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故山田翔太葬儀
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『須季須木須騎数寄~』
詠唱されて逝くお坊さんのお経。
「う……ううう」
「あ~んあんあん」
啜り泣きに号泣。嗚咽。
『哀師照~』
アラサー男子数人がお坊さんのお経が調子を上げて行く中、焼香だけを済ませて斎場を後にして行く。
「極端に頭が良いわけでもなく、また悪いわけでもなく」
「とくに事件も起こさなかったよな」
「何か問題を起こして先生に叱られる時があっても、大勢のうちの一人ってのが常だったよな」
「そうそう。たまに宿題忘れて先生にちょっとお小言を喰らうことがあったぐらいな奴だったのにな」
「え?そんなことってあったけ。俺、それすら覚えていないや」
口々にこのイベントの主人公の噂をしているのは、学生時代の俺の友人たち。そう。俺は死んでしまったのだ。つい10日ほど前に。
『須季須木須騎数寄~逸仇賛』
「うっ……ううええんん」
「くっ。あぐっ……」
お母さん、親父。ゴメン。親より先に死んでしまうなんて。俺ってホント平凡な男だと思っていたのに、こんな親不孝なことをしてしまうなんて……。
親より先に亡くなった親不孝者は、三途の川を渡れずに賽の河原で鬼に邪魔されながらお地蔵さんに救済されるまで、延々と石を積み上げなきゃならないって、確か言われているけど、俺もそうしなきゃなんないのかな。死んで、自分の葬式を宙に漂いながら見ているってことはあの世があったってことだから、きっとそう言うことなんだろうな。
すげえ、ヤだな~。マジ、鬱なんですけど。
『嗚呼嗚呼南無サンダー⚡︎』
お坊さんのお経がいよいよ佳境へと入って行く。
「山田翔太君か……。勉強も運動もそこそこできるって子だったよね」
「うん。中学生の時はサッカーやっていて、最後の夏にレギュラーこそ取れなかったけど、ベンチ入りはできたんだよね。確か」
おお。安藤葉月さん、よくご存知で。部員数30名のサッカー部で最後の最後にサブメンバーとはいえベンチ入りできて、強豪校に5点差つけられた後半のアディショナルタイムに、最後の思い出として、監督がピッチに送り出してくれたんだよな。プレー時間は1分間にも満たなかったけど。
『頓珍漢鎮頓珍漢鎮鬼煮竹刀』
「葉月、よくアイツのことよくそんなに覚えていたね」
「ダメだよ、香織ちゃん。故人のことをアイツ呼ばわりしたら」
「えへへ。そうでした。もしかして、ア……山田君に興味あったの?」
「うん。ちょっとね。ほら、山田君って姓も名前も平凡なら、勉強も運動も人並みにできて、スポーツテストや試験の点数なんかも、ほとんど平気点に近い、脅威の凡人だったじゃない?背の高さや体重も標準的で、ルックスもイケメンではいけどブサイクでもない。あまりにも一般的すぎて、かえって気になっていた時期があったんだ」
「これは思わぬ告白を!」
島村香織さんは驚いている。俺はもっと驚いているよ!あの美人で運動も勉強もほぼトップクラスの、ハイレベル女子安藤さんが、俺に気があったなんて!知らなかったよ。俺や他の連中もみんな、勉強スポーツイケメン度合い全てパーフェクトな、杉本勇健に気があるとばかり思っていたからな。
当時にそのことを知っていて告白して、もし安藤さん、いや、葉月ちゃんと付き合っていたら、俺の超超超ごく平凡だった人生も、少しは面白みのあるものに変わっていたのかも知れないのに。
もっとも、山田翔太改め翔道平梵信士霊位と名前を変えられてしまった今となっては、完全に後の祭りだけど。
五つの能力パラメーターだったら見事な星の形が、能力値として現れるのが、生前の俺であったのだ。小学校、中学校、高校、一浪して入った大学、社会人に至るまでずっと。
頑張った結果が極々平凡で一般的な能力で、それゆえ浮き沈み皆無の平凡すぎる人生を送ってきた俺だけれども、もう少し面白みのある人生を送ってみたかったのも事実だ。
