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居眠り
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「…で、あるからしてabを通る曲線は以下の式で表せる訳です。さらに…。」
…退屈な授業はなんだか眠たくなる。
別に寝ていいと思ってる訳じゃない。寝ちゃいけないことは頭では分かっている。でも寝ちゃいけないと思えば思うほど、眠気はどんどんと増していく…。
「…で……あ…に…。」
マズイ。
先生の言葉も何を言ってるのか分からなくなってきた。これはこのまま眠ってしまう兆候だ。
寝るな。
寝てたまるか。
寝ちゃダメだ…
寝たら……。
「太郎くん!」
「…はっ!はいっ!」
「ちゃんと聞いているんですか!?」
「は、はいっ!すいません!」
ギロッと睨みつける先生。周囲の奴らは俺をクスクスと笑う。
…いかん。いつの間にか眠っていたらしい。
「席について。ちゃんと起きてないとダメでしょ。」
「…はい。すいません。」
…別にわざとじゃないんだ。
否定したい気持ちを抑えつつ、おとなしく席に座る。
「では続きからいきますね。エジプトはナイルの賜物、という言葉がありますがこれはエジプトの文明がナイル川と密接に繋がっていることを示していて…。」
…ダメだ。授業がさっきやったところと全く違うところをやっている。また大幅に授業に遅れてしまった。
ノートを見てみても、全く意味不明なものばかり書かれている。これじゃノートの意味がない。どうして俺はいつもこうなんだろう…。
「で……ナ……い……。」
や、ヤバイ!落ち込んでいたらまた眠くなってきた。今度こそ寝たら大目玉だ。何とか寝ないように無駄な抵抗をしてみる。ほっぺたをつねったり、両足の指を閉じたり開いたり…。
よし、ちょっと効きそう。寝ないぞ。
寝ない。
寝ない…。
寝…。
「太郎くん!」
「はっ!はいっ!」
「聞いているの!?」
「は、はいっ!すいません!」
ギロッと睨みつける先生。周囲の奴らはまた俺をクスクスと笑う。
…またしても眠っていたらしい。我ながら情けない…。
「席について。ちゃんと起きてないとダメでしょ。」
「…はい。すみません。」
ぐうの音も出ない。僕は大人しく席に着いた。
「…それで、スカンディナビア半島ではカルボニル基がα化して、つまりそれは…。」
…もうダメだ。先生の言っていることも支離滅裂に聞こえてきた。授業の内容がさっぱり入って来ない。
一体いつまでこの授業は続くんだろう?
そう思うとまた意識が遠くなってきた…。
「…太郎!太郎!目を覚まして!太郎!」
…とある病院の一室。無数のチューブにつながれた太郎くんに、彼の両親が必死に呼びかけていた。だがその呼びかけも虚しく、太郎くんは一向に目を覚ます気配がない。
「…残念ですが、今後太郎くんはこのまま目を覚ますことはないでしょう…。」
「そんな…!」
「それでも意識はあるようです。ご両親の呼びかけにきちんと反応を示しています。このまま呼びかけ続ければあるいは…。」
「ああ!太郎…!」
泣き続ける両親を他所に、太郎くんはベッドの上で延々と続く夢を見続けるのだった…。
…退屈な授業はなんだか眠たくなる。
別に寝ていいと思ってる訳じゃない。寝ちゃいけないことは頭では分かっている。でも寝ちゃいけないと思えば思うほど、眠気はどんどんと増していく…。
「…で……あ…に…。」
マズイ。
先生の言葉も何を言ってるのか分からなくなってきた。これはこのまま眠ってしまう兆候だ。
寝るな。
寝てたまるか。
寝ちゃダメだ…
寝たら……。
「太郎くん!」
「…はっ!はいっ!」
「ちゃんと聞いているんですか!?」
「は、はいっ!すいません!」
ギロッと睨みつける先生。周囲の奴らは俺をクスクスと笑う。
…いかん。いつの間にか眠っていたらしい。
「席について。ちゃんと起きてないとダメでしょ。」
「…はい。すいません。」
…別にわざとじゃないんだ。
否定したい気持ちを抑えつつ、おとなしく席に座る。
「では続きからいきますね。エジプトはナイルの賜物、という言葉がありますがこれはエジプトの文明がナイル川と密接に繋がっていることを示していて…。」
…ダメだ。授業がさっきやったところと全く違うところをやっている。また大幅に授業に遅れてしまった。
ノートを見てみても、全く意味不明なものばかり書かれている。これじゃノートの意味がない。どうして俺はいつもこうなんだろう…。
「で……ナ……い……。」
や、ヤバイ!落ち込んでいたらまた眠くなってきた。今度こそ寝たら大目玉だ。何とか寝ないように無駄な抵抗をしてみる。ほっぺたをつねったり、両足の指を閉じたり開いたり…。
よし、ちょっと効きそう。寝ないぞ。
寝ない。
寝ない…。
寝…。
「太郎くん!」
「はっ!はいっ!」
「聞いているの!?」
「は、はいっ!すいません!」
ギロッと睨みつける先生。周囲の奴らはまた俺をクスクスと笑う。
…またしても眠っていたらしい。我ながら情けない…。
「席について。ちゃんと起きてないとダメでしょ。」
「…はい。すみません。」
ぐうの音も出ない。僕は大人しく席に着いた。
「…それで、スカンディナビア半島ではカルボニル基がα化して、つまりそれは…。」
…もうダメだ。先生の言っていることも支離滅裂に聞こえてきた。授業の内容がさっぱり入って来ない。
一体いつまでこの授業は続くんだろう?
そう思うとまた意識が遠くなってきた…。
「…太郎!太郎!目を覚まして!太郎!」
…とある病院の一室。無数のチューブにつながれた太郎くんに、彼の両親が必死に呼びかけていた。だがその呼びかけも虚しく、太郎くんは一向に目を覚ます気配がない。
「…残念ですが、今後太郎くんはこのまま目を覚ますことはないでしょう…。」
「そんな…!」
「それでも意識はあるようです。ご両親の呼びかけにきちんと反応を示しています。このまま呼びかけ続ければあるいは…。」
「ああ!太郎…!」
泣き続ける両親を他所に、太郎くんはベッドの上で延々と続く夢を見続けるのだった…。
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