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第7章 後見人
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しおりを挟む僕はやれやれと言った表情を警部に向ける。
「百歩譲って、もしそうだったとしても、強要されていただけなのでは? 彼そのものが男色家であったとは限らない」
「それはそうですな」
「無論、僕もそうではない」
そうだ。僕は男色家ではないはずだ。ジョシュアへの想いは、彼が男であるからではない。ジョシュアそのものを僕は愛している。
「よくわかりました。ご無礼を謝罪します。ただ、彼はこう申しては何ですが、非常に魅力的、魅惑的な青年だと思いましたので、つい。いえ、勇み足が過ぎました」
魅惑的。確かにジョシュアには人の心を惹きつける魔力のようなものがある。僕はそれに惑わされたと言えるかもしれない。
ただそれは彼の見た目だけではなく、内面に存在している、もっと純粋な光りのようなものだ。そして僕は、その全てに抗えないのだ。
「わかっていただければ構いません」
「先生、ですが一つお願いがあります。後見人をお決めになる前に、どうか彼の健康を診てやってください。男娼でなかったとしても、随分と酷い暮らしをしていたのだから。何か病気があっては彼のためにもならない」
キャンベル警部の申し出に僕は呆れてしまった。それともこれも何かの罠なのだろうか?
「警部殿。ご注進ありがとうございます。ですが、これでも僕は医者です。彼が入院していた間、検査は済ませています。栄養不良と貧血以外は問題ありませんでした。それも今は改善して健康そのものです」
ジョシュアがこの診療所に転がりこんできた時、僕は最悪のことを予想していた。だから、できる検査の全ては入院中に実施した。幸いにも、ジョシュアは悪い病気を持ってはいなかった。
「そうですか。それを聞いて安心しました。それではもう、私の仕事は何もありませんな。帰るとします」
「ご苦労様でした。戸籍、助かりました」
僕はそう言って頭を下げた。これでもう、彼らはここにやってこないだろうか。そうであって欲しい。
スコットランドヤードのマークが誇らしげに縫い付けられた馬車の客車。二人はそこに乗り込むと、雪のちらつく道を去って行った。
薄い太陽の光が雪を照らす。冷たい風が積もり始めた雪を巻き上げてきらきらと舞い落ちていた。
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