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エリカ視点その一 美しき薔薇 強き華

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 俺はもうじき10歳になる。地球のほとんどの国や地域、殊に先進国ではまだまだお子ちゃまという年齢であるが、スクエアジャングルの世界では、中人扱いとなる。
 大人ではないがまるっきりの子供でもない。大人になるための準備期間がこの中人というやつなのだ。10歳から14歳がこの年齢層にあたる。
 俺の家、というよりドラゴンAとプラズマの迅雷、小指のエリカの家で住み込みでメイドをしているお姉さんたちは、この年齢層、つまり中人だ。大人へと向けて格闘技やもっと他のことを学びに来ている。言うまでもなく応募者は多数。父と母がとくに素質や人間性を面接や試験で吟味して、雇い入れている。
 本来のアクセルが亡くなり、ハイタッチして俺と入れ替わった時、父と母と一緒に悲しみ、奇跡に歓喜したのが初代のメイドお姉さんとすると、10年間で3人ほど入れ替わっている。今一緒に暮らしているのが4代目。我が家に来る年齢はまちまちであるが、みんな15歳になる少し前に卒業している。
 この世界では15歳で成人扱いされる。まだまだ発育途上であるが、成体に近い身体をしている、というのが理由だ。この世界には魔法もないし、水車や風車、船の帆を除けば人を含めて動物以外の動力で動く機械というものがほぼ皆無である。なので人の手でしなければならないことが多々あり、労働力の必要性から15歳で大人扱いされ、働かなければならないのだ。
 さて、俺のファーストパーソン、つまり一人称によるストーリー進行はここまで。ここから先はしばらく母、エリカの一人称で進んでいく。

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 わたしと夫のギーザー、それにかつてリッチ・ブラックモアと戦ったパーティーのメンバー、有力な剣士や剣闘士たちがブラックモア家の新たな当主レブナントのやっている、人間の身体能力の強化、人格を破壊して意のままに操る、あるいはもっと悪魔めいた実験の証拠を未だ発見できずにいた。
 ブラックモア家の人を生きたまま戦闘能力を異常なまでに強化し、彼らの意のままに操る生ける屍強戦士化計画、世界征服の野望、絶対に阻止しなければならないわ!
 リッチの時はなんとかl阻止できた。だけど、レブナントは阻止できるのか、少しばかり、ううん大きな不安であり懸念が大きくある。

 要因はかつてリッチとその軍団と戦って来た者たちの高齢化よ。女としては認めたくはないんだけど、認めなければならないわね。わたし自身の身体能力、戦闘力の低下と美貌が劣化してきてしまったことを……。
 わたしはあと2年ほどで30歳になってしまう。夫はつい半年前に40歳の誕生日を迎えてしまったわ。かつての仲間の平均年齢も30歳は超えているのではないだろうか。
 逆に息子のアクセルはもうじき10歳になる。つい昨日までオムツを替えてあげたりオッパイを飲ませてあげていた気がするんだけど、早いものね。中人となると、親元を離れて大人に向けて修行をしなければならないから、少し、寂しくなるわね。
 それにしても我が子ながら不思議というか、訝しいところの多い子なのよね。彼が赤ちゃんの時、完全に息も心臓も止まってしまって、お医者さんから死亡の宣告を受けて、わたしも夫もマーガレットも悲嘆し絶望もし、運命の過酷さに怒りもしたけど、いきなり何事もなかったかかのようにあの子が元気に泣き出して、その奇跡的な出来事に神に感謝もしたわ。
 そんなある意味超常的なことがあったからか、あの子に違和感を覚えてしまうことが多々あった。あの子がわたしや夫に他人行儀的な遠慮をすることも毎日のようにあって、母親としてすごく悲しくもなってくる。
 もちろん、子供らしく甘えてくることもあって、その時はホッとするし、優しくしてあげることも有れば、叱ったりと、普通の母と子を実感できる。やっぱり、この子はわたしとギーザーとの間に生まれた子供なんだなって。

 あの子は時々、あるいはいつでも、大人に見えてしまうことがある。ものすごく大人な目線、表情、雰囲気で、まるで何十年も生きてきたみたいに。
 夫も同じことを思っているとはっきりと言っているし、歴代のメイドちゃんたちも、やはりあの子から熟練した大人のような落ち着き、雰囲気があると言っていた。
 あの子は一度死んでしまった。そして、蘇ってくれた。でも、その時に魂が他の人のものと入れ替わってしまって……。そう考えてしまったこともあるけど、馬鹿げた考え方よね。
 あの子は呼吸も心臓も一時的とはいえ、両方とも完全に止まってしまった。その影響で他の子たちと比べて少しおかしなところがあるだけ。
 わたしはそう思うことで自分を納得させている。
 
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