あまりにも平凡すぎて、このままいつかは普通にかわいい女性と出会って結婚して、子供もできて、俺譲りに平凡だけど落ちこぼれることなく育っていってくれて、平均寿命に近い年齢で天寿を全うするんだろうな。まだ30歳を過ぎたばかりなのに、俺は漠然と自分の人生なんてこんなもの、と決めつけてしまっていた。
だけど、すぐに異変が起きた。あまりにもダルくて倦怠感も疲労感も激しい日が、毎日毎日毎日……と、しばらく続いてしまったのだ。平凡で一般的な身体をした俺、まだ年齢的にも若いしすぐ元通り良くなる、俺はそう思ってしんどい毎日をしばらく送っていった。
ある日、お腹全体に激痛を感じた。ヤバイ!痛過ぎて耐えられない!そう感じた俺はなんとか自力で救急車を呼んだ。そして、数日後、搬送先の医師から死の宣告を受けてしまったのだった。
ステージ4、つまり末期がんで余命半年。まさか、平凡だった俺が、こんな悲劇に襲われるなんて……。現代の日本人男性の平均寿命は、確か82、3歳ぐらいのはず。50歳は足りていないぞ!数値で出るものは全て平均値近辺にいた俺は、寿命だけあまりにも短くかけ離れてしまったことに、どうしてこんなんだけ、と嘆き悲しんだ。
当たり前だけど、死ぬのは怖かった。刻一刻と約束された時間へと近づいて行っている。そう思うと恐ろしくて恐ろしくて仕方がなかった。生まれて初めて恐ろしいことに苛まされていた。
それでも、俺は最期ぐらい平凡ではないどでかいことをやろう、男らしく、そう決意したのだ。急速に近づいていっている死ぬことへの恐ろしさを、少しでも紛らわせるために。
でも、中々そんなものは見つからなかった。出会えなかった。そうこうしているうちに身体の具合が悪くなっていって、肉体的な痛さと苦しさに蝕まれるようにもなってしまい……。
俺は最期の三日間だけ自宅で過ごして、臨終した。この三日間の記憶なんてほとんど皆無だけど。享年32歳。もちろん、満年齢で。医者の宣告通り、末期ガンが発見されてからほぼ半年後のことであった。
ああ。こんなものまで、早くもなく遅くもなかったんだな。もう、ここまで来ると可笑しくて吹いてしまう。ただ、死を迎えたことにより、身体もメンタルも楽になれたのは良かったけど。
ただ、この先、どうなってしまうのかは、正直怖い。ずっとずっと、賽の河原で石を積み上げながら鬼に苛め続けれる日々を送っていくのであろうか?マジ、怖いし鬱なんですけど。
詠唱されて逝くお坊さんのお経。
「う……ううう」
「あ~んあんあん」
啜り泣きに号泣。嗚咽。
『哀師照~』
アラサー男子数人がお坊さんのお経が調子を上げて行く中、焼香だけを済ませて斎場を後にして行く。
「極端に頭が良いわけでもなく、また悪いわけでもなく」
「とくに事件も起こさなかったよな」
「何か問題を起こして先生に叱られる時があっても、大勢のうちの一人ってのが常だったよな」
「そうそう。たまに宿題忘れて先生にちょっとお小言を喰らうことがあったぐらいな奴だったのにな」
「え?そんなことってあったけ。俺、それすら覚えていないや」
口々にこのイベントの主人公の噂をしているのは、学生時代の俺の友人たち。そう。俺は死んでしまったのだ。つい10日ほど前に。
『須季須木須騎数寄~逸仇賛』
「うっ……ううええんん」
「くっ。あぐっ……」
お母さん、親父。ゴメン。親より先に死んでしまうなんて。俺ってホント平凡な男だと思っていたのに、こんな親不孝なことをしてしまうなんて……。
親より先に亡くなった親不孝者は、三途の川を渡れずに賽の河原で鬼に邪魔されながらお地蔵さんに救済されるまで、延々と石を積み上げなきゃならないって、確か言われているけど、俺もそうしなきゃなんないのかな。死んで、自分の葬式を宙に漂いながら見ているってことはあの世があったってことだから、きっとそう言うことなんだろうな。
すげえ、ヤだな~。マジ、鬱なんですけど。
『嗚呼嗚呼南無サンダー⚡︎』
お坊さんのお経がいよいよ佳境へと入って行く。
「山田翔太君か……。勉強も運動もそこそこできるって子だったよね」
「うん。中学生の時はサッカーやっていて、最後の夏にレギュラーこそ取れなかったけど、ベンチ入りはできたんだよね。確か」
おお。安藤葉月さん、よくご存知で。部員数30名のサッカー部で最後の最後にサブメンバーとはいえベンチ入りできて、強豪校に5点差つけられた後半のアディショナルタイムに、最後の思い出として、監督がピッチに送り出してくれたんだよな。プレー時間は1分間にも満たなかったけど。
『頓珍漢鎮頓珍漢鎮鬼煮竹刀』
「葉月、よくアイツのことよくそんなに覚えていたね」
「ダメだよ、香織ちゃん。故人のことをアイツ呼ばわりしたら」
「えへへ。そうでした。もしかして、ア……山田君に興味あったの?」
「うん。ちょっとね。ほら、山田君って姓も名前も平凡なら、勉強も運動も人並みにできて、スポーツテストや試験の点数なんかも、ほとんど平気点に近い、脅威の凡人だったじゃない?背の高さや体重も標準的で、ルックスもイケメンではいけどブサイクでもない。あまりにも一般的すぎて、かえって気になっていた時期があったんだ」
「これは思わぬ告白を!」
島村香織さんは驚いている。俺はもっと驚いているよ!あの美人で運動も勉強もほぼトップクラスの、ハイレベル女子安藤さんが、俺に気があったなんて!知らなかったよ。俺や他の連中もみんな、勉強スポーツイケメン度合い全てパーフェクトな、杉本勇健に気があるとばかり思っていたからな。
当時にそのことを知っていて告白して、もし安藤さん、いや、葉月ちゃんと付き合っていたら、俺の超超超ごく平凡だった人生も、少しは面白みのあるものに変わっていたのかも知れないのに。
もっとも、山田翔太改め翔道平梵信士霊位と名前を変えられてしまった今となっては、完全に後の祭りだけど。
五つの能力パラメーターだったら見事な星の形が、能力値として現れるのが、生前の俺であったのだ。小学校、中学校、高校、一浪して入った大学、社会人に至るまでずっと。
頑張った結果が極々平凡で一般的な能力で、それゆえ浮き沈み皆無の平凡すぎる人生を送ってきた俺だけれども、もう少し面白みのある人生を送ってみたかったのも事実だ。
あまりにも平凡すぎて、このままいつかは普通にかわいい女性と出会って結婚して、子供もできて、俺譲りに平凡だけど落ちこぼれることなく育っていってくれて、平均寿命に近い年齢で天寿を全うするんだろうな。まだ30歳を過ぎたばかりなのに、俺は漠然と自分の人生なんてこんなもの、と決めつけてしまっていた。
だけど、すぐに異変が起きた。あまりにもダルくて倦怠感も疲労感も激しい日が、毎日毎日毎日……と、しばらく続いてしまったのだ。平凡で一般的な身体をした俺、まだ年齢的にも若いしすぐ元通り良くなる、俺はそう思ってしんどい毎日をしばらく送っていった。
ある日、お腹全体に激痛を感じた。ヤバイ!痛過ぎて耐えられない!そう感じた俺はなんとか自力で救急車を呼んだ。そして、数日後、搬送先の医師から死の宣告を受けてしまったのだった。
ステージ4、つまり末期がんで余命半年。まさか、平凡だった俺が、こんな悲劇に襲われるなんて……。現代の日本人男性の平均寿命は、確か82、3歳ぐらいのはず。50歳は足りていないぞ!数値で出るものは全て平均値近辺にいた俺は、寿命だけあまりにも短くかけ離れてしまったことに、どうしてこんなんだけ、と嘆き悲しんだ。
当たり前だけど、死ぬのは怖かった。刻一刻と約束された時間へと近づいて行っている。そう思うと恐ろしくて恐ろしくて仕方がなかった。生まれて初めて恐ろしいことに苛まされていた。
それでも、俺は最期ぐらい平凡ではないどでかいことをやろう、男らしく、そう決意したのだ。急速に近づいていっている死ぬことへの恐ろしさを、少しでも紛らわせるために。
でも、中々そんなものは見つからなかった。出会えなかった。そうこうしているうちに身体の具合が悪くなっていって、肉体的な痛さと苦しさに蝕まれるようにもなってしまい……。
俺は最期の三日間だけ自宅で過ごして、臨終した。この三日間の記憶なんてほとんど皆無だけど。享年32歳。もちろん、満年齢で。医者の宣告通り、末期ガンが発見されてからほぼ半年後のことであった。
ああ。こんなものまで、早くもなく遅くもなかったんだな。もう、ここまで来ると可笑しくて吹いてしまう。ただ、死を迎えたことにより、身体もメンタルも楽になれたのは良かったけど。
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