破滅の足音

hyui

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使用済みパンティ

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使用済みパンティ…。それは男の夢…。
いや、語り手の私には断じて理解出来ないが、そういうものらしい。…そういうものらしい。
今宵も夢を求めて、男たちは集う…。

「これ、一つ…。」
「千円です。」
恥じらいながらも、念願の「夢」を握りしめ、男は店を後にした。

「好きですねぇ…。あの人も。」
「お前も男ならわかるだろ。これに惹かれる理由が。」
「まあ、そうですがね…。」
ショップ店員は頭をかきながら、出ていった客を見送っていた。
「でも、いつも『終わった』後で気付くんですよ。なんでこんなものに必死になっていたんだろう、ってね。」
「だが、またその時になれば求めてしまう。男とはそういうものだ。」
「つくづくバカですよねぇ…。男って…。」
「俺たちもそのバカな『男』だがな。」
はっはっは…、と談笑する2人。
「まったく、『使用済みパンティ』ごときに何を語ってるんでしょうね。僕ら。」
「まったくだ。俺たちはバカの極みかもしれんな。」
「そうですね。」

ピピッ!ピピッ!

唐突にタイマーが鳴り響いた。
「おっと、もう時間か。」
「ちょうど今売れたところですからね。補充しますか。」
そう言って男店員2人はズボンを脱ぎ、下に履いていたパンティも脱ぐとカプセルに詰め始めた。
「…僕らのやってることって詐欺じゃないですかね?」
「別に詐欺じゃないだろ。俺たちが『使用』したパンティなんだ。立派な『使用済パンティ』だよ。」
「俺、実はちょっと漏らしちゃったんすよ…。」
「お、いいな。それはシミ付きとして高く売ろう。でかしたぞ。」
「えへへ…。」


…夢とは時に残酷だ。それでも男たちは夢を追いかける。そこにまだ見ぬ幻想を求めて…。
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