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17,転生悪役令嬢の義弟。(2)
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某日
この日は彼女の言う天才魔術師が転校してきたので、装置に魔力を移すため早速喧嘩を売りに行った。
どうせ王子や委員長のように、俺の魔力が弱いと分かれば手を抜いてくると思った。
でも、取りつく島もなく、あげく隠し持った装置や俺の手加減の事までバレてしまった。
その転校生に、そんな事してどうしたいんだと聞かれたので、「この世界を、誰かの運命が変わるくらいひっくり返したい。」と正直に答えた。
てっきり企みを妨害されると思ったが、面白そうだからと協力してくれることになった。
天才というのは、凡人とは感性が違うらしい。
何となく信用できる奴だと思い、この世界が誰かに作られた物語である可能性について聞いてみた。
転校生は、少し考え込んだ後あり得る話だと言った。
俺は彼女を誤解しているのだろうか。
某日
この日は、祖父に会った。
彼は長年街で魔道具商をしている。
母は妹を連れて祖父の元に出戻った直後に亡くなり、それからは祖父が妹の親代りだった。
王政を打破し、魔法を平等に使える世界にしたいと言うと祖父は驚いた顔をしたが、同じ目的を持つ地下組織の活動があると教えてくれ、俺はそこに入った。
某日
その後組織にはスムーズに受け入れられた。
祖父の口利きがあったし、孤児院での俺の救貧活動を知っている者もいたからだ。
彼女から聞いていた自由や平等の話をそれらしく話せば、馴染むのは早かった。
改めて改革派の視点で社会を見てみると、事態は一層深刻だった。
既得権側の貴族と裕福な市民層の軋轢はもはや解消困難で、今の平穏はひたひたの水が入ったコップにかろうじて浮かべた花びらのようなものに思えた。
少し水が足されれば、あっという間に花びらはコップの外に流れ出てしまうだろう。
彼女は、ギリギリまで耐えた社会が爆発した時の狂乱じみた暴力や破壊について話していたことがある。
彼女の話のように、貴族が片端から縛り首に合うようでは困る。
彼女の身が危ない。
どうにかして平和的に王権を返還させられないか考えた結果、王族と宰相両家の魔術を徹底解析するしかないと思った。
そうして彼ら貴族二巨頭の優位性を剥奪し、それを盾に市民代表から成る議会に国を治める権限を移譲させる。
俺の案は組織に受け入れられ、妹と転校生を中心に王子らの魔力の解析を進めることにした。
某日
ここまでの解析は順調だった。
調べるほどに、魔力の無限の可能性を感じる。
そして怖さも。
迷いがないわけではない
最初は彼女さえ救えれば良いと思っていたけど……。
転校生には、「成るように成るし、成るようにしか成らない。」と言われた。
某日
引き続き妹らの研究が進み、王家や宰相家の魔法を無効化する装置の実用化目処がたちそうだったが、彼女から不穏な話を聞いた。
妹の襲撃事件が起こるらしい。
万一にも妹が怪我をすることがあってはならない。
何も知らない彼女は、妹は無事だと言っていたが、一応手を打つことにする。
某日
この日、俺は彼女がずっと味わってきたことを経験した。
目の前で俺が暴漢を倒すのを見ていたはずの妹が、暴漢を倒したのは王子だと言い、襲わせたのは俺だと言う。
結果自宅に無期限謹慎になった。
ショックなんてものじゃない。
その夜、隠し持っていた通信機に着信が入った。
委員長の魔力の余りを使って妹が作ったそれは、使う度にすごい代物だと思う。
相手は転校生で、本当に妹を襲ったのか聞かれた。
違うと答えると、だよなとあっさり信じてくれた。
妹は目の前で起きた出来事に混乱していてまだ話せないと言う。
俺は彼女からかつて聞いた物語の強制力について転校生に話した。
転校生も俺の話に思うところがあったようだったので、妹の件は彼に預けることにした。
転校生や妹なら、ずっと彼女の周りで起こってきた現象を解明できるかもしれない。
希望を持つと同時に、少し怖くもあった。
深夜、彼女がこっそり会いにきてくれた。
色々あった一日だったが、人生最高の日だったと断言できる。
某日
引き続き謹慎していると、妹が連絡してきた。
暴漢事件についての謝罪だった。
妹の記憶の中ではやはり犯人は俺ということになっているらしいが、転校生のケアによりそれが作られた記憶である可能性は理解しているという。
妹は、絶対にこの現象を解明してみせると息巻いていた。
通話機の向こうで転校生が妹の勢いに引いているのが伝わってくる。
少し躊躇いながら、現象が誰かが態と引き起こしたものである可能性を聞いてみた。
「仮にこれが個人の魔術だとしたら規格外すぎる。もっと超越的な存在を想定した方が妥当だろう。」と転校生は答えた。
彼女の話はやっぱり本当なのだろうか。
某日
この日、とうとう準備が整った。
俺の脱出の手はずは組織でしてくれたので、あとは彼女を迎えに行くだけだった。
