疾走する玉座

十三不塔

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第四章 遡航

鏡像段階

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 絵画収蔵室へ飛び込んだウェス、スタン、トライロキヤ、そしてレイゼル改めクローデルの四人を待っていたのは、斜めの光線の中で舞う埃と、ぽっかりと口を開けたデッド・スペースへの扉。

 忘れてはいけない、ラトナーカルも一緒だ、猿はウェスを肩車して室内をうろうろしている。

 カバーをかけられた無数の絵が秩序なくあちこちに置かれていた。収蔵棚のみでなく壁に立てかけられ、直接床に置かれているものもある。

「ここへ来るのは随分久しぶりだ」

 トライロキヤは額に積もった埃を指先で取ると、ポツリと言った。
 高い位置にかけられた、ひときわ大きな絵画の覆いをウェスは大胆にはぎ取る。

「吹雪」

 ローデファイ語で書かれたタイトルをウェスは翻訳した。
 カンバスに油彩で描かれた大きな、といっていい絵だ。タイトルを見なければそれが吹雪だとはウェスにもわからなかっただろう。抽象画めいて見える中心からたなびく黒い筋は蒸気の煙だった。

「ちょうど我々のような文明程度の時代の産物なのだろう。流された汽船がほら、あるだろう? クローデル」
「はい。あれですわね」
「ロドニーにも蒸気の時代があったってことか。物事が進む道行きは大体同じなのか?」
 とスタンが問えば、
「この惑星環境で同じ生命体が文明の興亡を繰り返すなら、ほとんど似たルートを辿ることは間違いないと思う」
 ウェスは面白くもなさそうに言う。

 過去に誰かが通ったであろう道を踏むことが不服だったのだ。未踏のルートをウェスは登攀したかった。それでいながら、先人が到達した高見を覗き見たくなるのもまた人情だろう。ウェスは引き裂かれる気持ちだった。

 スタンはクローデルを観察した。自然の猛威を伝えるこの絵画を眺めれば、北の領主レイゼルとしての記憶が触発されるのではないかと期待したのだ。しかしながらクローデル=レイゼルに眼に見える変化はなかった。

「さ、皆さん、参りましょう」

 控えめな所作でクローデルは皆を奥へと導いた。

(何がある? 危険はないのか?)

 用心深くスタンは視線を走らせる。怪しいものはひとつとして見逃すつもりはない。優雅な宮殿の暮らしでどこか気が緩んでいたが、ここは得体の知れない古代文明の腹の中と言ってもよかった。

 短い通路は暗く狭かったが、それは先に広がる光景を際立たせるための演出と見るならば、合理的かつ効果的だった。

「鏡だらけだ!」

 スタンは見たままを口にする。そうだ、宮殿の内にひとつとして存在しなかった鏡がここにはふんだんにあった。いや、鏡と鏡に映るものしか、そこにはない。床も天井も壁もすべてがぴっちりと鏡張りだ。明るい部屋の中で、合わせ鏡から生じた無限の鏡像がズラズラとウェスたちを取り囲んだ。

 ラトナーカルが恐慌を来して走り回る。獣らしさが抜けていない猿には、この鏡張りの部屋は刺激が強すぎたかもしれない。

「落ち着けラトナ。ここに映ってるのは、ただの似姿だ。本物じゃない」

 おそるおそる鏡に触れるラトナ。

 それが平面に過ぎないこと、自分の動きとタイムラグなしで連動する精密な光の戯れであることを急速に学習していく。鏡を見つめることは、自我と呼べるものを得るために必須の階梯だとされている。ラトナはいっそう人間に近づくだろうか。

 一方、人間たちと言えば、下らぬ心配にかまけている。

「クローデル、スカートの中を覗かれぬようにな」
「はい、お父様」
「見ねえよ」とスタンが苦々しく吐き捨てる。

 ――ただ、唯一、部屋の中央に見慣れないものがあった。

 黒光りする長大なボディ、四つの車輪があるところを見れば、何かの乗り物だと思われた。ぐるりと周囲を巡れば、Bという文字に翼が生えたエンブレムが確認できた。

「こいつはガソリン自動車さ。図書館で知ったよ、化石燃料で動く、次世代の動力機関を積んでる。それもただの車じゃない。リムジンってやつだ」
「へぇ、ロドニーの連中はこんなのに乗ってたのか」
「バカ、これも懐古趣味のひとつさ。ここは博物館みたいなものだ。ロドニーの連中が化石燃料ベースの文明から離脱したのはとっくの昔なんだ」
「はぁ」

