転生悪役令嬢の考察。

saito

文字の大きさ
8 / 19

8,転生悪役令嬢の思想。

しおりを挟む
「へ?あ、すみません考え事をしてました。

文句言わないで下さい。
大丈夫ですよ。
最近慣れすぎて目を瞑っても手当て出来るようになりましたから。
少しくらい気が逸れた所で手元は狂いません。

何って、いつも通りですよ。
悪役令嬢について考えてました。
あなたを気にしていると心労でハゲそうになるので。

どんな考えかって?
そうですね。
私も人に話すことで仮説が整理されるので、少し聞いて下さい。

そもそも一口に転生悪役令嬢といっても、その表現は一様でなかったりします。
もちろん、良く見る要素はあります。
『溺愛』とか『ざまぁ』とか『チート』とか言われるのがその代表ですね。

でも、『じゃあ悪役令嬢ものが、それらを表現することを目的にしたものか』と問われると、そこまでは言えないと思うんですよね。
というのも、『溺愛』じゃない悪役令嬢ものも、『ざまぁ』じゃない悪役令嬢ものも、『チート』じゃない悪役令嬢ものもたくさんあるからです。

もし、悪役令嬢ものがこれらを表現する手段として選ばれた作品形態だとすれば、作品の殆どがその要素を持つなどもっと分かち難く結びついていないといけないはずです。

だから、これらは、悪役令嬢ものに取り入れられやすい人気の要素ではあっても、悪役令嬢ものはそれを表現することを目的とした創作ではないのです。

そうなると気になるのが、
『では悪役令嬢ものとは本質的に何を意味するジャンルなのか?』
という所ですが、私はこれを『アンチ王道』である、と考えます。

『転生悪役令嬢もの=アンチ王道』という図式が成立するくらい、悪役令嬢ものとアンチ王道は分かち難く結びついているのです。
『アンチ王道』ではない悪役令嬢ものは存在しないとすら断言できます。

まず、『乙女ゲームの世界』これが即ち王道です。
そしてそこに出てくる登場人物が、王道を実行する存在です。
悪役令嬢ものは、ほとんどの場合『悪役令嬢』が、そして合わせ鏡のように、実は『ヒロイン』も王道を実行しません。
王道を実行することで一番利益を享受するはずの主人公が、性格が改悪されていて自滅したり逆に悪役令嬢の味方になってしまったりするのが、悪役令嬢ものの大きな特徴の一つでもあります。

この、転生悪役令嬢がアンチ王道文学であるというのは二つの側面から補強できます。

一つは、既に挙げた『溺愛』や『ざまぁ』や『チート』が、『アンチ王道』ととても相性が良いと言う点です。
本来愛されないはずが愛される、本来強い立場の側が転落する、本来負ける立場のはずが物凄く強い、これらは全て『アンチ王道』の範疇に入ります。
だから、悪役令嬢ものにはこれらの要素が多いのです。

次に、悪役令嬢ものが『アンチ王道』文学である結果、次々と『悪役令嬢ものから外れる悪役令嬢もの』が生まれる事態が生じている、と言う点です。
悪役令嬢ものは、『アンチ王道』文学として成功するほど、『アンチ王道ものの王道』という自家撞着を起こす羽目になります。
だから、悪役令嬢ものは、出来上がる王道展開を常に回避するように絶え間なく変容していくのです。
例えば、悪役令嬢が王子を好きにならない展開が増えれば今度は王子が大好きな悪役令嬢が出てくる、転生して悪役令嬢になるのが王道化すれば、前世が悪役令嬢という設定が増える、といった具合です。

ではなぜ、悪役令嬢ものは『アンチ王道』を徹底するのか。
それは……

……ちょっと。
さっきから人の顔ばっかりニヤニヤしながら見て、
話ちゃんと聞いてますか?

じゃあなんで人のおでこを撫でているんですか。
話に飽きたんでしょう?

確かにハゲて来たなと思って?
ぶちますよ。
やっぱり飽きてるんじゃないですか。

え?
……今何しました。

とぼけないげ下さい。
人のデコにキスしませんでしたか?

生えてくるおまじない?
本当ですか?

それは凄いですね。
さっそく立派な額を持つ我が校の老獪な教授方に、自慢の弟の特技を教えて差し上げないと。

そう。
そうやって最初から素直に謝っておけば良いんです。
ふふふ。
私をおちょくろうなんて100年早いですよ。」
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!

木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。 胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。 けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。 勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに…… 『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。 子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。 逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。 時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。 これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

解散直後のお笑い芸人が異世界転生、悪役令嬢を真正悪女にプロデュース

たぬきち25番
恋愛
お笑いコンビを解散した桂馬涼は、異世界に転生した。 するとそこにはツッコミどころ満載の悪役令嬢が存在した。 しかも悪役令嬢は、婚約者の王子を伯爵令嬢に取られそうになっていた。 悪役令嬢よ、真正悪女に変われ!! ※他サイト様にも掲載始めました!

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

悪役令嬢のはずですが、年上王子が幼い頃から私を甘やかす気でいました

ria_alphapolis
恋愛
私は、悪役令嬢なのかもしれない。 王子の婚約者としては少し我儘で、周囲からは気が強いと思われている―― そんな自分に気づいた日から、私は“断罪される未来”を恐れるようになった。 婚約者である年上の王子は、今日も変わらず優しい。 けれどその優しさが、義務なのか、同情なのか、私にはわからない。 距離を取ろうとする私と、何も言わずに見守る王子。 両思いなのに、想いはすれ違っていく。 けれど彼は知っている。 五歳下の婚約者が「我儘だ」と言われていた幼い頃から、 そのすべてが可愛くて仕方なかったことを。 ――我儘でいい。 そう決めたのは、ずっと昔のことだった。 悪役令嬢だと勘違いしている少女と、 溺愛を隠し続ける年上王子の、すれ違い恋愛ファンタジー。 ※溺愛保証/王子視点あり/幼少期エピソードあり

転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す

RINFAM
ファンタジー
 なんの罰ゲームだ、これ!!!!  あああああ!!! 本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!  そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!  一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!  かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。 年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。 4コマ漫画版もあります。

社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった

木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。 今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。 せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。 床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。 その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。 他サイトでもアップしています。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

処理中です...