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第7話
しおりを挟む鹿島さんからの伝言通り、僕はすぐに電話した。もう誰にも邪魔されたくない。
『もしもし』
鹿島さんだ! 低音で抑揚のない話し方。やっぱりカッコいい!
「あの、城山です。連絡してとあったので……」
何言ってんだ。自分も連絡したかったんだろうが!
『今日は、誰も邪魔が入らないかな』
「は……はいっ。インターホン、外します」
わあ、どうしよう。これってもしかして。そういうことかな。やばい、ヤバいよ。僕の心臓が胸から飛び出しそうだ!
『じゃあ、今から行くから』
「はいっ。待ってます!」
僕はキッチンルームの灯りを落とし、鍵を閉める。それから本宅のリビングをささっと片付けた。鹿島さんにはこちらに来てもらおう。お茶も用意して……と、インターホンが鳴った!
「遅くまで申し訳ない」
いつもの無表情なんだけど、頬が少し赤い。心臓がきゅっと締め付けられて、足元がふらついちゃうよ。
僕は鹿島さんを迎え入れるとすぐ、インターホンの電源をオフした。悪いことをしてるみたいで、ゾクゾクしてくる。こういうの背徳って言うのかな? 違うか。
「俺、仕事上、いつ来れなくなるかわからないから、焦っちゃって」
鹿島さんは殺人なんかの凶行事件の担当ではなくて、怖いお兄さん相手の部署なんだ。この地域には大きな暴力団とかないから、発砲事件みたいな刃物沙汰は少ないけど、恐喝や麻薬関連、細かい事件は起こる。
マークしてた容疑者さんが何かしでかしたら、鹿島さんは駆け付けないといけなくて、確かにお料理作ってる暇はないよね。
「わかります」
「ちゃんと、順番踏まえてやらないと、わかってるんだが」
「ああ、はい」
ソファーに座る鹿島さんの横に、僕もちょこんと腰を下ろす。鹿島さんは目の前の紅茶を一口飲むと、僕の方を見た。
「先生。俺、あんたのこと好きだ。最初に教室で見た時から……」
わあお! 鹿島さんから告白された。確かに順番逆だったけど、嬉しすぎる! 体中に心臓があるみたい。なんか涙出てきた。
「ぼ……僕も……」
好き。と言おうとした。でも、鹿島さんはそれを待っていなくて。僕の頬を両手で包み込むと、奪うようにキスをしてきた。鹿島さんのどら焼きみたいな唇が僕のそれに吸い付いてくる。
――――んっ……。
恐る恐る、鹿島さんの舌が僕の口の中に入ってくる。僕はそれを受け入れ、ゆっくりと自分の舌を絡ませた。すると、自信を持ったのか、彼はさらに深く……。
夢のような時間。僕は鹿島さんの腕の中で甘い吐息を漏らした。
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