 ウェスの解説を受けてもスタンはピンと来ていないようだ。

 トライロキヤが補足する。

「この車なら、君たちだってそう遠くない未来に手に入れられる。そこからさらにボクの後肢のようなサイバネティック技術を獲得するまでさらに百年はかかるに違いない」
 そう言って馬の如く後足を蹴り上げる。

「あんたは何なんだろう?」ウェスがトライロキヤを探るのように見つめる。ケンタウロスのような風体の記憶喪失者。なぜ宮殿に住んでいるのか。いつから?

「記憶はね、ないというより、細切れになって継時性を失ったかのようなんだ。つまり本を一度バラバラにして、ページをデタラメに並べなおしたみたいなものさ」
「ふーん」
「ここで何かわかるかと期待しているのだが」
「かもね」

 ウェスは探求と検証の対象をトライロキヤから目の前の車に戻す。この車のそのものに訝しい点はない。ひとつを除いて。

「剣が――ささってる」

 そうちょうどボンネットにあたる部分から何かが突き出ている。それははじめ車体に付属した何かだと思われたが、仔細に見れば、エンジンルームを貫通しかけて、刀身半ばまで深く埋まっている、それは剣だった。

「〈はた迷惑な微罪モレ・ステルペカ〉」

 スタンとクローデルレイゼルが同時に呼びかけたのは、初代王ハゼムが鍛えたという五振の名剣のうちのひとつであった。思わず、口をついて出たといったふうで、二人ですらその意味をはかりかねている。

「これがそうだと?」

 自分で口走ったにも関わらず、面白い冗談を耳にしたかのようにスタンは吹き出す。それは、ウェスがラトナに数を教えるべく、しつこく歌っていた数え歌に登場した名前だったから。竜紋《サーペイン》がその名を呼ばせたというのなら、スタンたちはもう物語か伝説の世界に紛れ込んでしまったに違いない。

(いや、玉座が走り出し、竜に出くわした時点でとっくにそうだったんだ)

 ゆっくりとスタンは細く息を吐き、波立つ心を整える。櫂術の師匠に教わった呼吸法はこんな場面でも役に立つ。


 岩を削ってトンテンカン 母さん出てきて泡吹いた

 きらりと光る〈いやがらせヴェクサシオン



 虹を砕いてトンテンカン 父さん出てきて泡吹いた

 ぴかりと光る〈はた迷惑な微罪モレ・ステルペカ



 三日月叩いてトンテンカン 姉さん出てきて泡吹いた

 すらりと光る〈不愉快な概要デサ・グ・ラジェル



 死肉を炙ってトンテンカン 兄さん出てきて泡吹いた

 ぬらりと光る〈干からびた胎児セカンブリオン



 後妻を刻んでトンテンカン 誰も出てこず泡もなく

 〈神の赤い信条クレ・デジョーリョス〉に光なく。


 伝説は語る。

はた迷惑な微罪モレ・ステルペカ〉は、鍛冶に長じていたハゼムが虹を砕いて拵えたのだと。なんとも美しい寓話だと以前のスタンなら感心できたはずだ。だが、その実物が目前に現れたのなら、話は違ってくる。

「あったんだな、マジで。わーい。それラトナ!」

 浮かれたウェスとラトナはオリジナルの振り付けでもって歌い踊る。数え歌に出てくる〈はた迷惑な微罪モレ・ステルペカ〉はいったいどんなものなのか描写されてはいない。

 薄く幅広な刃には遊動する紫紺と銀の模様が浮いている。「生きているようだ」とトライロキヤが唸った。

 柄の拵えはいっそう不思議だった。霜が降りたようなイエローハート材の木肌の表面から青白い火花が散っている。雪豹の柄頭、その両眼には翡翠がはめ込まれていた。

「スタン、抜いてみろって」

 無責任にそう言うのは、もちろんウェスだ。

「抜け抜け、抜いちゃえ!」

 今度はウェスがラトナを肩車して部屋を練り歩く。鏡に映る猿と幼馴染の狂態にスタンは頭が痛くなった。その様にじっと耐えていたかに見えたクローデルが、いきなり糸が切れたように身をかがめ笑い出した。

