転生悪役令嬢の考察。

7,転生悪役令嬢の手当。

「あ、ほら、動かないでください。ガーゼが上手く貼れないじゃないですか。

痛い？
少しくらい痛いほうが反省してよろしいのでは。

いいえ、反省してください。
毎度毎度王子や委員長に勝負を挑んでは返り討ちにあって……。
あなたが魔術であの2人に勝てるわけないでしょうが。

いや、やらなくてもわかりますよ。
いい加減懲りてください。
毎回手当てするこっちの身が保ちません。
なんだってこんなくだらないこと繰り返すんですか？

いけ好かないから？
本当ですか？
私の目を見て言えます？

ちょ。近い近い。
分かりました。信じます。
信じるから離れてください。

てい。

違いますよ。
おでこのガーゼが落ちそうだったから抑えただけです。
はたいてはいません。

とにかく、このままじゃいつかあなたが大怪我するんじゃないかと気が気でないので、あまり無茶しないでください。
どうせ今のやり方じゃ勝てないんでしょうから。

ちょっと、何ですか。
人の肩に頭くっつけて。
まだ道具の片付けがあるのでひっつかないで下さいますか。

幻滅？私が？あなたに？
ありえませんね。
何故そう思うんですか？

そりゃ毎回コテンパンですけど、
それはあなたが武力を使わないからじゃないですか。
あなたほどの腕なら物理攻撃を使えば、互角以上でしょうに。
何を考えての縛りプレイか知りませんが、態と不利な戦い方をして負けてる事について、何故なのかなとは思っても情けないとは思いませんよ。

本当です。
ほら、元気出して下さい。
ほーら。よしよし。

機嫌治りましたか？

よろしい。
しばらく寝てましょうね。
まだ麻痺の魔法が残っているからやたら倒れかかってくるんでしょうし。

あなたが寝ているうちに保健医を探して来ます。

良くないですよ。
肝心な時にいつもいないんですもん。
きっと自分で手当てしたら私たちがクレームを入れると思ってるんですよ。

そうですよ。
私たちすっかり悪の姉弟になってますもん。
私はともかくあなたまで悪く言われるなんて……。

気にしてませんか？
少しは気にして下さい。
王子たちに襲いかかるのをやめれば、少なくともあなたが悪く言われる所以は無くなるんですから。

私？
私の方はもう仕方がないんです。
何度も言ったでしょう。

いえ、これからも変わらないですよ多分。
あなたの存在は、ゲームのシナリオからしてみればありえない事態です。
でも、本来ここにいないはずのあなたがいても、筋が変わる気配はありません。
小手先で末節を変えるくらいじゃ私の運命は変わらないのだと思います。

え？ふふふ。そうですね。
そうなったら流石のこの世界も変わるかもしれませんね。

さあ、この話はこれくらいにして、あなたは休んで下さい。

え？添い寝？
てい。

違いますよ。
おでこのガーゼがズレそうだったから抑えただけです。
はたいてはいません。」