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第一章
プロローグ2
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寒さも和らぎ、緑葉が増え始めた5月中旬。2限目の授業が終わり、俺は次の授業である体育の準備をする為ロッカーからもってきた体操着に手際よく着替えはじめた。
「今日は隣のクラスと合同だったけ?」
ズボンのベルトに手をかけた時、ふと前の席から声をかけられ視線を向けるとシャツのボタンを外し終えた鳴海が体操着の上を着る所だった。
俺の前の席である橋本鳴海《はしもとなるみ》は中学からの付き合いで、気心の知れた仲である。ゆるくウェーブがかかった栗色の髪の毛が特徴的で、前髪をいつもド派手なピンク色のヘアピンで留めている。
「そうだったな。それでたしか種目別に分かれてやるんじゃなかったか?」
「そうそう!陽人はなにすんの?ってか一緒にやろうよ!」
「別にいいけど、お前体力ないから激しい運動とか無理だろ。バスケとかサッカーとか。」
そう言うと癪に障ったのか鳴海の片眉がピクリと動き眉根を寄せてこちらを睨んでくる。
「…体力あるし。」
まるで拗ねた子供のように頬を膨らませてつっけんどんに言い返してきた。
「嘘つけ。一昨日の体育でやった200m走でバテバテになって死にかけてたじゃねーか。他の奴らは余裕で走ってたぞ。」
「っ、そ…それはっ!あー…、あの時は寝不足だったんだよ!そう、寝不足!!」
誰が見ても体力がないことは明白なのに男としてのプライドがそうさせるのか、苦し紛れな言い訳をする鳴海に思わず吹き出しそうになる。気持ちはわからなくはない。けど、流石に寝不足を理由にするのには無理があるだろと胸の内で笑みを溢した。
鳴海は運動部に入っていないせいか体つきは細かった。身長もそれほど高くなく、中性的な顔立ちをしているので制服を着ていないと女の子と間違われることが多いらしい。
実際、休みの日に私服の鳴海と市街地へ遊びに出かけると必ずと言っていいほど男からナンパをされるのだ。鳴海は同性愛者ではない。だから男から誘いを受けても全く嬉しくないと憤っていたけれど、そもそも女の子と間違われるようなレディース物の服を着ている鳴海も悪いと思う。
少し話は外れたが、そんなこともあって余計に弱っちい奴等と思われたくはないんだろう。まぁ俺にもコンプレックスの一つや二つあるのだから、余り強く言ってやると可哀想だ。
これ以上追及するのをやめ、話を選択球技に戻した。
「そういうことにしといてやる。んで、球技ってなにがあったっけ?」
「しといてやるって!…って、えーとたしか、卓球・バスケ・サッカーに…あとバトミントンじゃなかったけ?」
「んー…じゃあ、卓球にでもするか。」
「卓球?」
「おう。昼前にあんま激しい運動とかしたくないからな。4限目腹空いて授業に集中できなくなったら嫌だし」
「それもそっか。じゃあ俺も卓球にする!ぜってぇ陽人に勝つからな!!」
鳴海は体操着のズボンを握りしめ、宣戦布告するかのように声高高にそう宣言する。深い群青色の瞳には好戦的な光が宿っていた。見るからに負けん気の強さがひしひしと伝わってきて、こいつは本当に負けず嫌いだなと一人苦笑する。
「はいはい、楽しみにしとくよ」
着替え終えた俺はトイレに向かうため鳴海にに背を向けるとひらひらと片手を振って教室を後にした。
「今日は隣のクラスと合同だったけ?」
ズボンのベルトに手をかけた時、ふと前の席から声をかけられ視線を向けるとシャツのボタンを外し終えた鳴海が体操着の上を着る所だった。
俺の前の席である橋本鳴海《はしもとなるみ》は中学からの付き合いで、気心の知れた仲である。ゆるくウェーブがかかった栗色の髪の毛が特徴的で、前髪をいつもド派手なピンク色のヘアピンで留めている。
「そうだったな。それでたしか種目別に分かれてやるんじゃなかったか?」
「そうそう!陽人はなにすんの?ってか一緒にやろうよ!」
「別にいいけど、お前体力ないから激しい運動とか無理だろ。バスケとかサッカーとか。」
そう言うと癪に障ったのか鳴海の片眉がピクリと動き眉根を寄せてこちらを睨んでくる。
「…体力あるし。」
まるで拗ねた子供のように頬を膨らませてつっけんどんに言い返してきた。
「嘘つけ。一昨日の体育でやった200m走でバテバテになって死にかけてたじゃねーか。他の奴らは余裕で走ってたぞ。」
「っ、そ…それはっ!あー…、あの時は寝不足だったんだよ!そう、寝不足!!」
誰が見ても体力がないことは明白なのに男としてのプライドがそうさせるのか、苦し紛れな言い訳をする鳴海に思わず吹き出しそうになる。気持ちはわからなくはない。けど、流石に寝不足を理由にするのには無理があるだろと胸の内で笑みを溢した。
鳴海は運動部に入っていないせいか体つきは細かった。身長もそれほど高くなく、中性的な顔立ちをしているので制服を着ていないと女の子と間違われることが多いらしい。
実際、休みの日に私服の鳴海と市街地へ遊びに出かけると必ずと言っていいほど男からナンパをされるのだ。鳴海は同性愛者ではない。だから男から誘いを受けても全く嬉しくないと憤っていたけれど、そもそも女の子と間違われるようなレディース物の服を着ている鳴海も悪いと思う。
少し話は外れたが、そんなこともあって余計に弱っちい奴等と思われたくはないんだろう。まぁ俺にもコンプレックスの一つや二つあるのだから、余り強く言ってやると可哀想だ。
これ以上追及するのをやめ、話を選択球技に戻した。
「そういうことにしといてやる。んで、球技ってなにがあったっけ?」
「しといてやるって!…って、えーとたしか、卓球・バスケ・サッカーに…あとバトミントンじゃなかったけ?」
「んー…じゃあ、卓球にでもするか。」
「卓球?」
「おう。昼前にあんま激しい運動とかしたくないからな。4限目腹空いて授業に集中できなくなったら嫌だし」
「それもそっか。じゃあ俺も卓球にする!ぜってぇ陽人に勝つからな!!」
鳴海は体操着のズボンを握りしめ、宣戦布告するかのように声高高にそう宣言する。深い群青色の瞳には好戦的な光が宿っていた。見るからに負けん気の強さがひしひしと伝わってきて、こいつは本当に負けず嫌いだなと一人苦笑する。
「はいはい、楽しみにしとくよ」
着替え終えた俺はトイレに向かうため鳴海にに背を向けるとひらひらと片手を振って教室を後にした。
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