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猛烈な痛みから服従へ
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いて痛え
「ぜひゃぜひゃ……いて痛え……」
うぐああ……。全身が痛えよぉ。
何が起きたのかよく分からない。ただ、今の俺は舞台の上に横たわっていて、全身が何かとてつもない力で叩き潰されたような激痛に苛まされ苦しんでいる。
うぐああ……。マジに痛え痛え痛えよぅ。肉も骨もグチャグチャになってるよぉ。
「痛え、よぉ。は、早くと、トドメを、ぜひゃぜひゃ……」
頭の近くにキャンディスが立っている。足の甲が一番近くにあって遠くに頭部がある。ダウンさせられ這いつくばっている視線から仰ぎみる彼女の姿は物凄い迫力だ……。
どう足掻いても勝ち目がない存在。それでいてこの世界で最も美しくオンナの魅力を輝かせる存在でもある。ダウン目線で見上げるキャンディスは強さ美しさその双方で神々しい、いや、女神そのものであり俺は彼女ならきっとこれ以上痛みも苦しみも与えずに、俺に最強を背負う男として最低限のプライドを持たせたままトドメを刺してくれる、楽にさせてくれるそう思っている。
「うぎゃああああ!」
グチャグチャになっている身体の内部を、さらに押し潰されて肉も骨も飛び散ってしまうような激痛。痛ええ痛ええ。意識は朦朧としているはずなのに、なんでこんなに痛いんだよ、苦しいんだよ!痛く苦しい思いをしなければならないんだよ!
それはキャンディスが俺の身体の上に馬乗りになって来たからだ。
「ぎゃあああああ!痛えよ痛えよ痛えよ!ばやく、ドドメヲ!ああああはぁああん!」
「みっともないですわよ。強さと強さをぶつけ合う格闘技の試合において、対戦相手の打撃による痛みに耐えかねて泣いてしまうなんて。大勢の人が観ているのでしてよ。彼らに見せる強さは格闘技そのものはもちろん、精神的な強さ、プライドの高さなんかも強さではなくて?まして、あなたもあたくしもそれぞれの陣営の命運をかけて闘っているのですわよ。30歳を過ぎた男のあなたが17歳の女の子を相手にその強さの前に屈して命乞いをするなんて、恥ずかしいと思いませんの?あなたに世界の命運をかけて闘っているのだという自覚はありまして?あたくしたち新勢力にはない、旧勢力陣営伝統のドラゴンAのマスクを被って闘う重みを理解できていまして?」
胸に突き刺さるようなキャンディスの一言。けど、胸に突き刺さったのは一瞬だけだった。
「痛えよ!痛えよ!ああああはぁん!」
痛えよ痛えよ痛えよ!もう本当に痛みに苦しむことしかできなかった。
「まあ、喧嘩に負けた子供みたいに泣き叫んだまま嗚咽が止まらなくなってしまうなんて、情けないですわね。大勢の人が観戦に訪れている中で。でも、まあ あたくしも本来なら幼い子供を相手にするように闘わなければならなかったところを、顔面にちょっと良いパンチを頂戴したぐらいで頭に血が昇ってしまい、大人気なくついつい本気でハイキックを撃ってしまったのだから、あたくしにも落ち度がありますわよね。怪我を治すことなどもちろん無理でございますが、痛みを和らげてあげることはできましてよ」
激痛と怪我の大きさから身体をほとんど動かすことの出来ない俺の顔に、キャンディスは顔を近づけて来た。美人なのだがその美貌にうっとりと見惚れるだけの余裕など今の俺にはない。
だけど。
「う……あ!ああ」
驚くことはできた。それはあまりにも恐ろし過ぎて驚かずにはいられなかったのだ。激痛の中、はっきりと感じている、恐ろしさを。身体を動かすことができないから、本当に恐ろしい。
キャンディスの口に中には牙が上下に二本ずつ生えていたのである!人間という動物が持つ犬歯などではない。猫科や犬科などの肉食獣の持つ牙とも違う。強いて言えば毒蛇の毒牙に近いだろう。マムシみたいな小さな毒蛇ではなく、キングコブラのような大きな毒蛇の牙だ。
一番ピッタリくるのはヴァンパイヤであろうか。地球同様この世界には存在していないはずの悪魔や妖怪のような牙。キャンディスの口の中にはそれが生えているのである。
そして、牙からは赤紫色の液体が滴り落ちている……。
うはぁ。柔らかい、甘美を突き動かされる柔らかさだ……。襲いかかって来たキャンディスの唇。その唇はあまりにも美味しい感触であったのだ。
ゴクン、ゴクン……。美味しいのは感触だけではない。ドロリとした液体をキャンディスは俺の口内へと口移しで垂れ流して来ているんだけど、その味がまた甘く甘くすべての恐怖や不安を融解し、彼女への快楽へと変化させてしまう服従の味なのだ。
服従の味とは!俺はまたなんて意味不明な言葉を思い浮かべてしまったのだろう。俺はキャンディスに勝てっこないととっくに勝負を諦めてしまっている。敗北を前提に闘い続けていたのだ。だからか?
