まるくまるく

あるまたく

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黒、狐、奪

4 SS ハル1

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 寒気を感じて目を覚ます。薄明時とは言え、家の中はまだ暗い。周りを見渡すが、狼とも熊とも言えないはいなかった。台所から朝食の支度をする音が聞こえてくる。母親に聞いてみようと思い、母親のところへ向かった。

「おはよう。」
「おはようハル。顔洗ってきたら手伝って?」
「うん。あの子どこ行ったか知らない?」
「夜のうちに出て行ったわよ。街に行くんだって。」
「……そう。」
「さみしい?」
「わかんない。……顔洗ってくる。」

 家の裏手で顔を洗い、一息つく。たった1日ではあったが、とても楽しかった。熊に襲われ必死で逃げた。死ぬかもと思っていたら、あんな小さい子が助けてくれた。矢を撃っちゃったけど、失くした靴も持ってきてくれたし。短弓についても黒弓にしてくれたし、きれいな丸い球もくれた。とても不思議な子。名前ないみたいだし付けてあげたかったけど、考えつかなかった。……また会えたら良いけど。

「ハルー?……大丈夫?」
「何?」

 なかなか手伝いに来ない私を母親が呼びに来た。聞き返した私を見た母親が近寄り、私を抱きしめてくれる。どうやら泣いていたらしい。だって……会いたいんだもん。楽しかったんだもん。

「泣いても良いよ。また会えるかもしれないじゃない。元気出して、ね?」
「……うん。」

 しばらくして母親とともに朝食を食べ、弓の練習をしようと弓を手に取る。そして弓の横に置いた氷の球に気づいた。おかしい。溶けていない。母親にも聞いたが、原因は分からないらしい。あの子が何かしたのだろう、と思うと少し落ち着いてきた。今度会ったらあの柔らかい頬を引っ張ってやろうと心に決める。弓も、もっと上手くなって自慢しよう。
 朝日が黒い弓に差し込んでくる。夜明けだ。綺麗な弓を手に取り、いつもの練習場所に行く。
 つい先ほどまで泣いていた少女は、静かに弓を射る。通常、弓は軽すぎて自分に合わなければ狙いにくい。しかし、この黒弓は、面白いように当てられる、そんな気がしてくる。
 あの子の顔がちらつくと狙いがぶれる。集中しなきゃ。

 絶対、上手くなってやるんだから。
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