20 / 87
《体験談》電話
しおりを挟む
九州で働いていた頃の話。
当時、私が働いている飲食店は今のような時短営業も無かったので、閉店まで働いていた私は当然帰りが遅い時間帯になっていた。閉店してから帰宅まで2、30分かかる事もあったので、家に帰る頃には日付が変わっている、なんてことはしょっちゅうだった。
しかも九州時代、私は車で通勤していたのだが、駐車場は家から歩いて15分ほどかかる距離にあったので余計に疲れた。
そんなしんどい帰り道での話である。
帰り道の途中、電話の鈴の音が聞こえてきた。
見回してみると、建設会社の事務所らしき建物があり、どうやらそこから鳴っているようだった。
事務所はすでに真っ暗で、中に誰もいる様子は無かった。
(こんな時間に電話をかける用事とは。どこも大変だな。)
と、その時は私は別段気にもしていなかった。
それから帰り道でその事務所の前を通るたびその電話の音は聞こえてきたが、疲労と明日の仕事のことで頭が一杯で、特に変にも思わずに通り過ぎていった。
だが何ヶ月かして、とうとうおかしい事に気付いた。
その事務所の電話、深夜12時を回ろうという時間帯に、誰も居ないのが分かりきっている時間帯に、毎日鳴っているのだ。
その電話の鈴が鳴り止んだのはついぞ聞いた事がない。
それに気づいた時、私は急にその電話が気味悪く思えてきた。
“中に入って電話に出てみようか?”
なんてことも考えた事があったが、やはり恐ろしくて、とても実行出来なかった。というより、常識的に考えて不法侵入だろう。
九州には2年ほど滞在していたが、その電話は毎日同じ時間帯で鳴っていた。誰もいないであろう、真っ暗な事務所の中で。
それから本州の方へ異動が決まるまで、私はとうとう電話の主の正体がわからなかった。
あの電話は今でもあの事務所で鳴り続けているのだろうか。
あの電話の主は一体何者だったのだろうか。
それを確かめることはもうできないだろう。
いまや九州に旅行に行くのも憚られる時代になってしまった。
もう一度、あの頃に戻りたい、とこの頃はしみじみと思ってしまう。
当時、私が働いている飲食店は今のような時短営業も無かったので、閉店まで働いていた私は当然帰りが遅い時間帯になっていた。閉店してから帰宅まで2、30分かかる事もあったので、家に帰る頃には日付が変わっている、なんてことはしょっちゅうだった。
しかも九州時代、私は車で通勤していたのだが、駐車場は家から歩いて15分ほどかかる距離にあったので余計に疲れた。
そんなしんどい帰り道での話である。
帰り道の途中、電話の鈴の音が聞こえてきた。
見回してみると、建設会社の事務所らしき建物があり、どうやらそこから鳴っているようだった。
事務所はすでに真っ暗で、中に誰もいる様子は無かった。
(こんな時間に電話をかける用事とは。どこも大変だな。)
と、その時は私は別段気にもしていなかった。
それから帰り道でその事務所の前を通るたびその電話の音は聞こえてきたが、疲労と明日の仕事のことで頭が一杯で、特に変にも思わずに通り過ぎていった。
だが何ヶ月かして、とうとうおかしい事に気付いた。
その事務所の電話、深夜12時を回ろうという時間帯に、誰も居ないのが分かりきっている時間帯に、毎日鳴っているのだ。
その電話の鈴が鳴り止んだのはついぞ聞いた事がない。
それに気づいた時、私は急にその電話が気味悪く思えてきた。
“中に入って電話に出てみようか?”
なんてことも考えた事があったが、やはり恐ろしくて、とても実行出来なかった。というより、常識的に考えて不法侵入だろう。
九州には2年ほど滞在していたが、その電話は毎日同じ時間帯で鳴っていた。誰もいないであろう、真っ暗な事務所の中で。
それから本州の方へ異動が決まるまで、私はとうとう電話の主の正体がわからなかった。
あの電話は今でもあの事務所で鳴り続けているのだろうか。
あの電話の主は一体何者だったのだろうか。
それを確かめることはもうできないだろう。
いまや九州に旅行に行くのも憚られる時代になってしまった。
もう一度、あの頃に戻りたい、とこの頃はしみじみと思ってしまう。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/3:『おかのうえからみるけしき』の章を追加。2026/1/10の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/2:『そうしき』の章を追加。2026/1/9の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/1:『いえい』の章を追加。2026/1/8の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/31:『たこあげ』の章を追加。2026/1/7の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/30:『ねんがじょう』の章を追加。2026/1/6の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/29:『ふるいゆうじん』の章を追加。2026/1/5の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/28:『ふゆやすみ』の章を追加。2026/1/4の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる