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俺、新ドラゴンAの決意

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 強さと美しさ。共に人を惹きつける。どんなに高い知力を持とうとも、他の動物が知り得ないことを山の数ほど知っていようとも、人間もたくさんいる動物の一種類に過ぎないのだ。優秀な子孫を残そうとする本能もあるし、優秀な個体に服従し自身の安泰を得ようとする本能もあるのだろう。知性や賢さもそうであるが、より他の動物たちと価値観を共有する、この強さと美しさは多くの人たちを、あるいは人間という動物のほぼ全てを惹きつける。
 いくら強くて容姿に恵まれていても、振る舞いが粗暴な者は嫌われてしまうのは、人間はもちろん他の動物たちも同じだと思うが。
 強さと美しさ、そこに慈悲深い優しさや知性が加わると、人々から崇拝に近い支持を得られる。俺の父と母、最強と勇者の証ドラゴンA、ギーザー・アイアンバトラー、強さの象徴五指剣士のうちの小指である同時に美しさの象徴七色の薔薇のうち白薔薇にも数えられていた、エリカ・アイアンバトラーもそうした人たちだった。だったと過去形になってしまうのは、少し年を取ってしまったためだ。特に15歳ぐらい年上の父親はかなり力が衰えてしまっている。
 今のスクエアジャングルで強さと美しさ、慈悲深さと知性、その全てで人々を魅了しているのは、キャンディス・ブラックモアだ。新勢力側の者はもちろん、旧勢力側の者の中にも彼女の強さ、美貌、慈悲深さ、知性、その全てにおいて抜きに出ていて、カリスマ性を感じてしまっている者は多いのだ。
 キャンディスは、自身の主催する格闘技の大会に出場し、男をも含めて負け知らずで、最強の格闘家の一人だと言われている。ブッラックモア家の実質的な当主だから、誰も彼女とは真剣に闘わない、あるいは初めから勝敗が用意されている。そう思う者がいたが、ほとんどの者が彼女の闘いはリアル、だと判断している。俺も一度彼女の試合を観たが、強さも試合内容もリアルである。そう判断していた。
 いや、俺自身が彼女の強さと美しさに引き摺り込まれてしまっていたのだ。情けない話であるが、それほど彼女の美貌や色香、強さは凄まじいものであったのだ。
 ちなみに、勢いのある新勢力のキャンディス、その対抗馬であると目されている旧勢力の象徴、現行ドラゴンAである俺に対する世間の評価は厳しい。ドラゴンAになれたのも親の七光だとか、キャンディスに対抗するための無理やりだ、など散々かつ残念なものばかりであるのだ。
 世間での評価なんてほっとけば良い。よくそんなことが言われるが、俺の立場上それは許されない。看過できないし、指をこまねいているばかりではいられないのだ。

 俺とキャンディスが闘ったらどちらが強いだろうか。スクエアジャングルの至る所でそんなことが人々の話題にのぼり、支持率はキャンディスの方が圧倒的に上であったのだ。コンニャロめ!
 俺、つまり現行ドラゴンAの強さも認められている。今現在この世界で一番強い男は間違いなく、彼であると。それでも、ナウ最強の女キャンディスには敵わないだろう。キャンディスしか勝たん。
 そして、当のキャンディスもこんなことを公言している。わたくしはたくさんの男性格闘家と試合をして勝利をしてきましたが、世界は広く、わたくしたちブラックモア一家が立ち上げた新たな格闘技の大会より遥に歴史の長い拳闘士たちの大会は、それだけ裾野も広く伝統がある分強さに重みもあると思います、ですので、機会があったら是非とも胸を借りる気持ちで、拳闘士の方と試合をしてみたいと存じます。
 俺も一人の拳闘士、格闘家として奮い立つものがあったし、世間での下馬評を覆してやるぜ!という男としての意地も燃え上がる。燃え上がらない分けがない!
 もちろん、ドラゴンAのマスクの重みや俺自身の置かれている立場を考えたら、迂闊に物を言うわけにはいかない。なので、熟考してみた。考え出した結果を妻、父と母、ライムたち友人たちに相談してみた。皆GOサインを出してくれた。
 俺はキャンディスと試合をすることに決めたのである。直に闘って俺が勝てば形勢はかなり好転するだろう。もちろん、負けたら一気に新勢力の勢いがつき、このスクエアジャングルという世界は大きく変わってしまう、暗転してしまうかも知れない。いや、きっとしてしまうだろう!
 だから、俺は文字通り世界の趨勢をかけたタイトルマッチを受けることにしたのだ。自分自身にたっぷりプレッシャーをかけて、絶対に負けられない、負けてはならない闘い、試合に臨む。
 俺は本当の意味で最強の人間、拳闘士になるために敢えて厳しい試練を自分自身に課したのである。
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