破滅の足音

hyui

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女神像

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創業10年のアンティークショップの店長は、売り上げの低下に悩んでいた。
「うちは道路沿いにあるんだが、目立たんからなあ…。」
ここ10年で周りの建物も大きく変わり、周りは有名チェーン店ばかり。個人経営のアンティークショップでは、売り上げは落ちる一方だった。
「なんとかしなければ…。」

悩んだ末、店長は常連の芸術家に頼むことにした。
「何かこの店の存在をアピールするものが欲しい。手を貸してくれんかい?」
「OK。店長さんには世話になってるからね。10年記念の俺からのプレゼントということにしておくよ。」
「ありがたい!それで、何を作るかなんだが…。」

それから店長と芸術家の話し合いが始まった。
ああでもない、こうでもないと互いに話し合った結果、ついに出来た案が女神像だった。
「女神像…。いいかもしれんね。」
「少なくとも、これで店のアピールにはなりますよ。道行く人の目にもつきますし。」
「これで女神像が美しければ間違いなしだ。よし!これで行こう!」
「女神像の設計は任せて下さい。思いっきり美しい物にしてみせますよ。

かくして女神像でのアピール計画がスタートした。
デザインは芸術家が全て請け負い、その他具体的な設計は大工も手伝い、地元へのアピールは広告店が行った。

「店長さん。私ら応援してるから。頑張ってよ!」
アピール効果は絶大らしく、建築中に地元の昔からの馴染み客も声をかけるほどであった。
久しくなかった声援に、店長も思わずホロリと涙した。
「…この数年で、私はすっかりみんなに忘れられたのだと思っていた。でも違った。みんなしっかり、覚えていてくれたんだなぁ…。」

 
皆の協力あって、女神のブロンズ像は完成した。
腰元まで伸びた長髪の女性が祈りを捧げるようなデザインの、見事に神々しい裸婦像だった。
「みんな、ありがとう。うちもこれからもっともっと頑張るよ!」
感極まって涙を流す店長。
女神の立つ通りは、「女神通り」と名付けられ、もはや町の顔となっていた。


それから一年後。地元放送で女神像撤去のニュースが流れた。
『…この女神像が立って以降、この通りの事故率が激増し、この女神像が一因にあるとして、市が女神通りに立つ、女神像を撤去する事を決定しました。
調べに寄りますと、この通りで起こった事故の大半は10代20代の男性が占め、その事故の原因が女神像へのよそ見によるものとされています。その証拠のVTRがこちらです。』
画面が切り替わり、録画VTRが流れた。

口をポカンと開けて女神像に見惚れるドライバー。そして事故るドライバー。

鼻の下を伸ばして女神像に見惚れるドライバー。そして事故るドライバー。

もはや女神像しか見てないドライバー。そして事故るドライバー…。
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