「ハハハハハハハッ! ハハハハハハハッ――!」

 腹がよじれて立っていられず、床に転げ回る。淑女の恥じらいも何もあったものではない。豪快かつ野太い哄笑が鏡の間を圧して響き渡る。

「クローデル、どうした?」

 おろおろとトライロキヤが近寄るが、

「殺人的に似合っていない」
 とクローデルは呟く。

 いや、その眼差しはクローデルではなく、すでにしてレイゼルのものだった。が、トライロキヤは気付かない。

「何を言ってるんだい? この鏡だらけの部屋で少し気が変になったのかい。ボクもさっきから眩暈が――」

「違う」とレイゼルは父であったトライロキヤの言葉を阻んで言い切った。大人しいクローデルではあり得ない仕儀であった。

「気が変になったんじゃない。正気に戻ったのだ。馬子にも衣装と言うが、わたしにはこんな服は似合わない。鏡を見てようやくこの茶番の醜悪さに気付いたぞ」
「クローデル!」
「すまんな、、わたしはクローデルではない。レイゼルだ」

 すぐにでもドレスを引き裂きかねない勢いでレイゼルは断言した。

「なぜ? 幸せに暮らしていたじゃないか? どうしてそれを壊す必要がある?」
「ああ、幸せな夢だった。あまりに美しい……。それであっても夢は夢だ。醜さもあさましさもありのままに映し出す鏡の前では儚くも破れるのみ」

 レイゼルはさらに付け加える。

「他人の夢に土足で乱入してくる、悪ガキどももいるようだしな。ゆっくり寝てもいられまい」

 ウェスとスタンは顔を見合わせて苦笑した。ラトナはとんぼ返りを披露する。

「レイゼル姐さん。眼が覚めたんだね」
「トライロキヤ、この男の名誉のために言おう。わたしは洗脳されていたわけではない、半ば望んでそうしたのだ。無意識ではこれが茶番だとわかってもいた。しかし、その心地よさに身を任せる自分もいた」
「……クローデル」

 失意のあまりトライロキヤは涙を流した。

「わたしは父の顔を知らぬ。一族の男たちすべてが父代わりだったと言ってもいいが、母は本当の父のことを話すことなく逝った。残されたのは、ウェス、おまえにも見せたろう、このウグイスの長陽石だけだ。あれはな父が母にプレゼントしたものだ」

 レイゼルは首から紐で下げた石を差し上げた。雪山でウェスが興味本位に訊ねたのだった。太陽光を吸収し、また取り出せる驚異の石だ。

「父に甘えるという密やかな夢を叶えてくれて礼を言おう、トライロキヤ」
「ああ、本当に戻ってこないのだね、クローデル。行ってしまうんだね?」

「はい、お父様」と最後にレイゼルはトライロキヤの最愛の娘を演じてみせた。

「ご心配には及びません。クローデルはいつどこでも優しかったお父様を想っております。血みどろの戦場にあってもお父様のふくよかな温顔を決して忘れることはないでしょう。お父様はわたくしクローデルの最も愛おしい方なのです」

 その言葉にトライロキヤは崩れ落ちた。馬の下半身は人のように崩れることはなかった、静かに脚を折りたたみ、鏡の床にへたり込む。

「おお、クローデル、嬉しいよ、君との思い出だけで、次もそのまた次の永遠も乗り切ることができそうだ」

 スタンたちはこの家族劇にどう応じていいのかわからぬまま、その行く末を見守っていた。

 レイゼルはトライロキヤを抱きしめると「夢を生きろ」と耳元で呟いた。ケンタウロスはさらに脱力し、鏡の中に自分の姿にしばし見入った。

「さて、姐さんが復活したことだし、どうする? 剣は姐さんが引っこ抜くってのもアリだと思う。竜紋《サーペイン》が囁きかけるのは俺だけじゃない」
「わたしは、よしておこう。ここへの扉を開いたのはおまえたちだ、それでなくとも世話になってばかりだ。犬も助けられたし、玉座の進路も教わった。そしてまたここでこうして面倒をかけた」
「あのワンコ死んじゃったんだってね」