まさか彼女の方から来てくれるとは思わなかったが、特に問題はない。
明日からこの家も大混乱だろう。
俺は彼女を連れて邸を後にした。
この日は彼女の言う天才魔術師が転校してきたので、装置に魔力を移すため早速喧嘩を売りに行った。
どうせ王子や委員長のように、俺の魔力が弱いと分かれば手を抜いてくると思った。
でも、取りつく島もなく、あげく隠し持った装置や俺の手加減の事までバレてしまった。
その転校生に、そんな事してどうしたいんだと聞かれたので、「この世界を、誰かの運命が変わるくらいひっくり返したい。」と正直に答えた。
てっきり企みを妨害されると思ったが、面白そうだからと協力してくれることになった。
天才というのは、凡人とは感性が違うらしい。
何となく信用できる奴だと思い、この世界が誰かに作られた物語である可能性について聞いてみた。
転校生は、少し考え込んだ後あり得る話だと言った。
俺は彼女を誤解しているのだろうか。
某日
この日は、祖父に会った。
彼は長年街で魔道具商をしている。
母は妹を連れて祖父の元に出戻った直後に亡くなり、それからは祖父が妹の親代りだった。
王政を打破し、魔法を平等に使える世界にしたいと言うと祖父は驚いた顔をしたが、同じ目的を持つ地下組織の活動があると教えてくれ、俺はそこに入った。
某日
その後組織にはスムーズに受け入れられた。
祖父の口利きがあったし、孤児院での俺の救貧活動を知っている者もいたからだ。
彼女から聞いていた自由や平等の話をそれらしく話せば、馴染むのは早かった。
改めて改革派の視点で社会を見てみると、事態は一層深刻だった。
既得権側の貴族と裕福な市民層の軋轢はもはや解消困難で、今の平穏はひたひたの水が入ったコップにかろうじて浮かべた花びらのようなものに思えた。
少し水が足されれば、あっという間に花びらはコップの外に流れ出てしまうだろう。
彼女は、ギリギリまで耐えた社会が爆発した時の狂乱じみた暴力や破壊について話していたことがある。
彼女の話のように、貴族が片端から縛り首に合うようでは困る。
彼女の身が危ない。
どうにかして平和的に王権を返還させられないか考えた結果、王族と宰相両家の魔術を徹底解析するしかないと思った。
そうして彼ら貴族二巨頭の優位性を剥奪し、それを盾に市民代表から成る議会に国を治める権限を移譲させる。
俺の案は組織に受け入れられ、妹と転校生を中心に王子らの魔力の解析を進めることにした。
某日
ここまでの解析は順調だった。
調べるほどに、魔力の無限の可能性を感じる。
そして怖さも。
迷いがないわけではない
最初は彼女さえ救えれば良いと思っていたけど……。
転校生には、「成るように成るし、成るようにしか成らない。」と言われた。
某日
引き続き妹らの研究が進み、王家や宰相家の魔法を無効化する装置の実用化目処がたちそうだったが、彼女から不穏な話を聞いた。
妹の襲撃事件が起こるらしい。
万一にも妹が怪我をすることがあってはならない。
何も知らない彼女は、妹は無事だと言っていたが、一応手を打つことにする。
某日
この日、俺は彼女がずっと味わってきたことを経験した。
目の前で俺が暴漢を倒すのを見ていたはずの妹が、暴漢を倒したのは王子だと言い、襲わせたのは俺だと言う。
結果自宅に無期限謹慎になった。
ショックなんてものじゃない。
その夜、隠し持っていた通信機に着信が入った。
委員長の魔力の余りを使って妹が作ったそれは、使う度にすごい代物だと思う。
相手は転校生で、本当に妹を襲ったのか聞かれた。
違うと答えると、だよなとあっさり信じてくれた。
妹は目の前で起きた出来事に混乱していてまだ話せないと言う。
俺は彼女からかつて聞いた物語の強制力について転校生に話した。
転校生も俺の話に思うところがあったようだったので、妹の件は彼に預けることにした。
転校生や妹なら、ずっと彼女の周りで起こってきた現象を解明できるかもしれない。
希望を持つと同時に、少し怖くもあった。
深夜、彼女がこっそり会いにきてくれた。
色々あった一日だったが、人生最高の日だったと断言できる。
某日
引き続き謹慎していると、妹が連絡してきた。
暴漢事件についての謝罪だった。
妹の記憶の中ではやはり犯人は俺ということになっているらしいが、転校生のケアによりそれが作られた記憶である可能性は理解しているという。
妹は、絶対にこの現象を解明してみせると息巻いていた。
通話機の向こうで転校生が妹の勢いに引いているのが伝わってくる。
少し躊躇いながら、現象が誰かが態と引き起こしたものである可能性を聞いてみた。
「仮にこれが個人の魔術だとしたら規格外すぎる。もっと超越的な存在を想定した方が妥当だろう。」と転校生は答えた。
彼女の話はやっぱり本当なのだろうか。
某日
この日、とうとう準備が整った。
俺の脱出の手はずは組織でしてくれたので、あとは彼女を迎えに行くだけだった。
まさか彼女の方から来てくれるとは思わなかったが、特に問題はない。
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