いたとたんすぐに我に戻った。

 やっぱりこの声はジェットだったんだと思いじっと見下ろした。

 「お前、喋れるんだな。ただ、他の種族の言葉が分かるだけでなく、喋れるなんてな……、びっくりだ」

 頭を撫でながら俺は、ジェットを見つめながら考えていた。
 
 もしかしたら、人間並みに頭がよくなるかもしれない。
 教え方次第でだが、少し訓練でもしてみるかと静かに考えていた。

 「なあ、ジェッド、今から森を探検しに行かないか?」

 そんな俺の問い掛けにジェットは嬉しそうに尻尾を振っていた。

 俺はフェイに留守番を頼み、用心するために小型ナイフと鍋を担いで森へをと出かけた。
 鍋は防具にするために、小型ナイフは魔物に出会ったときのためのものにするためだ。
 鍋を防具なんて誰が考えるだろうか。

 ここにいる!

 俺がいる!

 そう思いながらジェットを連れて歩きだした。







 店から出て、小道が見えたので、どこを目指すでもなく歩いて行った。
 
 すると、ジェットがいきなり立ち止まり唸り始めた。

 「おい、ジェット?どうした?何かいるのか?」

 じっと気を集中させて、遠くを見つめると獣らしき魔物を見つけた。

 それも一匹ではなく何匹かいるようだった。

 「ゆー、や、助けないと……」

 助ける?

 俺はその言葉に疑問を感じた。
 だけど、直ぐに理解した。

 誰かが魔物に襲われていると。

 「ジェット、俺は攻撃力もまだまだだし、そこまで力がない。だから、手助けしてくれるか?」

 魔物と戦うなんてこの世界に来るまでは思いもしなかった。
 だから緊張で汗が手に滲んできて、心臓の鼓動もスピードを上げていっている。

 正直言って怖いと言ったほうがいいだろう。

 だけど、今ここで逃げ出したら男じゃない気がするんだ。

 俺はゆっくりと深呼吸をして、ジェットと一緒に魔物に向かって走り出した

 「離れろー!」

 俺は恐怖に打ち勝つために叫びながら、魔物に飛びかかった。

 魔物もいきなり来た俺たちに戸惑ったのか、一瞬攻撃が遅れた。
 そのおかげで防具として持ってきた鍋で身を防げた。

 「ジェット、行け!」

 俺が声をかけると、ジェットはいきなり吠えだした。
 すると、ジェッドの威圧感に圧倒されたのか尻込みする魔物たち。

 俺はそんな魔物に向かってナイフを振りかざした。

 ジェットのおかげといってもいいだろう。
 無事怪我もせず魔物たちを倒すことができた。

 全部で9匹くらいいただろうか。

 本当に、俺の防具(鍋)とジェットには感謝しかないな。

 「あ、あの……」

 ジェットを抱き上げて、その場でくるくると回ろうとしていたら後ろから声をかけられた。

 とても澄んだ声で、お嬢さんというくらいの声がした。
 誰なんだろうかと後ろを見ると、帽子に汚いボロボロの服を着た女性が二人佇んでいた。

 帽子のせいで顔が見えないが、フェイが言っていたこの世界の住人なんだろうと思いジェットを下に降ろした。

 「怪我はないか?」

 俺は静かに微笑みながら、他人行儀ではあったが彼女たちに近づいた。
 そんな俺に一人は軽く警戒しており、一人はゆっくりと頷いていた。

 「警戒しないでくれって言っても……、警戒するよな。俺は裕也だ。向こうの方から来た」

 女性二人は俺の言葉を聞いて、ゆっくりと顔を見つめ合わせていた。
 
 何か不思議なことでも言っただろうか?

 俺は下にいるジェットと一緒に首をかしげながら二人の女性を見つめた。

 「あ、あの……、助けていただいたことは感謝致します…。ですが、私たちの事を分かっていて助けてくださったのですか?」

 ん?

 それはどういう意味だろうか?

 俺は頭の上にハテナマークを浮かべるように、ゆっくりと瞬きをしながら見つめる。
 
 この子達はそんなに有名な人なのだろうか?

 そんな事を思っていたら警戒していた女性がお腹を空かせているのに気がついた。

 「はははっ、腹が減ったのか?俺の店に寄るか?」

 俺はお腹の音を聞いて軽く声に出して笑った。
 そんな俺の言葉に、帽子を深くかぶり直してスカートを強く掴んでいる。

 ちょっと笑いすぎただろうか?

 「すまんすまん!ほら、行こう。そんな恰好じゃ、悪い人に捕まってしまう。お腹いっぱいになろう」

 俺はなにか話そうとしている、女性の手を取って元の道を戻っていった。
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