転生悪役令嬢の考察。

saito

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6,転生悪役令嬢の嗜み。

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「ほらね?ヒロイン、いたでしょう?

その『ぐぬぬ』みたいな顔をやめなさい。
三下みたいですよ。
……まさかあなた、ゲームスチルの賑やかしで描かれたモブだったのでは?
いや、多分違いますね。
あなたみたいな顔のモブがいたら、『こっち攻略させろよ!』みたいな話題が出て絶対記憶に残りますもん。

怒らないでください。
顔が良いと褒めてるんですから。
暴れると馬車の壁に顔をぶつけますよ?
せっかくの褒めどころを減らさないでくださいね。

動じないのかって?
私が言った通りの展開になったからですか?
転校生が入学式後の懇親パーティーで足をかけられて転んだところを王子が助け起すのは強制イベントですから、何度も見た光景というか。
悪役令嬢ものだと、ゲームで見た光景が現実に繰り広げられるもの、という頭があるので、実際見てもこれか、みたいな感じです。
あなたみたいに、いちいちリアクションしてもらえるのは少し楽しいですけどね。
あ、因みに彼女が言った引っかかったのは私の足だって話、ゲームでは本当だし完全態とですから。あなたが盛大に反論してくれましたけど、多分明日には私が足を引っ掛けたのが真実として広まってますよ。

へ?悪役令嬢ものとは何かですか?
ああ、確かに、そこまでは話したことなかったですね。

説明すると複雑なんですが、ベタな恋愛ゲームの当て馬キャラクターに生まれ変わる女性を主人公にした創作、というのが悪役令嬢ものです。

わからん。という顔をされましても、それしか説明のしようがないのですが。
とにかく、私は前世でベタい乙女ゲームを嗜んでいましたが、通学の合間なんかに数多くの悪役令嬢ものにも手を出してまして、結論的には全方向に耐性を持つ婦女だったんです。

同じ様な話ばかり読んで何が面白いのかって?
あなた、今確実に次元を超えた敵を作りましたよ。

何でわざわざ嫌われ役に生まれ変わるような話にするのかって?
確かに不思議ですね。
でも、それが何故か凄い支持されていたんですよ。

うーん。別に読み手も嫌われたいわけじゃないと思うんですよね。
殆どの創作で、悪役令嬢は嫌われたままでは終わりませんから。
ゲームのシナリオにいかにして立ち向かいそこに至るか、というところが楽しまれている節があります。

ピンときませんか?
確かに、こちらの世界の女性は基本的に受け身ですからね。
そもそも世界設定が封建制度を採用してますので、私が割と温室育ちで世間知らずなだけで多分相当な男尊女卑思想もありますでしょうし。

ああ、封建制度とか男尊女卑が何かは後で説明します。
それよりも、何でわざわざ女性たちは悪役に生まれ変わるのか、これは大きな謎ですよ。

そうですね。ふふふ。
何だかワクワクしてきました。
私はこの謎を考えずにはいられないようです。
家に着くまで取り組んでいて良いですか?

あら、あなたは寝るんですか?
あ、こら、人の膝を枕にしないでください。

……もう寝てる。
まったく、しょうがないですね。
庇ってくれて、ありがとうございました。」
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