いや、それだけではないだろう。試合が始まり強さに圧倒される前に、俺はキャンディスの妖艶なまでの美貌に心を奪われ、文字通り息ができないほど、呼吸のペースが乱れて苦しさを覚えるほどドキドキドキドキしていたのだ。
美貌も強さもどうにも出来ない。到底太刀打ちできない、敵いっこない。それが人ならざるキャンディスへ服従したいと願ってしまったのだろう。
「ぜひゃぜひゃ……いて痛え……」
うぐああ……。全身が痛えよぉ。
何が起きたのかよく分からない。ただ、今の俺は舞台の上に横たわっていて、全身が何かとてつもない力で叩き潰されたような激痛に苛まされ苦しんでいる。
うぐああ……。マジに痛え痛え痛えよぅ。肉も骨もグチャグチャになってるよぉ。
「痛え、よぉ。は、早くと、トドメを、ぜひゃぜひゃ……」
頭の近くにキャンディスが立っている。足の甲が一番近くにあって遠くに頭部がある。ダウンさせられ這いつくばっている視線から仰ぎみる彼女の姿は物凄い迫力だ……。
どう足掻いても勝ち目がない存在。それでいてこの世界で最も美しくオンナの魅力を輝かせる存在でもある。ダウン目線で見上げるキャンディスは強さ美しさその双方で神々しい、いや、女神そのものであり俺は彼女ならきっとこれ以上痛みも苦しみも与えずに、俺に最強を背負う男として最低限のプライドを持たせたままトドメを刺してくれる、楽にさせてくれるそう思っている。
「うぎゃああああ!」
グチャグチャになっている身体の内部を、さらに押し潰されて肉も骨も飛び散ってしまうような激痛。痛ええ痛ええ。意識は朦朧としているはずなのに、なんでこんなに痛いんだよ、苦しいんだよ!痛く苦しい思いをしなければならないんだよ!
それはキャンディスが俺の身体の上に馬乗りになって来たからだ。
「ぎゃあああああ!痛えよ痛えよ痛えよ!ばやく、ドドメヲ!ああああはぁああん!」
「みっともないですわよ。強さと強さをぶつけ合う格闘技の試合において、対戦相手の打撃による痛みに耐えかねて泣いてしまうなんて。大勢の人が観ているのでしてよ。彼らに見せる強さは格闘技そのものはもちろん、精神的な強さ、プライドの高さなんかも強さではなくて?まして、あなたもあたくしもそれぞれの陣営の命運をかけて闘っているのですわよ。30歳を過ぎた男のあなたが17歳の女の子を相手にその強さの前に屈して命乞いをするなんて、恥ずかしいと思いませんの?あなたに世界の命運をかけて闘っているのだという自覚はありまして?あたくしたち新勢力にはない、旧勢力陣営伝統のドラゴンAのマスクを被って闘う重みを理解できていまして?」
胸に突き刺さるようなキャンディスの一言。けど、胸に突き刺さったのは一瞬だけだった。
「痛えよ!痛えよ!ああああはぁん!」
痛えよ痛えよ痛えよ!もう本当に痛みに苦しむことしかできなかった。
「まあ、喧嘩に負けた子供みたいに泣き叫んだまま嗚咽が止まらなくなってしまうなんて、情けないですわね。大勢の人が観戦に訪れている中で。でも、まあ あたくしも本来なら幼い子供を相手にするように闘わなければならなかったところを、顔面にちょっと良いパンチを頂戴したぐらいで頭に血が昇ってしまい、大人気なくついつい本気でハイキックを撃ってしまったのだから、あたくしにも落ち度がありますわよね。怪我を治すことなどもちろん無理でございますが、痛みを和らげてあげることはできましてよ」
激痛と怪我の大きさから身体をほとんど動かすことの出来ない俺の顔に、キャンディスは顔を近づけて来た。美人なのだがその美貌にうっとりと見惚れるだけの余裕など今の俺にはない。
だけど。
「う……あ!ああ」
驚くことはできた。それはあまりにも恐ろし過ぎて驚かずにはいられなかったのだ。激痛の中、はっきりと感じている、恐ろしさを。身体を動かすことができないから、本当に恐ろしい。
キャンディスの口に中には牙が上下に二本ずつ生えていたのである!人間という動物が持つ犬歯などではない。猫科や犬科などの肉食獣の持つ牙とも違う。強いて言えば毒蛇の毒牙に近いだろう。マムシみたいな小さな毒蛇ではなく、キングコブラのような大きな毒蛇の牙だ。
一番ピッタリくるのはヴァンパイヤであろうか。地球同様この世界には存在していないはずの悪魔や妖怪のような牙。キャンディスの口の中にはそれが生えているのである。
そして、牙からは赤紫色の液体が滴り落ちている……。
うはぁ。柔らかい、甘美を突き動かされる柔らかさだ……。襲いかかって来たキャンディスの唇。その唇はあまりにも美味しい感触であったのだ。
ゴクン、ゴクン……。美味しいのは感触だけではない。ドロリとした液体をキャンディスは俺の口内へと口移しで垂れ流して来ているんだけど、その味がまた甘く甘くすべての恐怖や不安を融解し、彼女への快楽へと変化させてしまう服従の味なのだ。
服従の味とは!俺はまたなんて意味不明な言葉を思い浮かべてしまったのだろう。俺はキャンディスに勝てっこないととっくに勝負を諦めてしまっている。敗北を前提に闘い続けていたのだ。だからか?
いや、それだけではないだろう。試合が始まり強さに圧倒される前に、俺はキャンディスの妖艶なまでの美貌に心を奪われ、文字通り息ができないほど、呼吸のペースが乱れて苦しさを覚えるほどドキドキドキドキしていたのだ。
美貌も強さもどうにも出来ない。到底太刀打ちできない、敵いっこない。それが人ならざるキャンディスへ服従したいと願ってしまったのだろう。
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