 ウェスたちが森でジヴの矢から救った犬のことだ。アーロンに殺されたのち、ジャックスが亡骸を埋葬したという。生き残ったのは三頭のみ。それも半ば機械となってしまった。

「ああ、衛兵はあの猿が破壊したのだろう。首だけになった者にそれ以上復讐をしようとは思わぬが」
「許してやってよ、ジャックスとアーロンは別なんだ。それにさ、ここ守るのがやつらの役割で逆らうことはできなかった」とウェス。
「ああ、恨みはない。不用意に宮殿に近づいたのも悪かったのだ。ということでわたしに剣を抱く望みはない。たとえ伝説の剣であっても。スタン、剣を取れ」

 促されてスタンは重い腰を上げる。

「触れて大丈夫なのか?」
「さぁ」ウェスが曖昧な返事をすれば、ラトナーカルが先にボンネットに飛び乗って、スタンの手を引こうとするから、「いい、自分で乗る」とスタンはすべてを受け入れてため息をついた。

(いつからこんな感じになった? 村の児童劇でも端役だったし、祭の鼓笛隊のメンバーにだって選ばれなかった。湖水のレースじゃ多少目立ったけど、あれだって、いっときのことだ)

 強烈な個性もカリスマもないスタンは、物語の英雄のように埋もれた剣を引き抜く
自分にうろたえるのだった。

「ウェス、おまえが全部悪い、きっとそうだ」

 なんとなく愚痴ってないと気がすまない。

 剣の取っ手にそっと触れてみると、部屋から声がした。音源のわからない不思議な音響設計にウェスはむくむくと好奇心をそそられたが、余計な口は挟まなかった。出元がわからないというのなら光源もそうだ。この明るさがどこから浸み出しているのか皆目見当がつかない。

『アクセス・ソード認証手続。遺伝子シグネチャーを登録します。所有者の更新、次回は150年後以降となりますが、よろしいですか?』

「――は、はい」

『氏名を登録してください』

「スタン・キュラム」

『あなたの非コードDNAの18%がコード化されます。これはアクセス・ソード〈はた迷惑な微罪〉の使用に必要な改変です。竜紋によりあらかじめ活性化されていた21%と合わせて39%が解放されます。また、それに伴いDNAが三重螺旋構造に変化、身体の分子構造が炭素ベースから珪素ベースへと移行を開始しますがよろしいでしょうか?』

「いいよ~やっちゃって」

 気楽に答えたのはスタンではない、ウェスだ。

「おい。待て待て待て、怖すぎる!!!! 全然、意味もわかんねーし」

『スタン・キュラムの身体の移行は6週間から12年のスパンで完了します。変成の器の使用があった場合、この限りではありません』

「ウェス、やっぱ替わってくれ。歯医者だっておそろしいのに、こんなの無理だ!」

『すでに登録は完了しました。次の更新は――』

「150年後だってんだろ。わかった。いいよ」

 まな板の上の鯉の気分でスタンが許諾した時、自動車のエンジンがかかり、ドアが開いた。

『アーカイヴが閲覧可能となりました。希望者はドライヴ・シアターにてお楽しみください』

 スタンは顔に真っ赤して剣を引き抜こうとしたが、まるでダメだった。

「引いてダメなら押してみな」

 ウェスが野次るように声を荒げる。

「ダメだ、ビクともしないって」

 弱音を吐くスタンの手の上からラトナが毛むくじゃらの毛を重ねる。

「ラトナ、手伝ってくれんのか?」

 とは言ったもののすこぶる嫌な予感がした。毒蛇がこちらに鎌首をもたげた瞬間に感じるような寒気が背筋を走る。

「やっぱラトナ、ひとりで――」

 もう遅かった。

 凄まじい音とともにボンネットを突き破ってラトナはエンジンごと〈はた迷惑な微罪〉を引き抜いた。吹っ飛ばされたスタンは壁に激突して鏡を粉々に割ってしまう。

 呆然と鏡に見入っていたトライロキヤは、ひび割れた自分の鏡像にビクリと身を震わせた。
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